「広報津」第387号(音声読み上げ)人権だより 第16号

登録日:2022年3月16日


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折り込み紙2

人権だより 第16号

令和4年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366

成年年齢の引き下げ。変わること変わらないこと

成年年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを内容とした民法の一部を改正する法律が、今年4月1日から施行されます。民法が定める成年年齢は、一人で契約をすることができる年齢と父母の親権に服さなくなる年齢という意味を持ちます。例えば、未成年の場合は携帯電話を契約する際や部屋を借りる際に親の同意が必要ですが、成年に達すると同意がなくても、こうした契約が自分でできるようになります。また、親権に服さなくなるため、住む場所や進学・就職などの進路を自分の意思だけで決定することができるようになります。

その一方で、未成年の保護がなくなったばかりの成年を狙う悪質な業者をはじめ、消費面や生活面でさまざまなトラブルに巻き込まれることが懸念されます。また、飲酒・喫煙、競馬など公営競技の年齢制限は、これまでと変わらず20歳のままです。

成年年齢の18歳に達しても、若者の社会的自立に対して支援する必要がなくなるわけではありません。若者が社会と関わり、自立した自己を確立し次代の社会を担うことができるよう、社会環境の整備や支援を進める必要があります。

コラム、出会いと気付き

今日は先生らが本音で話をしにきてくれて、ほんまによかったわ。これは約25年前、勤めていた中学校の校区に住むAさんが私たちに掛けてくれた言葉です。Aさんは、地域で差別をなくす取り組みを続けてきた人です。学校では人権教育に取り組んでいましたが、当時の私たちは先進地での取り組みをまねようとするだけで、地域から学ぼうとはしていませんでした。そんな私たちに、出会った頃のAさんは、先生ら、本気で差別をなくしたいと思ってくれとるんやろか。と短く言うだけでした。

目の前の子どもたちが生活する地域社会の中にどのような差別の実態があるのか、地域の人たちがどのような思いや願いを持っているのか、そのことを知ろうとすることもなく人権教育を進めることはできないと気付いたとき、私たちは再びAさんと話がしたい、思いを聞かせてほしいと思い、会いに行ったのです。

Aさんは、自分たちの地域だけ祭りに参加できずに悔しい思いをしたことや、住みやすい地域づくりのために仲間と話し合ったこと、孫が差別を受けないか心配なことなど、自身の経験や思いを話してくれました。(Aさんのコメント)わしらの時代はな、人権とか差別をなくそうなんて言葉、誰も教えてくれやんかった。悔しい思いをしても、言葉で返すことができやんかったんや。先生、小学1年生から人権についてしっかり教えたってくれ。部落問題だけではなく、障がい者、外国人、女性の人権のことも、全部やってくれ。一つ一つ真剣に取り組んでいってほしいんや。(コメントおわり)

数年後、校区で初めて人権フェスティバルを開催することができました。Aさんは、子どもたちがステージの上で語るいじめや差別をなくしていきたいという思いを聞き、人権学習をまとめた掲示物を一枚一枚丁寧に見て回ったあと、子どもらがこんなにええ勉強してくれとるんやったら、わしらの地域の中でも発信してほしい。わしらも一緒に差別をなくしていく仲間をつくりたいんや。と言われました。Aさんのこの言葉から、私たちはようやくAさんの本当の思いに気付くことができたのです。

かつては差別はいけないとスローガンのように教え込むことだけが人権教育だと捉えていた私が、全ての人を大切にできる生き方を子どもたちと共に学び、考えていきたいと思えるようになりました。そのきっかけをくれたのがAさんとの出会いでした。

残念ながら私たちが暮らす社会にはさまざまな差別があります。そしてその社会を構成している一人が私なのです。だからこそ、社会にある差別をなくしていこうとする私でありたいと、今は思います。

今年は、水平社宣言が出されて100年の節目の年です。宣言文に人の世に熱あれ 人間に光あれ。とあるように、全ての人にとってあたたかく、光が当たる社会をつくっていくために、これからも自分自身を問い続け、学び続けていきたいです。

差別を解消することを目的にした3つの法律をご存知ですか

平成28年に障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法の3つの人権に深く関わる法律が施行され、5年が経過しましたが、法律の内容や法律そのものを知らない人が多くいる状況です。

津市では、こういった法律や人権問題に対してさらなる周知と啓発を進め、一人一人の人権意識の高揚が図られ、人権が尊重される社会の実現をめざしていきます。

障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)

全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現をめざす法律です。

この法律では国・都道府県・市町村や事業所などが障がいがある人に対して、正当な理由なく障がいを理由として差別する不当な差別的取扱いを禁止しています。また、障がいのある人から社会の中にあるバリアを取り除くため何らかの対応を必要としている意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応する合理的配慮の提供を求めています。

設問 あなたは障害者差別解消法を知っていますか

令和元年度人権問題に関する三重県民意識調査に基づきます。また、構成比率は少数点第2位以下を四捨五入しています。

ヘイトスピーチ解消法
(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)

