施政方針(令和3年2月/令和3年第1回津市議会定例会)

登録日:2022年3月3日


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 令和3年第1回市議会定例会の開催に当たり、令和3年度の市政運営に臨む私の方針を申し述べ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 

 昨年は、新型コロナウイルス感染症が社会を大きく変えた1年でありました。この感染症のような大きな力によって日常が変えられてしまうその時、私たち行政というのは、前例に捉われることなく、何をすべきかをしっかりと考え抜き、そのことを迅速に形にしてお届けしていくことが求められているのではないかと思います。

 実は、事象は異なるものの、10年前も社会を一変させるような大きな力によって、私たちの日常を取り巻く環境が大きく変わったことがありました。それは、2011年3月に発生した東日本大震災です。沿岸部のまちに押し寄せた巨大な津波は、そこに住む人たちが普段当たり前のように見ていた、まちの風景全てを破壊しました。そして、その津波の脅威を映像で目の当たりにした多くの津市民の皆様は、それまで、穏やかな伊勢湾内で起こる自然災害といえば高潮くらいであって、まさか津波までは来ないのではないかと思っていたものが、沿岸部に面している以上、津波は起こり得るんだということを現実のものとして受け止め、その考え方が大きく変わったわけです。このように、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなるという、世の中の変わり目になるようなことが10年前にもあったことを、私は今思い起こしています。

 その当時、市長就任直後でありましたが、市民の皆様の安全や安心に対する気持ちの高まりを受け、津波避難ビルの指定、地域防災計画の津波対策編の策定など防災対策の充実や、かねてから課題となっていた動き出さない救急車問題の解決を最優先に進めました。市政運営に関わって極めて日が浅い状況ではありましたが、市民の皆様が感じている心配や不安に対して、行政として出来る限りのことを、迅速かつ的を絞って取り組んでいこうという姿勢で全力を注いでいたことを思い出します。

 10年の時を経て、私たちは今、新しい感染症に向き合っています。感染しない、感染を拡大させないことを最優先に取り組む新しい社会は、全ての市民に対して、日常生活や経済活動に非常に大きな制約をもたらしています。10年前と同様、これまで当たり前であったことが当たり前ではなくなるという、世の中の大きな変わり目にあって、津市は政策を実行する姿勢を大きく変えることとしました。市民の皆様の不安や制約が多いなかで、まずは市民の命を守り、そして、地域経済を支え続けることを根幹に据え、市役所の持つ人材や財源などの経営資源を全て集中投入し、その時々の状況にしっかりとお応えするために、今必要とされること、今やるべきことを選択し、迅速かつ的確に実行することを基本としてきています。今後も感染状況に応じて、行政に求められることは日々変化していくことから、その時点の状況を厳しく受け止め、市民に優しいコロナ対策を穏やかに講じてまいります。

 

 令和3年度は、ウィズコロナの難局を打破し、ポストコロナを見据えながら、市民の命と暮らしを守り、将来への持続可能なまちづくりを進めていくことを市政運営の基本とします。

 まずは、コロナ対策を最優先事項として取り組んでまいります。令和2年度のコロナ対策については、今定例会に御提案中のものも含め、計10回の補正予算を組んで、逐次必要な施策を重ねてまいりました。令和3年度もこれまで同様、コロナ対策に最優先で取り組むため、まずは、当初予算に総額約17億3千万円を計上しました。今の市民生活や地域経済の状況に緊急に対応しなければならない対策、そして、通年で取り組んでいこうとする対策の両方を盛り込みました。

 市民の皆様へのワクチン接種に取り組みます。2月8日付けで新型コロナウイルスワクチン接種推進室を健康づくり課内に設置しました。新たに11名の職員を配置し、1課1室、総勢25名体制で、国から届いたワクチンを市民の皆様に混乱なく、迅速かつ着実に接種していただけるよう準備を進めています。公共施設や商業施設数箇所を拠点とした集団接種会場の確保や高齢者施設での入所者への接種など、全ての市民の皆様がワクチンを接種しやすい体制を整えるため、医療機関との委託契約や接種場所の確保のための費用など、直ちに対応できるよう、約12億2千万円の経費を計上しました。

