「広報津」第343号(音声読み上げ)改善しました ボートレース津の経営、市長コラム

登録日:2020年4月1日


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改善しました ボートレース津の経営

津市のボートレース事業は昭和27年に、全国公認第一号としてスタート。小中学校の建設や道路工事などの公共事業に大きな貢献をしてきました。しかし、平成2年をピークに売り上げが低迷し、津市財政への繰り出しができない状況が続いていました。そこで外向発売所の津インクルや場外発売場を設置したり、公営企業会計を導入したりして、経営基盤強化を図りました。その結果、経営状況が改善し、令和2年度は、20億円を津市財政へ繰り出せるようになりました。

ボートレース津の売上金と繰出金

平成23年以降、売り上げはV字回復しました。

平成16年から平成27年までの12年間、一般会計への繰出金ゼロでしたが、令和2年は20億円を繰り出し、津市へ貢献する予定です。

売上金とは

津(名張、養老含む)での総売上と電話投票売上を足したものです。
総売上とは、開催分と他場分を足したものです。

ボートレース津の売上金と繰出金の金額推移

平成1年
平成2年
平成3年
平成4年
平成5年
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和1年
令和2年

平成23年以降の経営改善への取り組み

平成23年

津インクル開設
今では全国8場の舟券が毎日購入できる

平成25年

SGチャレンジカップ開催
ボートレースの最高峰SGレースを津市で開催

平成27年

場外発売場BTS名張開設
BTSとはボートレースチケットショップのことです。

平成28年

BTS養老開設
BTSとはボートレースチケットショップのことです。

スマートフォンの普及

インターネットでの投票が容易になり、売り上げが上昇

チェック 令和2年度はG1 競走を3回開催

問い合わせ

経営管理課 電話番号224-5105 ファクス222-8210

市長コラム ボートレース津の復活

津市長 前葉泰幸
モーターボート競走では、6艇のうち1着から3着を当てる勝舟投票券が発売され、当たった券の購入者には発売総額の75パーセントが払い戻されます。残りの25パーセントから広く公益事業に役立てるための法定経費と運営経費などを差し引いた額がレースを施行する自治体の収益となります。

津市の戦後復興を賭けた大事業

地方自治体が主催するボートレースは競艇と呼ばれ、昭和27年に始まりました。波穏やかな伊勢湾に面し、恵まれた交通網により大都市からの集客が見込める津市は、戦後の困窮した財政を救い復興を成し遂げるためにレースの施行者としての指定を求めて精力的に活動し、全国第1号の認可を受けました。同年7月、岩田川河口で開催されたレースには1万5,000人の観客が集まったと記録されています。

数字が映し出す競艇事業の貢献度

昭和44年には新しく施設を整備し藤方に移転。順調に売り上げを伸ばし、全国のボートレース24場の総売上高が初めて1兆円台となった昭和49年度には、津市の競艇事業特別会計から一般会計へと収益金45.9億円が繰り出され、学校や道路などを建設する財源として活用されました。その額は市の歳入163億円の28パーセントを占め、税収51億円に迫る高い数字となっています。競艇の収益は市の財政に極めて大きな貢献をしていたのです。

モーターボート競走事業撤退の危機

その後、ボートレースは全国の総売上高が2兆2,000億円に達した平成3年度をピークに長期低落傾向に入りました。景気の低迷とレジャーの多様化で平成22年度には総売上高が8,400億円まで落ち込み、事業から撤退する施行者も出てきました。

津競艇も同様で平成2年度に過去最高の523億円を記録した売上げが平成22年度には180億円まで減少。津市財政へと繰り出した収益は、平成3年度の29億円から平成4年度以降は年間20億円を割り込み、平成16年度以降はついに収益を全く出せない状態になってしまいました。

平成19年度、平成21年度、平成22年度と赤字が続いた津競艇は取り崩した基金の残高が3億円を切り、決断のときが迫っていました。実際、事業を民間に包括委託して津市は形式的な施行者となり毎年1億円の分配金を受け取る、いわば身売りともいえる経営形態も選択肢の一つとして検討されていたのです。

