「広報津」第411号(音声読み上げ)人権だより 第17号

登録日:2023年3月16日


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折り込み紙3

人権だより 第17号

令和5年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366

一人一人の人権が尊重される津市をめざして

津市では、平成18年9月に人権が尊重される津市をつくる条例を制定し、平成19年3月に人権尊重都市宣言を行いました。また、平成20年7月には津市人権施策基本方針を策定しました。

これらの条例や基本方針に基づいて、一人一人の人権が尊重される明るく住みよい社会の実現をめざし、さまざまな人権施策に取り組んできました。

この基本方針の策定から10年以上が経過しましたが、いまだに差別がなくならない状況があります。また、インターネット上での人権侵害事例も多発するなど、新たな人権課題が顕在化するとともに、人権課題そのものも多様化・複雑化してきています。

このような状況を受けて、平成28年には障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法のいわゆる人権三法が施行されました。また、令和4年5月には、差別を解し、人権が尊重される三重をつくる条例が施行され、人権問題に関する相談体制の充実など、差別解消への取り組みが進められています。

津市においても、さまざまな人権課題に対応するため、基本方針の見直しを行っています。今後も、新しい津市人権施策基本方針に基づく人権施策を進めながら、一人一人の人権が尊重される津市をめざしていきます。

コラム、差別に負けとったらあかん

令和4年8月、母が人生の終焉を迎えました。

私が小学生の頃、母は先生と部落問題についてよく話をしていました。それが後に地域の親と先生で部落問題について語り合う会に発展し、母はその会に参加していました。私は自分が住んでいる地区が被差別部落であることを知ったばかりで、部落差別って何なんやと子どもながらに興味を持ち、母とその会に参加しました。そこでは、時に母たちが泣きながら訴える姿や怒りをあらわに話す姿がありました。私は母たちが子どものことを思い、必死に語る姿を見て、そんなに大変なことなんやと思ったのと同時に、自分はこんなに大切に思われているんだと感じたことをよく覚えています。

小学6年の時、好きな子を遊びでからかったことがあります。今思えば遊びだと思っていたのは私だけだったのでしょう。その子は、相当腹が立ったのか、部落のくせに、と言い放ちました。私は急に放たれたその言葉に衝撃を受け、何も言い返すことができませんでした。部落差別なんて、昔のことやろと思っていた私が、初めての差別を感じた瞬間でした。そう言われた場面は、未だに脳裏に焼きついています。どれくらいの間、その言葉の意味を考えたでしょうか。何日か後に自分一人で抱えきれなくなり、母にそのことを伝えました。後日、その言葉を発した子が両親と共に自宅を訪れました。私は父と母が相手に怒るのではないかと思い、ハラハラしながらその様子を見ていました。しかし、私の心配などは全く無で、母は相手の話に耳を傾け、じっくりと話をしていました。話の中で、その子の叔母さんも部落差別によって勘当されていること、未だに実家と行き来ができていないことが語られました。

私が初めて部落問題に直面してから今まで、数々の部落差別につながる出来事がありました。全てに共通して言えることは、そのどれもが人と人とのつながりを切ってしまうということです。時には、大切な家族でさえも壁に阻まれ、遠い存在にしてしまいます。それが差別です。

母は、差別に負けとったらあかん、とよく言っていました。今、その言葉を母がどのような思いで言っていたのか考えることがあります。自分が生きたい人生を差別によって奪われず生きてほしい、という願いから発した言葉だったのではないかと思います。人は時として、差別する側にも、差別される側、にもなり得ます。私は、人と人とのつながりを切ってしまうような人間には決してなりたくありません。自分の差別心とも真正面から向き合い、これからも、差別に負けない生き方をしていきたいです。それが母の願いでもあると思うから。

お互いを尊重できる社会をつくるために。さまざまなハラスメントがあることをご存じですか

ハラスメントとは嫌がらせ、いじめのことを指し、他人に対して意図的に、あるいは意図せず不快感を与えたり困らせたりする言動や態度のことをいいます。ハラスメントの種類は多様であり、職場や学校、家庭などさまざまな場面で相手を不快にさせる、尊厳を傷つける、不利益を与えるといった発言や行動が問題となっています。

さまざまなハラスメントの認知度について、令和4年度に実施した第7回市政アンケート調査の結果を次に述べます。パワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメト、マタニティ・ハラスメント、モラル・ハラスメントは認知度が高い一方で、パタニティ・ハラスメントやアカデミック・ハラスメントは認知度が低い結果となりました。

設問 あなたは、次のハラスメントを知っていますか

パワー・ハラスメント

92.5パーセント
主に職場での優越的な関係や権力を持った人から、身体的・精神的な嫌がらせや不当な扱いを受けること。

セクシュアル・ハラスメント

84.4パーセント
主に職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われたり、それを拒否した人が不当な扱いを受けること。

マタニティ・ハラスメント

79.3パーセント
妊娠や出産、子育てを理由として嫌がらせや不当な扱いを受けること。

パタニティ・ハラスメント

12.0パーセント
主に男性労働者が育児のために育児休業・時短勤務などの制度の利用を希望または利用したことで、嫌がらせや不当な扱いを受けること。

アカデミック・ハラスメント

23.9パーセント
教育や研究の場で、教員や職員などから優越的な関係や権力を利用して、嫌がらせや不当な扱いを受けること。

アルコール・ハラスメント

40.7パーセント
飲酒に関連した嫌がらせ行為や迷惑行為を受けること

モラル・ハラスメント

72.2パーセント
職場や家庭において、倫理や道徳に反した言葉や態度などによって、精神的苦痛を受けること

どれも知らない

2.1パーセント

その他

1.6パーセント

未回答

1.7パーセント

設問結果の説明

これらのハラスメントを引き起こす要因としては、職場のコミュニケーション不足や、自分自身が思い描く固定的な観念や慣習、本人の無自覚などが挙げられます。自分にはそのつもりがなくても、自分の言葉や態度一つで、知らないうちに誰かを傷つけてしまい、差別やハラスメントをする側になってしまうことがあります。そうならないためにも、相手は性別や年齢が異なることはもちろん、性格や生き方、価値観など異なる内面性を持っていることを意識しましょう。自分にとっての当たり前は、相手にとっての当たり前とはならないことを意識した上で、相手の立場に立って、自分の考えや思いを伝えることが大切です。