 また、市民生活や経済活動全般への支援策についても、昨年の実績や経験を踏まえ、地域経済への支援や感染防止・衛生対策、ウィズコロナ社会での新たな生活様式に対応した未来に残る対策など、状況の変化を的確に捉えた市独自の支援を実施してまいります。

 まずは、地域経済への支援です。感染状況によって影響に波はあるものの、引き続き困難が続く地域経済に対して時宜を得た支援に取り組みます。

 現在、特に大きな影響を受けている飲食店やその取引事業者などに対する事業継続のための支援を行います。かねてより、三重県に対し、飲食店などの減収に対する支援を求めてまいりましたが、2月5日、県は新たな支援策として、忘年会、新年会の時期にあたる12月と1月に特に大きな影響を受けた飲食店などに対し、一律30万円を支援することを発表しました。この支援策に重ねる形で、通常であれば送迎会などで売り上げが伸びることが想定される2月、3月において、売り上げに影響がある飲食店などに対して、売上額の減少に応じて10万円から30万円の支援金を交付します。

 また、がんばる事業者応援プロジェクト事業として、現在行っている、津センターパレスホールを新たな事業展開の場とする飲食事業者への支援や津センターパレス1階及び津市まん中広場での津がんばるマルシェによる支援の形態に加え、津センターパレスのホテル部分を、新たにチャレンジショップやパイロット事業を展開する場として提供することで事業者を支援してまいります。

 中小企業者への補助金制度を拡充します。企業の自社サービスや自社商品PRのための展示会出展への補助金については、新たにオンラインによる展示会を対象とします。また、従業員のための研修会についても、オンラインによるものを対象とします。

 文化芸術などの市民交流活動については、感染防止対策を行いながら、これまでと同じような活動を行っていただけるよう、市文化施設で催し物を開催する個人や団体への感染拡大予防品の購入や施設使用料への支援を引き続き行ってまいります。

 空き家対策では、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、特に都市圏では地方の魅力が見直されていますが、コロナ禍においては、県外や市外の方に本市を訪問していただくことが難しくなっています。本市に足を運ばなくても、物件をより詳細に御覧いただけるよう、空き家情報バンクサイトに空き家内を撮影したパノラマ画像を公開するとともに、動画によるデジタル空き家見学会を開催します。これらの新たな取組を、より多くの方に御利用していただくことで移住の促進にもつなげてまいります。

 感染防止・衛生対策も充実させます。

 指定避難所においては、プラスチック自立バーやレスキューシート、トイレ処理袋などの物品を追加配備し、中長期的な避難所運営を念頭に置いた感染拡大防止を図ります。また、公共施設においては、消毒液や非接触型検温システム、足踏み式手指消毒スタンド、飛沫(ひまつ)感染防止用のアクリル板などを購入し、感染防止対策をさらに進めます。

 現在行っている1歳6か月児と3歳児の健康診査は、人と人との距離を十分確保するため、1回当たりの診査の対象者を減らし、実施回数を増やします。

 学校・教育関係への対策では、保育所・こども園や幼稚園、小・中・義務教育学校などにおける臨時休業や出席停止措置を講じられた子どもの保護者に対し、当該措置によって生じる家計への負担軽減を図るため、支援金の交付を引き続き実施します。また、三重短期大学附属図書館においては、図書資料の返却・貸出を行うためのポストとロッカーを設置します。利用される市民の皆様や学生が人と人との接触をさらに避けられるようにするとともに、閉館時の利便性の向上につなげてまいります。

 救急医療対策については、感染が拡大するなか、医療関係機関への負担を鑑み、医療提供体制の整備のための支援を引き続き行います。また、高規格救急自動車に積載する医薬材料や車内消毒のための消毒液などを購入し、救急患者搬送時の感染予防対策を徹底します。

 将来に残る感染症対策として、公共施設への空調設備とトイレ洋式化の整備をさらに進めます。これまで空調設備については、89施設に160基を設置・改修するとともに、トイレの洋式化については、避難所など84施設に253基の整備を終えました。今後さらに、空調設備については、25施設に110基、トイレの洋式化については、61施設に167基を整備します。