いち早く試みた事業再生プラン

平成23年4月末、全国的にボートレースがどん底にあった時期に施行者としての責任を担うことになった私は、すぐに競艇事業部の職員とともに今後の方針を話し合うことにしました。

心配していた東日本大震災後の影響は、全てのビッグレースを東日本大震災被災地支援競走とし総売上の1割を拠出することにして再開されるなど、不安材料は取り除かれており、ボートレース業界としては、未来を切り開く起死回生プランを全国規模で実行に移そうとしていた時期でもありました。そのような中で職員たちは時期を逃さずプランを活用する計画を進めていました。

それは、ボートレース場に入らなくても気軽に舟券を購入できる外向発売所の開設です。舟券の購入は年間200日程度のレース開催日と全国で発売することになっている特定のビッグレース開催日に入場料を払って場内のスタンド棟で購入する仕組みになっています。ただし、購入できる他のレース場の舟券はごく限られているため、発売されないレース場の舟券を購入したい場合は電話投票かインターネットからの投票を利用するしかありませんでした。

本場に隣接したロードサイドにあって気軽に立ち寄れ、入場料を払うことなく年間360日、選択肢が増えた全国のレースから好みの舟券を購入できる外向発売所はファンの不満を一気に解消する画期的なプランの一つだと考えられました。

そこで、経営改善策の最初の一手として、今回新しく開設する外向発売所の利便性をしっかりとアピールすることで新たなファンの獲得と多くのファンの来場を促し、売り上げの向上につなげていこうと決め、レース場の経営を他者に委ねる案はその場で封印しました。まずは1億円を自力で稼ぐことが第1目標。さらなるターゲットを平成3年度の水準の20億円に設定しました。

平成23年9月、国道23号沿いに開設した外向発売所津インクルは、早朝から夜まで、全国4場(のちに8場)のレースの舟券を購入するファンでにぎわい、平成27年度には面積がわずか870平方メートルのレース場外の外向発売所がその44倍の面積を擁する場内のスタンド棟とほぼ同額の売り上げをあげるまでになりました。

レース場から遠く離れた地域のファン層の獲得に向けた場外発売所を開設する動きにも早めに対応することを決めました。平成27年8月、名張市に三重県下初となる場外発売場ミニボートピア名張をオープン。開設月に1日当たり平均877人の来場者を迎え679万円の売上げを記録するなど、攻めの姿勢を続け、平成28年度には13年ぶりに収益金1億円をモーターボート競走事業特別会計から一般会計に繰り出し津市の公共事業の財源として役立てることができるようになりました。

時流を捉えた業界戦略

自力で稼ぐまで立ち直ったところで、スマートフォンの普及もボートレースに味方します。スマホでレース情報も舟券もスムーズに入手できるようになると、業界は人気タレントを起用して斬新なCMを投入するなど、若い世代や女性への広報に重点的に力を入れました。その結果、スマホ利用による舟券購入が爆発的に増加。全国の電話投票売上額はここ10年で3.6倍の伸びを示しています。

全国の年間総売上額も1兆5,300億円まで回復し、どん底の平成22年度の2倍近くの水準を達成。津市は平成29年3月、2カ所目となる場外発売場ボートレースチケットショップ養老を岐阜県にオープン。本場では、安全でレベルの高いレースの実施を目指して老朽化が進んだ競技棟と管理棟の整備を計画するなど、投資を続けました。

目標額20億円の活用先

業界が一丸となってファンサービスを本格化させ魅力アップを図ったボートレース事業は平成23年に底を打ち反転したと捉えてよさそうです。令和2年度予算において、津市は公共事業の財源に充てるモーターボート競走事業の収益金を、目標としていた20億円計上することにしました。繰出額が20億円を超えるのは実に29年ぶりのこと。この収益金20億円は、学校校舎改修やこども園の増設など未来を担う子どもたちのための施策に充て、大切に使わせていただきます。

ボートレース津はファンサービスを追求し地域社会への貢献を続けてまいります。これからもご愛顧くださいますようお願いいたします。


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