「広報津」平成24年1月16日/第146号(音声読み上げ) シリーズ 津のひと・もの(16)

登録日:2016年2月25日

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裏表紙

シリーズ 津のひと・もの(16)

人と人との温かなつながりから生まれる香り

 津市の南西部、奈良県と県境を接する美杉町たろう。ここは豊かな山々と森に囲まれ、四季を通じてさまざまな自然を感じることができる。
 この地で、ヒノキの間伐材や天然水など地元産の原材料だけを使って、天然のアロマオイルを作っている高野大佑さん。生まれ育った横浜市で機械メーカーに勤めていた高野さんは、2年前の30歳の時、美杉に住む祖父の他界をきっかけに、一人暮らしとなった祖母を支えようと、妻と子どもの3人で美杉町へと引っ越すことを決めた。会社の同僚からは、知り合いもなく仕事の当てもない場所へ移り住むことを心配する声もあったが、自身は「行ってみれば、何とかなる」と楽観的に考えた。
 実際に住んでみると、近所の人たちみんなが親戚のように温かく接してくれた。澄んだ森の空気や満天の星空など、都会にはない豊かな自然にも感動し、せっかくなら美しいこの地域で、自然にこだわったものづくりができないかと考えたという。
 そんなとき近くのダムで、ヒノキの間伐材が大量に放置されているのを目にした。
 「もったいない。何かに利用できないか」
 思い付いたのが、間伐材を使ったアロマオイル作りだった。
 最初は知識も製造設備もなく、全てが手探りの状態だった。だが、地元の人たちが事務所と作業所を提供してくれたり、作業の合間に材料のヒノキを無償でチップにしてくれた。機材をそろえ、材料のヒノキチップの大きさや分量、抽出時間など入門書を読みあさった。そして、試行錯誤を繰り返し、ついに添加物や防腐剤を使わない天然のアロマオイルを完成させた。こうして出来上がったアロマオイルは道の駅などで販売され、今では「ずっと使い続けたい」などリピーターも増えているという。
 現在は、もっと多くの人に美杉を知ってもらうため、ヒノキオイルに続く美杉の特産品の開発を考えている。「ここには、都会にはないものがあります。自然に囲まれた、人と人との確かなつながりが感じられる場所に、都会人は憧れるのだと思います。そんな特性を生かして、美杉のいいところをPRしていきたい」と美杉の魅力を熱く語った。
 美杉のヒノキと天然水だけで作ったアロマオイル。地域の温かさに支えられて生まれたこの一滴が、これからは地域をけん引する頼もしい力になるだろう。

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