「広報津」第435号(音声読み上げ)人権だより 第18号

登録日:2024年3月16日


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折り込み紙3

人権だより 第18号

令和6年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366

津市人権施策基本方針を改訂しました

津市では、平成18年9月に「人権が尊重される津市をつくる条例」を制定し、平成19年3月に「人権尊重都市宣言」を行いました。また、平成20年7月には「津市人権施策基本方針」を策定し、これまで、あらゆる差別を許さない人権尊重のまちづくりを進め、市民の人権意識の高揚を図ってきました。

しかし、今日においては人権を取り巻く社会状況の変化や、国際化・情報化の進展などを背景に、人権課題は多様化・複雑化しており、貧困問題や性的指向および性自認の多様性に寛容な社会の実現など、新たに取り組むべき課題が顕在化しています。

このような人権を取り巻く社会状況の変化に伴い、これまでの基本方針の見直しや整理をするとともに、早急な対応および対応の強化を求められている「ハラスメント」「性的指向・性自認」「災害と人権」「貧困問題」「自殺問題」「北朝鮮当局による拉致問題」の6項目を、新たに位置付ける人権課題として追加するなど「津市人権施策基本方針」の改訂を、令和5年10月に行いました。

そこで、「性的マイノリティの人権について 全ての人が自分らしく生きられる社会を目指して」の項では追加した6項目の中から「性的指向・性自認」をテーマに取り上げ、性の多様性が認められ、全ての人が自分らしく生きられる社会について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

コラム、アユミが教えてくれたこと

先日、SNSの人気動画を見ていると、かつて中学校で担任していたアユミ(仮名)がフォロワー数40万人を超える有名人になっていました。私はびっくりしてアユミに連絡をとると、友達と一緒に撮ったダンス動画が話題になったと言っていました。彼女は日本で生まれ育ったブラジル国籍の子で、ダンスの他にもポルトガル語で日本の食べ物や機能的なトイレなどを紹介していました。

フォロワー数にも驚きましたが、それ以上に驚いたのは、アユミがSNSでブラジルの名前で活動をしていることでした。なぜなら、かつて彼女は「ブラジル人だけど日本の名前で呼んでほしい」と言っていたからです。

アユミは中学生の時、私に「前の小学校でブラジル人ということが理由でいじめを受けて転校することになり、そこからブラジルの名前を名乗ることができなくなった」と話をしてくれました。そのような彼女の思いに触れ、私は「外国につながる子どもたちが、どんな気持ちで毎日学校生活を送っているのか知りたい」と思うようになり、子どもやその保護者とたくさん話をするようになりました。そして、彼らが日本で生活していく中で、周りの偏見や思い込みなどによって嫌な思いをたくさんしてきていることが分かってきました。私も以前は、外国につながる子どもたちは勉強が好きではない子どもが多いと思っていましたが、実はそうではなく、分からない日本語が出てきたり内容が分からなかったりしたときに、親や周りの子に聞ける環境がなかったことで意欲的になれなかったのだと分かり、私の中にも偏った見方があったと気付かされました。

私は、アユミが自分や自分の国に誇りを持って生きていけるようになってほしいという思いで関わりました。そうする中で私だけでなく周りの子の彼女への見方も少しずつ変わっていき、アユミ自身も意欲的に学校生活を送るようになりました。しかし中学校卒業までにアユミがブラジルの名前を名乗ることはありせんでした。

現在はSNSでブラジルの名前を使うだけではなく、高校の友達にポルトガル語を教えたりブラジルの食べ物を紹介したりもしています。アユミがブラジルのことも日本のことも大事にし、ブラジルと日本の架け橋になっているように感じました。そのことを彼女に伝えると「昔、先生が「自分の名前やブラジルのことを大事にしよう」と一緒に考えてくれたから、それが今の自分につながっていると思う」と話してくれました。自分のルーツや国籍・さまざまな個性も含めて、誰もが自分自身のことを大切に思える社会を作っていくために、自分には何ができるのか、これからも考えていきたいと思います。

