「広報津」平成23年8月1日/第135号(音声読み上げ) 歴史散歩(63)

登録日:2016年2月25日

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歴史散歩(63)

雲ず川の潜水橋(沈下橋)

 本格的な夏の訪れとともに、川の瀬音に涼しさを感じるこの頃です。
奈良県境を水源とする雲ず川水系には、いくつもの「潜水橋」と呼ばれる橋があります。「沈下橋」、「潜り橋」とも呼ばれるこの種の橋は、県内では櫛田川や木津川にも数多く見られます。
 潜水橋(沈下橋)とは、両岸の堤防よりも低い位置に架けられた橋で、川が平常の水位の時には橋として機能し、大雨などで増水した時には水没してその機能を失ってしまいます。また、増水で流木などが衝突して橋に負担がかからないよう、欄干が取り付けられていないのも特徴です。
 雲ず川水系の潜水橋の中で最も下流にあり、最大規模を誇るのが石橋潜水橋です。この橋の長さは168メートルですが、幅は2.8メートルと狭く、車一台がようやく渡ることのできる程度です。ここから約1キロメートル下流の其倉橋[そのくらばし]もかつては潜水橋でしたが、昭和60年に現在の橋に架け替えられました。
 白山町の真見潜水橋は、「家城ライン」と呼ばれる急流にある橋で、河床の基盤の石を利用した頑丈な橋脚が特徴です。
 美杉町の竹原潜水橋は、川幅がやや広く緩やかな流れの場所にあり、橋脚が低く橋桁から水面までが近いのも特徴です。周囲の山々の景観にもよく溶け込み、美しいたたずまいを見せています。
 これらの橋は、橋桁がいずれも鉄筋コンクリート製で、昭和30年代前後に築かれたものです。橋脚の上流側には橋の損傷を防止するための鋼材がはめこまれているのも特徴です。
 川をさかのぼった美杉町やちから奥津の雲ず川上流には、「流れ橋」と呼ばれる潜水橋の原点となる形の橋があります。木製の橋桁は橋脚には固定されず、片側のみにワイヤーが掛けられて橋脚と結ばれています。増水時には、橋桁が流れることを前提にしているため、水位が平常に戻った時には橋桁を戻すことで橋の機能が復活します。
 支流の波瀬川を含め、雲ず川水系にはさまざまな形態の潜水橋が残っています。その歴史は、人々の重要な交通路として、また身近な生活道として使われ、地域で守られてきました。
 清流に架かる橋に立つと、水面を渡る風が、ふと真夏の暑さを忘れさせてくれます。


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