 以上、コロナ対策の主な事業を申し上げました。

 なお、ワクチン接種に係る約12億2千万円の経費の財源については、全額国費負担となりますが、市独自のコロナ対策に係る約5億1千万円の経費については、新型コロナウイルス感染症対策事業基金の取り崩しを含む一般財源としています。一方、1月28日に成立した国の第3次補正予算には、追加で新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が盛り込まれ、令和3年度において活用できることとなりました。同交付金については、交付金を活用した事業展開全体のなかで、市独自のコロナ対策に係る約5億1千万円について、一般財源から振り替えて充当していくことや、今後必要となる追加対策への活用を考えてまいります。

 

 次に、9月25日から三重とこわか国体が、10月23日からは三重とこわか大会が始まります。ウィズコロナ時代に開催される新しい形での国体・大会として、市役所一丸となって取り組んでまいります。

 本市で開催される国体は県内最多の9競技11種目となっており、既に開催まで秒読み段階に入っています。競技開催に係る会場設営や警備のための経費、新聞・ラジオでの広報啓発にかかる経費など、約14億5千万円を計上しました。大会運営については、当初の想定から思い切った見直しを行い、例えば、会期前の9月11日からの競技開催が認められたことによる会場変更に伴い、仮設テントや仮設スタンドの設置が不要となったことなどにより、約2億3千万円の経費削減が実現した一方で、感染症対策として、来場者の混雑を避け、密の回避を図るための経費や事前に来場者を把握するための管理システムの導入などにより、約7千万円の経費が増額となりました。

 開催にあたっては、感染状況によって開催直前まで事前の決定事項が決められたとおりに進められるかどうかわからないという非常に難しい面も持ち合わせていますが、安全で安心な大会運営を最優先に準備を進めてまいります。コロナ禍にあっても、全国各地から参加される選手の皆様が、本市の会場を舞台として最高のパフォーマンスを発揮され、また、市民の皆様にとっても心に残る祭典として成功裏に終えられるよう、三重県としっかりと連携して取り組んでまいります。

 

 また、将来に向けて持続可能なまちづくりのための施策も着実に進めてまいります。

 令和3年度は、これまで道路・橋梁や学校施設の長寿命化などに活用してきた、国の防災・減災、国土強靱化のための新たな5か年の対策のスタートの年であり、合併市町村が地域の創意工夫によりまちづくりを進めていくための合併特例事業債の活用が可能となる最後の5年間が始まる年でもあります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化するなか、公共事業の推進は地域経済の下支えにもつながります。これらの財源を最大限に活用し、各施策に積極的に取り組んでまいります。

 まずは、未来を担い築く子どもたちや市民が健やかに暮らせるための施策です。

 子どもたちが快適に学ぶための環境整備や放課後の居場所づくりをさらに進めます。学校施設については、平成23年から約90億円を投じてきた、9校の老朽化対策のための大規模改造が令和2年度末で終了します。今後は、長寿命化のための新しい計画に基づく改修工事に着手します。今後5年間で10校程度の整備を目標とし、令和3年度は、修成小学校、安濃小学校、朝陽中学校の工事に取り掛かるとともに、上野小学校、西橋内中学校、橋南中学校の設計を行います。また、桃園小学校のプレハブ教室解消のため、普通教室棟の増築工事を令和3年度中に完了させます。

 市立6つ目となる(仮称)河芸こども園の整備も進めます。上野保育園、上野幼稚園、豊津幼稚園を一体化し、認定こども園に移行します。現在の上野保育園舎を乳児棟、上野幼稚園舎を幼児棟として活用するための改修を行い、令和4年4月の開園を目指します。

 放課後児童クラブの整備もさらに進めます。成美地区と栗葉地区については、学校施設の一部を改修し、受け入れ人数を拡大します。南が丘地区については、4つ目の施設を新設するため、また、誠之地区については、学校施設の一部を改修するための設計に取り掛かります。安東地区については、3月末をもって閉園する安東幼稚園の一部を活用し、4月から新たにクラブを開設します。

 GIGAスクール構想の取組もさらに進めます。児童・生徒への1人1台パソコンの配置については、3月末までに全ての小中学校及び義務教育学校での配置が完了します。これを受け、国の実証事業を活用し、対象となる学校において学習者用デジタル教科書を導入します。