性的マイノリティの人権について 全ての人が自分らしく生きられる社会を目指して

補足

広報つの紙面ではマンガが掲載されていますが、音声読み上げ版では省略しています。

みんな違って、それがいい

みなさんは「SOGI(ソジ)」という言葉を知っていますか。これはセクシュアル オリエンテーション(性的指向)とジェンダー アイデンティティ(性自認)の頭文字を取った言葉です。性的指向とは好きになる性のことで、異性を好きになる人もいれば同性を好きになる人、両性を好きになる人もいます。また、性自認とは心の性のことで、自らを男性と認識する人もいれば女性と認識する人、どちらにも決めない人もいます。このように性のあり方は多様であり、誰もがそれぞれの性的指向と性自認を持っています。

しかし、性的マイノリティである同性愛や両性愛の人などは、周囲の理解不足から興味本位や偏見の対象として見られることもあり、学校や職場での嫌がらせなど、社会生活のさまざまな場面で人権に関する問題に苦しめられることがあります。また、性自認と生物学的な性が一致しない人は、そのために違和感を覚えることがあり、自分の望む性別を認めてもらえないことにストレスや苦痛を感じたり、家族や友人に自分が抱えている悩みを打ち明けられなかったりすることがあります。

次に挙げるのは、ソジに関連する内容について、令和4年度に実施した第7回市政アンケート調査の結果です。

設問1 あなたは「ソジ」という言葉について知っていますか。また、その意味を知っていますか。

ゴーちゃんのコメント

ソジという言葉の認知度について、「言葉は知っているが、意味は知らない」と回答している人が16.4パーセント、「言葉も意味も知らない」と回答している人が64.0パーセントであることから、約8割の人が言葉の意味を知らないという結果だったよ。

設問2 あなたは性的指向や性自認に関わる性的マイノリティの人々について、どのような問題が起きていると思いますか(複数回答可)。

みすぎんのコメント

「差別的な言動をされる」や「学校や職場などでいじめや嫌がらせを受ける」と感じている人が多いね。

シロモチくんのコメント

日本には約9.7パーセントの性的マイノリティに属する人がいると言われているよ(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBTQプラス 調査2023」より)。

学校の1クラスに40人くらいいれば3、4人は性的マイノリティに当たるということだね。

性的マイノリティに対する偏見や差別は決して自分と関わりがない人たちの問題ではなく、私たち一人一人が理解を深めていく必要がある課題だね。

調査結果から見えてきた課題と今後の展望

設問1ではソジという言葉の認知度が低かったことから、性的マイノリティに対する関心や理解がまだまだ広がっていないことが明らかとなりました。そして設問2では、この理解不足が差別的な言動や人権侵害行為を受けるという負のイメージにつながっている可能性が示されました。これらのことから、性的マイノリティの人々を生きづらくさせている社会の見方があることが分かりました。

国はこのような性的指向や性自認の多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状を鑑み、国民の理解増進を図るため、令和5年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法)」を施行しました。企業などの雇用事業主に対しては、研修の実施や就業環境に関する相談体制の整備等が求められており、学校に対しては、家庭や地域と協力しながら教育や啓発を行うとともに、教育環境の整備や相談機会の確保が求められています。また地方公共団体に対しては、その地域の実情を踏まえ、性の多様性に関する市民の理解増進に関する施策を策定し、実施することが求められています。

津市では市民の皆さんに性の多様性について考えていただく機会として、市民人権講座や人権講演会を開催するほか、広報津などを通して、性的指向や性自認を理由とする不当な差別の解消に向けて取り組んでいきます。

性的指向や性自認は全ての人が持つ属性です。その属性がどうであっても差別されたり、生きづらさを感じたりすることなく、全ての人が自分らしく生きられる社会を共に作っていきましょう。

フレンテみえ相談室

みえにじいろ相談 性の多様性に関する相談 電話番号233-1134

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