また、ハラスメントを受けている人の中にはハラスメントを受けているという自覚がない人もいます。しかし、ハラスメントを受けた状態で我慢し続けていることは、心身の崩壊につながりかねません。辛いと感じたら我慢せず身近な人や専門機関に相談してみましょう。

ハラスメントはしている人、受けている人だけの問題ではなく、それを許している組織や社会の問題です。また、名誉や尊厳を傷つける人権問題であることを忘れてはいけません。私たち一人一人が、お互いの人権を尊重する社会をつくることができるよう、今一度自分の言動を見直してみましょう。

津市としても、市民の皆さんにハラスメントについて考えていただく機会をつくるため、人権講演会や市民人権講座の開催、広報津などを利用してさらなる人権啓発を進めていきます。

人権相談窓口

市民人権講座 職場における人権 職場内で発生するハラスメント

昨年12月6日に、サンデルタ香良洲で市民人権講座を開催し、反差別・人権研究所みえ事務局次長の本江優子さんに講演していただきました。

本江さんは、始めに世界人権宣言を紹介し、差別はあってはならないことを繰り返し強調されました。続けて、ハラスメントは身近な問題です。直訳すると嫌がらせです。嫌がらせをしようと意図しなかったとしても、相手に不快感を与えたり困らせたりする言動や態度がハラスメントです。まず、私たちは、ハラスメントは人権侵害だという認識を持たなければなりませんと話されました。他にもこの講演を通して、いくつか印象的なお話がありました。

例えば、職場におけるセクシュアル・ハラスメントについて、発生の原因や背景の1つには男はこうあるべき女はこうあるべきという男女の性別役割分担意識が考えられます。セクシュアル・ハラスメントをなくしていくためには、まずこの意識を払拭していく必要があります。

また、職場におけるパワー・ハラスメントは、上司などが指導のつもりで言った言葉が人格を否定してしまっている場合などに起こります。大切なのは、職務上必要かどうかを見極めることです。そのため、指導する立場にある人は常に何のために指導するのか、何を指導するのか、自分自身の指導が適切なのか確認することが大切です。マニュアル化して職場全体で共有することも必要です。そうしないと誰でもいとも簡単に加害者側に立ってしまうからです。

そして、ハラスメントを受けた時は、一人で悩まないことも大切です。もし、そんな人を見かけたら声をかけることができる社会にしていきたいと思います。津市としても相談窓口の周知に努め、相談・支援体制の充実を図っています。

参加者からは、人により捉え方はさまざまなのでいつも想像力を働かせて人と関わっていきたい、自分自身を見つめ直すことの大切さを実感した、との意見がありました。

私たち一人一人が、人権問題を自分自身の問題として受け止め、人権感覚を磨きながら、人権が尊重される明るく住みよい社会の実現を一緒にめざしていきましょう。

第41回全国中学生人権作文コンテスト 三重県大会表彰式が開催されました

昨年12月10日に、三重県人権センターで表彰式と朗読会が開催されました。この大会は、津地方法務局と三重県人権擁護委員連合会の主催で、中学生が人権尊重や基本的人権について考え豊かな人権感覚を身に付けることを目的としています。

表彰された作品の一つに、相手を知ることの大切さをテーマにした話がありました。この作文を書いた生徒は、全てがきっちりしていないと不安になり、言葉でうまく伝えられないとさらにパニックになり自分を傷つけてしまう伯父を見て心が痛む、可哀想と思っていました。

その伯父は地域の学校に通っていたとき、差別の目を向けられたこともあったといいます。それでも家族は近所の子どもを家に呼んで、積極的に周囲の人たちと交流し、伯父が地域から孤立せずに自然に受け入れられるつながりをつくりました。この生徒は、そのような家族の話を聞くうちに、伯父のことを知らず知らずのうちに下に見ている自分がいたことに気付き、自らに問いかけます。この社会は、誰にとっても優しく、生きやすい社会と言っていいのだろうか。その人の世界や可能性が狭められていないだろうかと。

そして、初めは可哀想でいいよ。自分がそう感じるんだから。でも、どうして可哀想なのか、可哀想じゃなくするにはどうすればいいか、可哀想がその人を知るきっかけになればいいよねというお母さんの言葉から、相手のことを知ることで人と人とがつながっていけば、誰もが安心して個性を発揮できる社会が築けるのではないかと考えていきます。

また、この生徒は心ない言葉や冷たい視線を受けたことがある伯父さんは可哀想だと思う。でも、簡単に可哀想と感じて終わるのではなく、なぜか、と感じられる自分でいたい。そして、じゃあ、どうするか、と行動に移せる私でありたいと続けました。

中学生の皆さんがこのように日常生活の中で気付いたり考えたりした姿勢に、私たちも学び、互いに認め合える社会をつくっていきましょう。

中学生人権作文の入賞作品は、3月下旬以降に三重県立図書館などで閲覧できます。

人権標語・人権ポスター入選者一覧

人権標語

人権ポスター

最優秀賞
優秀賞(順不同)

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