「広報津」第430号(音声読み上げ)表紙、新年のごあいさつ、第52回新春市長対談 私たちの健康と地球を守るフードテック

登録日:2024年1月1日


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表紙

広報津 令和6年1月1日 第430号

書に込めた新年の誓い

個性あふれる作品を手に、笑顔はじける雲出小学校の児童たち。それぞれの"強い決意"を胸に新しい一年を迎えます。(12月7日)

新年のごあいさつ

令和6年の新春を迎えて

津市長 前葉泰幸
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更され、ようやく社会経済活動が正常化に向けて動き出した一方で、出口の見えない物価高騰が市民生活や地域経済に影響を与え続けた一年でありました。津市では物価高騰対策として、全ての市民を対象にした「くらし応援津市プレミアム付商品券2023」の発行など、きめ細かい支援策を展開してまいりました。
また、4月には国がこども家庭庁を発足させ、子育て支援が「福祉政策」から「こども政策」へと大きく舵を切った年でもありました。津市では7月から市内全ての保育所等を対象に、持ち帰ることが保護者の大きな負担となっていた使用済み紙おむつの回収処分事業を開始するなど、子育て支援の拡充を行ってまいりました。
さらに、9月には津駅周辺における国のバスタプロジェクトの具現化に向け、東口については地域や関係団体等で構成する「津駅東口周辺まちづくり懇話会」を、西口については「津駅西口駅前広場エリアマネジメント会議」を設立するとともに、大門・丸之内地区については、10月から11月にかけキッチンカーや人気店の出店によるにぎわい創出の可能性や道路空間の在り方を検証するための実験を行うなど、都市づくりへの取り組みを始めました。
令和6年、これらの取り組みを進展させ、未来に向けてさらに歩みを進めます。
こども政策については、4月から私立保育園等での保育士等の確保のため、新たに津市の保育所等に就労していただく保育士・幼稚園教諭等に20万円を給付する事業を開始し、9月からは子ども医療費助成の所得制限の撤廃と窓口無料化の中学生までの拡大に加え、津市の独自施策である妊産婦医療費助成についても所得制限を撤廃し、窓口無料とします。
津駅周辺については、大谷踏切の本年12月開通を目指し近鉄架道橋の拡幅工事を進めるとともに、国のバスタプロジェクトが具体的な整備方針の検討段階に進むと見込まれることから、三重県とも連携し、懇話会のご議論を踏まえ、整備イメージなど事業構想を深めます。大門・丸之内地区については、地権者の皆様の意向を聴き取りながら、土地利用の在り方の検討を進めます。
市民の皆様が未来に希望が持てる津市、その実現に向けて着実な市政を推進してまいります。
本年が、皆様にとって、笑顔と希望にあふれる一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

議会活動の効率化を

津市議会
新年あけましておめでとうございます。
市民の皆様におかれましては、希望に満ちた新春をお迎えのことと心よりお慶び申し上げます。
昨年は5月に新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行し、津市において、実に4年ぶりに制限なく「津花火大会」や「津まつり」などが開催され、多くの方が訪れる大変にぎわいのあるイベントとなりました。また今年2月には津シティマラソン大会も開催される予定で、さらなる活気ある津のまちとなることを期待したいと思います。
津市議会におきましては、昨年の取り組みの一つとして、東海4県の市議会議員を対象に持続可能な水産業の確立や伊勢湾の活性化について見識を深めるセミナーを津市において開催いたしました。県内外200名近い皆様にご参加いただき、私たちにとって非常に重要な地域の資源であり、豊かな恵みをもたらす海について、議員各人が改めて向き合い考察する機会となったと考えております。
また、昨年4月には市議会議員補欠選挙が実施され、新しく2人の議員を選出していただき、新たな体制となりました。今後も二元代表制の一翼を担う議会として、市民の皆様の負託と信頼に応え、皆様の意見を市政にしっかりと反映できるよう、全力で取り組んでまいります。
本会議におきましては、令和5年中に約180件の議案審議を行うとともに、350件を超える一般質問を行いました。本会議や委員会の内容については、広く市民の皆様に知っていただけるようインターネットを活用し、ライブ映像や録画映像の配信を行っており、ご自宅等でも視聴いただくことができます。スマートフォンでもご視聴いただけますので、ぜひ多くの皆様にご覧いただければと思います。
また、文書保存・管理の効率化とペーパーレス化を推進するとともに、議会活動や政務活動の効率化を図ることを目的とし、検討を進めてまいりましたタブレット端末の導入が決まり、今年の1月から運用を開始いたします。今後は、タブレット端末を活用する中で見いだされる課題の解決や、さらなる活用方法の検討などの取り組みを進めてまいります。
市民の皆様のより一層のご支援とご協力をお願いいたしますとともに、本年も皆様にとって、希望に満ちた素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げ、新年のごあいさつといたします。