 民間保育所などにおける保育ニーズに対応した施設整備への支援も行います。上浜保育園の移転新築、高田保育園及び風の子藤水保育園の増築に対する支援を行い、教育・保育提供量の拡大につなげます。

 産婦健康診査を新たに始めます。産後の初期段階における産婦の不安を受け止め、産後うつ病の予防や新生児への虐待防止などを図るため、産後2週間と1か月目の産婦を対象に健康診査を実施します。

 コロナ禍で自宅に閉じこもりがちとなる高齢者の介護予防に向けては、ふれあい・いきいきサロン事業や元気アップ教室などへの支援を引き続き行ってまいります。

 

 次に、安心・安全に暮らせるまちづくりに向けて、社会基盤の整備も進めます。

 仮橋での通行となっている津興橋については、令和7年度の供用開始に向け、現在、旧橋の上部工の撤去を終え、6基のうち3基の橋脚撤去と新橋の左岸側橋台の設置工事を進めています。令和3年度は、残る3基の橋脚撤去工事にも着手いたします。

 大谷踏切の拡幅工事については、令和6年度の全面開通を目指し、令和2年度から着手した踏切工事に加え、令和3年度からは架道橋工事にも取り掛かります。

 高茶屋小森町第24号線は、国道165号と県道上浜高茶屋久居線に接続する重要な迂回(うかい)路であり、交通量が多く、通学路にもなっています。令和4年度の完成を目指し、道路改良のための用地買収を進めます。いつくしみの(もり)へのアクセス路となる半田久居線及び雲出野田線については、工事着手に向け、さらに用地買収を進めます。また、井生波瀬線についても、令和4年度からの工事着手に向け、用地買収を進めます。

 雨水対策事業や河川の浚渫(しゅんせつ)もさらに進めます。津市雨水管理総合計画に位置付けた14の重点地区における管渠(かんきょ)整備やポンプ場の建設などを行います。また、防災・減災、国土強靱化のための新たな5か年の対策のスタートに合わせ、適用期間が5年間延長となった緊急自然災害防止対策事業債を活用し、4箇所の河川改修事業、1箇所の排水機場放流(きょ)改修事業、2箇所の農業用ため池洪水調整池転用事業を進めるとともに、令和2年度に創設された緊急浚渫(しゅんせつ)推進事業債を活用し、6河川での浚渫(しゅんせつ)を実施します。

 

 市民の暮らしの潤いや市民サービスにつながる施策も積極的に進めます。

 地域から施設整備が望まれてきた(仮称)津西会館別館については、令和4年6月の供用開始に向け、建設工事に着手します。

 コミュニティバス及び自主運行バスについては、社会情勢の変化や市民ニーズを踏まえ、一部松阪市域への乗り入れなど、路線の再編やダイヤ改正による新ルートでの運行を4月から開始します。また、1日の平均利用者数が3,000人を超える近鉄南が丘駅については、バリアフリー化を推進するため、事業者が行うエレベーターやスロープ設置による段差の解消、多機能トイレの設置などの整備に対して支援を行います。

 国体・大会開催を目前に控え、スポーツ施設も新しく生まれ変わります。旧津市民プール跡地に整備を進めてきた津市民テニスコートは、12面のコートや管理棟を備えた新たな施設として5月にオープンします。

 三重とこわか国体の高等学校野球の競技会場となる津球場公園内野球場については、観客席や選手の控室を改修し、駐車場も194台から547台に大幅に増設するなど、7月にリニューアルオープンします。

 中勢グリーンパークについては、官民連携によるPark-PFIを活用し、基盤整備済の未開園エリアの整備に向け、現在事業者を募集中であり、令和4年度からの工事着手を目指します。

 本市及び鈴鹿市、亀山市との広域的な災害対応力の維持・強化を図るため、消防指令業務の共同運用に向けた取組を進めます。令和8年度からの運用開始を目指し、令和3年度は3市による基礎調査を実施します。

 令和元年度から開始した本庁舎の大規模改修については、いよいよ9月に全ての工事が完了します。長期間にわたり、来庁者の皆様には御迷惑をお掛けしましたが、地下の受変電設備や自家発電機の高所化により災害対応機能が強化され、排水設備の更新や全フロアのトイレの洋式化などにより、施設環境の向上が図られます。

