「広報津」第337号(音声読み上げ)市長コラム

登録日:2020年1月1日


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市長コラム またとないチャンスを生かしきる

津市長 前葉 泰幸

平成18年の合併にあたり、新市まちづくり計画が示した将来の津市の姿は、本年6月オープン予定の久居アルスプラザという最後の大型事業の完成をもって結実します。

合併による一時的な経費増大を国が支援

10市町村が期待を込めて新市に託した数々の事業を進めながらも津市が健全財政を維持できたのは、行政の効率化でコストを削減するとともに、国の財政支援策を最大限に活用してきたからです。

財政の優遇措置は15年

自治体が自主的に使い道を決められる地方交付税は、旧市町村がそれぞれ交付されていた額の合計より合併して一つになったときの方が少なく算定されます。その緩和策として、合併後10年間は旧市町村が存続したものとみなして合計額を交付し、その後5年かけて徐々に減額される特例措置がとられてきました。その期間が令和2年度をもって終了します。

また、自治体が事業のため独自に資金調達をする手段としての地方債の中で、合併に伴い必要とされる事業に限って適用が認められる合併特例事業債を発行する期間も、本来であれば令和2年度で終了するはずでした。

全国有数の特例債発行可能額を制御する

ところが、法改正により合併特例事業債の発行期間が令和7年度まで延長されたことで事情は一変しました。津市にはまだ発行枠が残っていたからです。有利な条件で資金が調達できるとはいえ、期間内に710億円という津市の限度額いっぱいまで借金を抱えてしまうことは、後に市の財政が制御不能になる恐れをはらんでいました。期間終了も間近となったとき、同様の悩みを持つ合併市町村からの要望を受け、国が5年の期間延長を決定。残枠活用のチャンスが生まれたのです。このまたとない機会に市民の暮らしのさらなる充実を目指して事業を前に進めようと決断し、急きょ、新たな条件の下での今後の財政の見通しについて検討を開始しました。

まず、ピーク時で180億円まで増えた普通交付税額は150億円程度まで減少していくことが見込まれます。一方で、地方債の残高は、合併前の借金を着実に償還しつつ新規地方債の発行額をコントロールしてきた結果、令和2年度末をピークに減少に転じる見込みです。地方交付税という自主財源が減ってきても借金の残高が順調に減っていくことから、厳格な財政管理を行えば合併特例事業債の延長期間である令和3年度からの5年間、健全財政を維持しつつ残りの発行枠を最後まで使い切って新たな事業を追加することが可能であるとの結論に達しました。

普通交付税額の推移

合併特例事業債の発行額と返済額

年度末残高は、借りている額にあたります。元金償還済額は、返した額にあたります。

市民のためにもっとできることを厳選

とはいえ、合併特例事業債の残枠は83億円と限りがあり、これまでのようにさまざまな分野に幅広く充てていくために十分な額ではありません。そのため、津市の未来を見据え対象事業を絞り込むことにしました。

最優先するのは、次の世代を育む事業です。保育定数確保のためのこども園の増設、小中学校校舎の長寿命化、放課後児童クラブの拡充など、子育てや教育分野への投資を続けます。また、消防署の整備や消防車両の更新により防災力を強化します。

次に、現在の市民のニーズに応える事業にも充当します。生活道路の整備や、コミュニティ施設の増築、地域文化ホールの改修、日帰り温泉観光施設の建て替えなど、地域住民から大きな期待を寄せられている事業を着実に形にしていきます。

優遇措置終了後の津市財政の行方

そのうえで合併特例事業債の発行が終わる令和8年度以降も津市の堅実財政を維持するためにはさらなる慎重な運営が必要です。人口減少社会において税収の伸びは期待できません。個々の事業の進め方を工夫し新しい財源を獲得するなど、細部への目配りと小さな努力の積み重ねで市民の皆さまにご信頼いただける持続可能な財政の構築に取り組んでまいります。


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