第52回新春市長対談 私たちの健康と地球を守るフードテック

食とテクノロジーを融合させた「フードテック」が世界的に注目されています。食にまつわるあらゆる課題に最先端技術や資金を組み合わせたハイブリッド産業であるフードテックの影響は、食品開発から環境問題まで多岐に及びます。今回の市長対談では、日本のフードテック分野の第一人者であるほかむらひとしさんに、フードテックの目的や展望についてお話を伺いました。

対談メンバー

ほかむら ひとしさんのプロフィール

1963年生まれ。サンフランシスコ在住。東京大学工学部卒。ベイン&カンパニー、アップルを経てMBAを取得。2000年にシリコンバレーで起業し現地で勃興したフードテックのコミュニティーにも積極的に参加。エバーノートジャパン会長、総務省「異能ベーション」プログラムアドバイザーなどを務め2016年よりイベント、執筆、講演等で食関連産業のオープンイノベーションを推進中。2024年4月に新規開講する、京都芸術大学の「食文化デザインコース」でも教壇に立つ。

対談内容

日本の食産業が大きく飛躍する時代が到来している

市長の発言。ほかむらさんはアメリカのシリコンバレーで起業され、ハイテク分野のマーケティング、事業開発に携わりながら、最先端技術を用いた食の新産業であるフードテックを日本で広めるという大きな使命感を持って活動されています。
ほかむらさんの発言。10年くらい前からシリコンバレーの起業家、エンジニア、投資家などの間で、自身の持つ資産や知識をもって食の領域に参入する動きが見られるようになりました。それまで食に関心がなかった技術者たちに料理が科学だと広く認められたことで、保守的だった食産業にテクノロジーやアントレプレナーシップ(起業家精神)が流入し、食に関係する新たな会社が続々と生まれたのです。この流れが大きなトレンドとして世界中に広がり、フードテックといわれるようになりました。
市長の発言。エンジニアたちがフードとテックの結びつきに気づいたことで食に先端技術を取り入れる動きが一気に加速したわけですね。フードテックの市場規模は、農林水産省の統計によると、2020年に24兆円だったものが、2050年には279兆円になるとされています。ほかむらさんが監修だけでなく執筆もなさっている「フードテック革命」では世界700兆円の新産業になると見積もられていますね。
ほかむらさんの発言。昔の定義では「食」は生きるため、栄養を取るためのものでした。それが現代ではぜいたくの一つになり、よりおいしいものがもてはやされてきました。しかし、現在世界的にいわれているフードテックの目的にはこれまでとは異なる大きな2つの柱があります。
1つはわれわれの健康です。人の健康を守るため、よりよく生きるため、科学を使って食をどうしていくのかということが、未来のために非常に重要です。もう1つは地球の健康です。人が活動すると、地球の資源を消費し、汚します。地球の健康をいかに回復させるかと考えたとき、全ての人が一番関わっているものが食です。つまり、未来の人の健康と地球の健康に最も貢献するものがフードテックなのです。
食の技術といえば、昔は長持ちさせるとか、狭い範囲で考えがちでしたが、今はプラントベース(植物性の原料)でできた代替肉も作れるし、食品の包装技術で環境負荷を減らすこともできます。非常に広い産業活動、人間のほぼ全ての生活活動に関連することなので、ここで強みを見せることができれば、どの産業においても大きなプラスになります。