 

 最後に、市民の暮らしを支える地域経済のための施策です。

 ビジネスサポートセンターにおいては、起業・創業を目指す方の支援や事業承継支援などを継続して行うとともに、創業や経営分野などの専門家による相談については、新たにオンラインでの相談を始めます。コロナ禍においても、事業者に寄り添い、きめ細かに支援します。

 農業振興に向け、農地・農業用水の保全や施設の長寿命化のため、多面的機能の維持・発揮を図るための活動にもしっかりと支援してまいります。また、農地を獣害から守るため、捕獲による個体数調整や防護柵の設置など、地域と連携した獣害対策を引き続き進めてまいります。

 水産振興にも取り組みます。コウナゴ漁が5年連続禁漁という厳しい状況のなか、漁業者の新たな取組として期待される、すじ青のりの種苗養殖・放流事業に対して支援してまいります。また、香良洲漁港の堤防については、現在進めている高潮対策のための堤防の嵩上げ工事を令和3年度中に完了させます。

 森林環境譲与税を活用した森林環境施策もさらに進めます。未整備森林の解消に向け、美杉地域においては間伐を、芸濃地域においては森林の現況調査と間伐を引き続き行うとともに、森林所有者への意向調査については、一志地域と白山地域にも拡大します。また、個人の森林所有者や森林組合などが行う小規模な間伐や植栽への支援も行います。

 次に、津センターパレスのホテル部分については、昭和60年以降、近鉄グループによる経営として18年間、その後の18年間は、経営危機に陥ったホテル存続のために、地元経済界が出資して設立した株式会社津センターから近鉄グループへの運営業務委託による経営が続いてきましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、2月末をもって当該委託契約が終了することとなりました。

 これにより、津センターパレスを擁する大門・丸之内地区は、新たな展開を迎えることになります。入居事業者を募集する株式会社津センターパレスにしっかり協力していくとともに、次の入居事業者が決定するまでの間、ホテル部分の一部を、本市のコロナ対策としての事業者支援の場としてまいります。また、当該地区については、従来の商業振興という観点をさらに広げて、津インターチェンジ周辺から津なぎさまち周辺へとつながる新都心軸と、都心活動の南北軸となる国道23号が交差するエリアとして、その将来の姿を都市空間やまちの歴史、津らしさの3つの視点をもって、都市計画の観点からの調査分析に着手します。

 

 国や三重県の事業についても促進されるよう働き掛けてまいります。

 まずは、国の事業です。津松阪港区域の海岸堤防整備については、いよいよ市内全ての工区の整備の完了が見えてまいりました。阿漕浦・御殿場工区については、延長3,485mのうち、三重とこわか国体・三重とこわか大会の競技会場周辺を含む2,374mが完成し、栗真町屋工区については、令和3年度中には2,062m全ての工事が完了します。平成30年度に直轄事業化された栗真工区についても、令和2年度から工事に着手され、着実に整備が進められています。全工区の令和5年度の工事完了に向け、引き続き整備促進を働き掛けてまいります。

 一級河川雲出川については、雲出川水系河川整備計画に基づき、河道掘削や堤防整備が進められています。本川の下流部の雲出古川左岸の雲出伊倉津町地内、右岸の香良洲町地内における堤防整備の早期完了とともに、木造地区における堤防整備の促進を求めてまいります。

 中勢バイパスについては、全線4車線化に向け、市内4箇所目として令和2年度から工事が進められている長岡宮ノ前交差点付近の部分4車線化の早期完了とともに、部分立体化に向けた地質調査と橋梁の予備設計が行われている大里窪田出口交差点の早期の工事着手を要望してまいります。

 続いて、三重県の事業です。高潮対策としての嵩上げ工事が進められている上野・白塚地区の海岸堤防整備については、上野地区海岸の着実な整備促進とともに、詳細設計が行われている白塚地区海岸についても早期の工事着手を要望してまいります。また、白塚漁港海岸堤防については、これらの進捗に合わせ、白塚工区の高さ6mの堤防整備の早期完了と、令和2年度から基本設計が行われている河芸工区の早期工事着手を要望してまいります。

