「広報津」平成23年3月1日/第125号(音声読み上げ) 歴史散歩(58)

登録日:2016年2月25日

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歴史散歩(58)

香良洲道

  「お伊勢詣らば可良須[からす]に詣れ、可良須[からす]詣らな片参宮」
 古くからの歌に、伊勢参宮の旅人がその行き帰りのいずれかで参拝したといわれる香良洲神社。この香良洲神社に向け、伊勢参宮の街道脇道として「香良洲道」が通っていました。この道は、津城下を過ぎ、かつての花街であった藤枝から垂水に入る小さな橋「思案橋」のたもとから分岐しています。香良洲神社に参詣しない人は、ここで神社に向かって遥拝して参宮街道を進んだといわれます。石製の橋には松と扇と梅が浮き彫りにされ、文政6年(1823年)の銘が入っていることからもその歴史がうかがえます。
 道はここから参宮街道に併行して南へ進みます。
 藤水小学校の西側を通った先で現在消滅していますが、天神川が合流する付近で相川を渡って右岸堤防上を進み、現在の国道23号線を斜めに横切ります。大型ショッピングセンター前のバス停付近から細い道が斜めに延びており、かつての香良洲道の名残を感じさせます。その先で用水路に架かる杉縄橋を渡り、道は雲ず本郷の集落を抜けた田畑の中を香良洲橋に向けて進みますが、これも今は消滅しています。
 雲ず川(古川)に架かるこの橋は昭和29年の架橋で、それまでは川の中央に仮橋がありました。
 香良洲に入ってしばらく堤防上の道を行くと、新しい香良洲大橋の土手下の小公園に、旧香良洲大橋北詰めにあった常夜燈をはじめ、道標3基が移設されています。常夜燈には元治2年(1865年)の年号があり、香良洲神社参拝者の旅の安全祈願のために建立されたものです。
 ここから約1.2キロ東にある香良洲神社は、一の鳥居をくぐった境内で、8月15日 夜から翌朝にかけて「宮踊り」が徹夜で行われます。二の鳥居から神殿に続く参道と奥の社殿は、厳かな森の中で静粛な雰囲気を保っています。香良洲神社では、伊勢神宮の式年遷宮の翌年に遷座が行われ、氏子をはじめ多くの人々が「お木曳行事」に参加するなど地域の一大行事となっています。 伊勢参宮の際に香良洲神社を詣でるための道であった香良洲道。市内では消滅してしまった場所もありますが、かつての香良洲詣りの人々の足跡が今も随所に残る歴史の道です。
 

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