「広報津」平成24年1月1日/第145号(音声読み上げ) 歴史散歩(68)

登録日:2016年2月25日

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歴史散歩(68)

美杉地域に生息する天然記念物

 美杉地域に源を発し、津市南部を流域に伊勢湾に注ぐ雲ず川水系の上流域や、大阪湾に注ぐ木津川水系の上流にあたる名張川には、全国的にも希少な天然記念物の動物が生息しています。
 国の特別天然記念物に指定されている「ニホンカモシカ」。全国に13カ所しかない「保護地域」のうち、県内では鈴鹿山地と紀伊山地の2カ所が設定され、詳しい調査が進められています。「カモシカ」という名前からシカの仲間と思われがちですが、実はウシ科カモシカ属に分類されるウシの仲間です。
 同じく特別天然記念物の「オオサンショウウオ」は、尾のある両生類の仲間では世界最大の大きさで、「生きている化石」と呼ばれる学術的に大変貴重な生物です。1メートルを超える個体もありますが、近年は環境条件の悪化もあって大半が50センチメートル前後の大きさです。国内では、岐阜県より西の本州、四国、九州の水のきれいな川の上流部に分布し、市内では美杉町たろう地区の名張川上流域に生息しています。
 ニホンカモシカやオオサンショウウオは、いずれも自然に生きる動物ですので容易に見ることはできません。また、特別天然記念物に指定されていますので、捕獲や飼育、触ったりすることも禁じられています。そうした中で広明町にある三重県 立 博物館では、国の許可を得て、平成4年に名張市で保護されたオオサンショウウオが飼育されています。「さんちゃん」の愛称を持つこのオオサンショウウオ。毎月第2土曜日の14時に飼育水槽での餌やりの様子を見学することができ、その生態の一端に触れる貴重な機会となっています。
 美杉地域では、体長20センチメートルに満たない「オオダイガハラサンショウウオ」が、三峰山[みうねやま]周辺の流域に生息しています。明治44年に大台ケ原山で見つかり、翌年に新種として学会に発表され、三重県がその分布の東限・北限になっています。
 また、リスによく似た姿の「ヤマネ」という体長10センチメートルに満たない小型の哺乳類も生息しています。金色の光沢がある毛並みで、背中に黒い筋が1本あるのが特徴ですが、夜行性で樹上生活であるうえに小型であることから、その生態に関わる情報は多くありません。
 市域山間部の美杉地域には、こうした希少な天然記念物が生息しています。これらの生物は、私たちがその生息環境である豊かな自然を守ることによって保護されていきます。

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