特定の民族や国籍の人々に対し、差別意識を助長・誘発し排斥することをあおるような不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)を解消し、民族や国籍等の違いを超え互いの人権を尊重し合う社会の実現をめざす法律です。

あなたはヘイトスピーチ解消法を知っていますか

令和元年度人権問題に関する三重県民意識調査に基づきます。また、構成比率は少数点第2位以下を四捨五入しています。

部落差別解消推進法
(部落差別の解消の推進に関する法律)

現在もなお部落差別が存在し、情報化の進展に伴ってその状況に変化が生じてきていることを踏まえ、部落差別は許されないものであるとの認識の下、部落差別のない社会の実現をめざす法律です。

あなたは部落差別解消推進法を知っていますか

令和元年度人権問題に関する三重県民意識調査に基づきます。また、構成比率は少数点第2位以下を四捨五入しています。

人権相談窓口

人を差別し、人の心を傷つける落書きを見たら、津市人権課へ通報・連絡してください。

第40回全国中学生人権作文コンテスト三重県大会表彰式が開催されました

昨年11月27日に、三重県人権センターで第40回全国中学生人権作文コンテスト三重県大会の表彰式と朗読会が、コロナ禍による中止を経て2年ぶりに開催されました。この大会は、津地方法務局と三重県人権擁護委員連合会が主催し、次代を担う中学生が日常の家庭生活や学校生活、社会との関わりの中で得た体験に基づく作文を書くことを通して、人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深め、豊かな人権感覚を身に付けることを目的としています。

作品は、いじめや障がい者・外国人に対する差別、高齢者の人権などさまざまな課題に向き合ったものに加え、新型コロナウイルス感染症に関わる差別を取り上げた内容もありました。

表彰された作文の一つに、自分と人との違いをテーマにした話がありました。その内容は、自分自身の障がいについて、傷付いたり学んだりしたことに触れながら、互いに理解し合える友達との関係を築き、それが心の支えになっていった経験を語るものでした。そして、みんなで差別のない社会をつくっていけたらいいと呼び掛け、もし学校でいじめや差別が起こってもそれを止められるようにしたいと力強く発信していました。

中学生の皆さんが日常の生活の中で気付いたことや考えたことを通して、私たち大人も共に学びながら、津市における人権が尊重される社会づくりと人権問題への取り組みに役立てていきたいと思います。

過去の中学生人権作文の入賞作品は、三重県立図書館などで閲覧していただけます。

人権講演会、今こそ問われるハンセン病の教訓 コロナ禍で考える差別

昨年12月4日に、一志農村環境改善センターで一志人権フェスティバルが開催され、三重テレビ放送報道制作局長の小川秀幸さんに講演していただきました。小川さんはハンセン病の取材を20年以上続けておられ、講演では国の隔離政策に苦しめられたハンセン病元患者・回復者が国家賠償請求訴訟で勝訴してから令和3年で20年の節目だということに触れ、社会全体で考えることが大切だと話されました。

小川さんは家族の救済を国に求めた訴訟では特徴的なこととして、全国で500人以上が原告となる中、自分の顔や名前を明らかにして裁判に臨んだ原告は数人であったことが挙げられます。それは社会の差別が厳しいことの裏返しだと考えると、社会全体の責任が問われているのではないでしょうかと話されました。また、療養所入所者にとって辛かったのは、小さい頃に親と離れ離れになったことや、故郷とのつながりを失ってしまったことでした。それが社会復帰を妨げている大きな理由ではないか。もし、ハンセン病に対する差別や偏見がなければ、故郷や家族の元へ戻れる人がもっといたのではないでしょうかと続けられました。

新型コロナウイルス感染症に関してはコロナ禍で、ハンセン病から学んだことが生かされていないのではないかといわれます。しかし、そもそも、ハンセン病に対する正しい認識が社会に共有されていたのでしょうか。生かされなかったのではなく、社会に浸透していなかったことが問題なのではないでしょうかと述べられました。

最後にハンセン病で差別されて苦しんで亡くなっていった人はたくさんおられます。その人の人生はもう戻ってきません。そこで、私たちにできることは何かと考えた時に、あらゆる差別がなくなるように努めていくことこそが、私たちの責務だと思いました。これをきっかけにハンセン病ならびに人権問題について一緒に考えていきましょうと呼び掛けられました。

参加者からは、さまざまな差別や偏見に苦しむ人が社会にたくさんいることを知り、正しい知識を身に付けることの大切さについて考えるよいきっかけになった。ハンセン病だけでなくさまざまなことに対して関心を持って学び続け、正しく行動できる人になりたい。差別されるのは新型コロナウイルス感染症も同じだと感じた。誰もが未知のものを怖がり、自分から遠ざけたいと思った時、どうあるべきなのかと考えるきっかけになった。との感想がありました。

津市では、市民の皆さんに人権問題を自分自身の問題として捉える機会としていただけるよう人権講演会や市民人権講座を開催しています。私たち一人一人が人権感覚を磨き、誰もが自分らしく暮らすことのできる社会を築きましょう。

人権標語・人権ポスター入選者一覧

人権標語

人権ポスター

最優秀賞
優秀賞 (順不同)

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