人権だより 平成23年3月16日発行(音声読み上げ) 市民人権講座・人権問題講演会

登録日:2016年2月25日

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市民人権講座(芸濃)

 昨年10月2日、「宗教と人権問題のかかわり」と題して寺住職である伊藤訓之さんが講義を行いました。
 まず伊藤さんは、今から31年前の1979年にアメリカのプリンストンで行われた第3回世界宗教者平和会議について触れられました。会議には、仏教を含む世界中の宗教者が集まり、各国の差別の問題や平和、人権について話し合いが行われました。カナダとインドの宗教者からの「日本には部落問題があるのではないか」という指摘に対して、日本の宗教団体は「日本にはもう部落問題はない。100年ほど前にあったけど、今は誰も差別はしていない」と発言しました。その後、部落解放同盟中央本部から宗教界に抗議書が届き、それを受けて日本の宗教の中に差別があるのか点検が行われました。結果、部落出身の人が亡くなった時は差別的な戒名を授けたり、その戒名を書き記した各寺の過去帳は部落の人と一般の人を別にしてあったり、たとえ一緒であっても部落の人は一字下げて書いてあったりという事実が出てきました。さらに点検を進めた結果、部落の人が亡くなった時は亡きがらを風上に置いてはいけない、葬式は一般の人より簡単に済ませなさいと指南書に記されていたという事実も出てきたそうです。
 伊藤さんが人権問題、部落問題により一層向き合うようになったのは、12年前に三重県人権大学講座を受講した時期からです。フィールドワークで大阪人権博物館(リバティおおさか)へいった時、案内人が「これは本物の差別戒名墓石です。部落の人は亡くなってからも差別されるんです」と言いました。その墓石が長野県にある伊藤さんと同じ宗派の寺から借りてきたものであることを知りました。その寺へ実際に行き、差別戒名墓石を目の当たりにした時は、石に刻まれている一つ一つの文字にいかりが沸いてきたそうです。
 それらの経験があってから、自分は部落問題、人権問題に取り組んでいることを自信を持って言えるようになったこと、改めて自分の中に差別心があることに気付き、それを見つめることの大切さを感じたということを話され、講義は終了しました。

こらむ 魚の絵を描いてみると…

 いきなりですが、魚の絵を5秒で描いてみてください。できれば、周りの人といっしょにやってみましょう。
 よーい、スタート。1、2、3、4、5。終了です。できた絵はどうですか。他の人の絵と見比べてください。魚の形だけ描いた人、えらや鰭、うろこといった魚の細かい部分まで描いた人など、さまざまな作品ができたことでしょう。
 ところで、魚の絵を見て気付いたことはありませんか。いろいろ気付いたことがあったと思いますが、今回は魚の向きを見てほしいと思います。右向きと左向きの魚、どちらが見慣れていますか。あなたが描いた魚の向きはどうでしょうか。多くの人の絵は魚の頭が左を向いているのではないかと思います。
 なぜ多くの人が左向きに魚を描くのかについては諸説ありますが、はっきりした理由は分からないようです。ただ、思い出してください。図鑑に載っている魚はどちらを向いているでしょうか。食卓で皿に乗った魚はどちら向きですか。近所の魚屋さんはどうですか。左向きが一般的ではない地域もありますが、多くの場合、左向きだと思います。
 魚は左向きであることに見慣れているように、人は、ある一面を見て、それが当然であるかのような思い込みを持っていることがあります。その思い込みから、違う一面が見過ごされ、正しいことが見えにくくなってしまいます。このことが偏見につながるのではないのでしょうか。
 普段起こる出来事の見慣れない一面を見ることで、気付くこともあるのではないでしょうか。

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人権問題講演会(いちし)

 昨年12月5日、山本コウタローさんをお招きし「-人間らしくイキイキと-違いを尊重しあう社会へ」と題して人権問題講演会を開催しました。
 山本さんが以前アメリカを旅したとき、南部では黒人と白人の居住地がはっきり分かれていたそうです。現地のレストランでたまたま居合わせた白人の警官と黒人のウエーターを記念撮影しようとした時、白人の警官がわざと黒人のウエーターに手錠をかけるポーズをしました。当然のように行われたその行為に南部の差別の象徴を感じたと言われました。
 イラストレーターをしている山本さんの友人が、病気で目が不自由になりました。しばらくして、その友人から個展をするから来てほしいと言われ、山本さんはびっくりしました。友人が工夫してイラストレーターを続けていることを知り、目が不自由だからこれができないと決めつけるのは、差別につながると感じたと話されました。
 山本さんには耳の不自由な姪がいます。でも、なぜか山本さんには懐かなかったそうです。山本さんは姪に声を掛けるとき、いつも大きな声ではっきりと話しました。しかし、他の家族は普通に話し掛けていました。そのことから、山本さんの方が姪を特別視していたことに気付き、当たり前の存在として接することが大切だと分かったそうです。
 講演終了後はミニライブがあり、「走れコウタロー」「岬めぐり」などを歌っていただきました。一緒に口ずさみながら遠い昔となった青春時代がよみがえり、思わず涙が流れたのは私一人ではなかったでしょう。
 講演は、山本さんが生きてきた中で経験した出来事や体験に基づいたバラエティーに富んだ内容でした。その豊富な経験の中から、思い込みや刷り込みによって、人の将来を奪ったり、可能性を閉ざしたりすることは人権侵害なんだと訴えられました。私もこれからの生き方を考えさせられる内容でした。

人権標語優秀作品

人権を 守る一歩は 自分から
気づくこと 差別をなくす 第一歩
ありがとう いわれてうれしい ぼくもいう

見てるだけ そんなのもう やめようよ。 「山田利香さん(美杉中学三年)の描いたポスター」

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