地域の誇れる食技術の世界に向けた情報発信が重要

市長の発言。人の健康を左右する食への関心は高まる傾向にありますが、今後どう展開していくのでしょうか。
ほかむらさんの発言。日本人はこれまで健康的な食生活をしてきましたが、世界もそれに追いついてきました。われわれが慢心していると、日本がガラケー(携帯電話)の技術開発に執着している間にスマートフォンが世界の市場を席巻していったときのように、食産業でも世界に追い抜かれるのではないかと強い危機感を持っています。
市長の発言。もう1つの柱の地球環境については、フードロスやフードマイレージ(食料の輸送距離)の削減など、全体として二酸化炭素の排出量を抑えるような食関連の産業が広がりを見せていますね。
ほかむらさんの発言。フードロスは全世界的な問題ですが、日本では特に大きな問題となっています。もったいない文化があるにも関わらず、売る側で賞味期限より早めに処分してしまい他の国よりフードロスが増えがちであると言われます。
一方で、フードテックのスタートアップや大企業の新規部門でもフードロスをなくしていこうという動きが出てきています。世界に対して競争力がある事例を挙げると、日本の特殊冷凍技術はかなり進んでいて、1年前に冷凍した寿司が今握ったばかりの寿司と判別できないほどのレベルまできました。冷凍ものは生ものよりも味が落ちるという考え方は急速な技術の進化により過去のものになりつつあります。魚が取れすぎた時など、捕獲して鮮度が最高の状態のときに特殊冷凍技術を活用すれば、値崩れや品余りによる廃棄を減らし、おいしいものを安全に消費者に届けることが可能です。日本にはこうした技術が他にも多くあるので、もっと世界に分かりやすく紹介していくことも重要だと思います。
市長の発言。生産から流通に至る過程にさまざまな産業分野の先端技術が絡んでくるわけですね。津市の企業の例を挙げると、井村屋では水ようかんやアイスクリームの製造に用いる技術をロングライフの豆腐や冷凍のカステラ作りに応用して、主に国外に輸出しています。浅井農園はAIやロボットを組み合わせたスマート農業でトマトや国産キウイを栽培し、横山食品は冷凍技術の発達により、揚げやがんもどき、豆乳など大豆加工製品の海外市場を開拓するなど、各社が高度な技術を活用して事業展開を図っています。これらもフードテックですね。
ほかむらさんの発言。各企業が長い間培ってきた技術を、時代の要請に応えて別の製品の製造技術や保管技術に応用し、優れた製品を作り出しているのですね。技術の活用により添加物の使用を控えるなど、より高品質で安全性の高い製品の提供を目指す食産業の姿勢は国内以上に海外で高く評価されます。どんどん輸出をしていただきたいと思います。
井村屋で輸出もされているプラントベースの肉まんは肉を使用していないことが信じられないくらいおいしいですね。口にした米国人は肉入りとしか思えない味と電子レンジで温めるだけで蒸気が抜ける特殊な包装を使用する日本のテクノロジーに驚きます。
市長の発言。食のテクノロジーは食品製造業のみならずさまざまな分野にビジネスチャンスをもたらす可能性があります。今後さらに食のイノベーション・革新が展開していくのでしょうね。
ほかむらさんの発言。地方創生の観点からも、地方にあって国際競争力のあるものというと、これからは食がまず筆頭に挙がるのではないかと感じます。
日本の食のレベルは非常に高く、おいしいものが周りにたくさんあります。皆さんはこのぜいたくな環境を普通のことだと思っていますが世界では全然当たり前ではありません。きちんとパッケージして名前を付けて伝えれば高い価値のある商品やサービスになるものが目の前にごろごろしているのだと認識を新たにし、食品の価値を再定義してみることが大事です。
日本は情報の出し方が圧倒的に不足しています。インバウンドにつなげていくためにも発信は英語を基本にして今すぐ始めるくらいの勢いが欲しい。良いものをつくる努力が半分とすれば、残りの半分は伝える努力です。ここが一番の鍵ではないかと思っています。
市長の発言。情報発信の重要性は経済界だけでなく行政にも関わるものですね。フードテックについて、未来に向けて目を開かされるようなお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

市長対談の全編がご覧いただけます


 

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