 大規模特定河川事業による新相川橋の架け替えについては、令和2年度から仮橋を含む仮設道路の整備が進められています。令和3年度は水道管やガス管などの占用物件の移設に着手される予定です。

 県管理河川における治水対策については、令和2年度は堆積土砂対策予算を前年度の約2倍確保され、安濃川や長野川をはじめとする河川の堆積土砂の撤去が積極的に進められました。今後も引き続き、十分な予算の確保と計画的な浚渫(しゅんせつ)の実施、河川改修の促進を要望してまいります。

 供用開始まで残り約1年となった香良洲橋については、工期内の確実な工事完了に向け、事業の促進を要望してまいります。

 亀山安濃線の高野尾バイパス、国道163号の片田バイパス、津久居線の相川橋梁、一志出家線の中川原橋、一志美杉線の室ノ口バイパス及び室ノ口から矢頭トンネル、国道368号の下太郎生及び奥立川工区などの道路整備についても、引き続き要望してまいります。

 

 以上の各施策を推進するための令和3年度の予算は、前年度比0.3%増の1,099億4千万円となりました。

 歳出については、合併特例事業債を活用して行う大規模事業が終了したことに伴い、普通建設事業費は前年度比29.3%減の68億5千万円になりましたが、市民生活に関わる重要なインフラ整備などの事業費は増額しています。

 歳入については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、市税収入全体で、前年度比4.6%減の395億1千万円、地方交付税は、普通交付税の合併特例措置の終了を受け、前年度比6.1%減の169億円を見込んでいます。市債は、臨時財政対策債が前年度比120.3%増の65億円と大幅に増加したことなどにより、前年度比10.1%増の87億2千万円を計上しています。また、公債費の償還に充当する減債基金など、特定目的基金を20億1千万円、財政調整基金を50億円取り崩して編成しました。

 

 令和3年度、1年間の市政運営について述べてまいりましたが、ここで、早急に解決すべき目の前の課題である特定の自治会に対する諸問題への今後の対応策について申し上げます。

 現在、法律顧問弁護士による調査が進められ、個別案件ごとの調査結果がまとめられており、順次速やかに公表してまいります。刑罰法令に違反する疑いのある事案に関する相談や今後の調査状況にもよりますが、3月末に最終報告をいただく予定です。最終報告を受けて、明らかに市職員の職務が公正公平に執行されていなかったものについては、職員の処分も含め、厳正に対処いたします。なお、職員の管理責任は市長である私にございます。

 次に、今回のような事態の再発を防止するため、津市の組織風土や事務執行を改革いたします。まず、職員が困難な問題を抱え込み、苦しんできたことへの反省を踏まえ、全ての職員が相談しやすい組織を作ります。市長直轄の市役所内部を統制する組織を新たに設置することを検討しており、それに必要となる条例改正案を今定例会で追加提案したいと考えております。そのうえで、職務権限の範囲や事務執行の方法に問題があったものは、事務執行の仕組やルールの見直しを行います。不当要求や圧力に対して毅然と対処できるように口頭や面談での要求を記録・報告する仕組の構築とともに、職員の倫理規程も策定してまいります。

 私の責任のもとで、過去を断ち切り、職員一人一人が公正公平な職務に専念できる体制を作り上げてまいります。

                                         

 最後に、新型コロナウイルス感染症については、依然として先行きが不透明で出口が見えない状況のなか、令和3年度のスタートを迎えることになります。思い返しますと、昨年のこの時期にお示しした令和2年度の施政方針には、コロナや感染症という言葉は全くなく、よもや感染症への対応が中心となる1年になるとは思ってもいなかったわけです。  

 しかし、その後、学校の休業要請や緊急事態宣言に端を発した市民生活や地域経済への影響に対応するため、コロナ対策に取り組んできた1年であったわけです。おそらく令和3年度もそのような年になると思われます。コロナ禍という閉塞した状況のなかではありますが、三重とこわか国体・三重とこわか大会が希望のきらめきを放ち、私たちの一つの明るい見通しとなることを願いながら、市民の皆様が安心して暮らせるよう、全職員が全力で市民の皆様を守り抜くということを強く申し上げて、令和3年度の施政方針といたします。

 市民の皆様、議員の皆様の温かい御支援、御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。


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