「広報津」平成25年12月1日/第191号(音声読み上げ) 第11回 市長対談-より良い地域医療を目指して-

登録日:2016年2月25日

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第11回 市長対談 -より良い地域医療を目指して-

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みえ大学大学院医学系研究科家庭医療学教授 竹村洋典[たけむらようすけ]さん

 10月21日、みえ大学大学院医学系研究科家庭医療学・医学部附属病院総合診療科の竹村洋典教授を前葉泰幸[まえばやすゆき]市長が訪ね、津地域医療学講座とこれからの地域医療の目指す姿について、三重県立いちし病院でお話を伺いました。

市長 みえ大学には平成24年9月に津地域医療学講座が設置されました。津市からこの講座に3年間で約1億円を寄附し、みえ大学から3人の医師がいちし病院に派遣され、地域医療学の研究や教育、地域の医療体制の確立を図っています。これまでの取り組みをお聞かせください。

竹村 地域の皆さんの健康相談の場としての健康教室をはじめ、みえ大学医学部生の家庭医療学の臨床実習や研修医の研修を行うなど、全国的にも珍しい取り組みをおこなってきました。また、みえ大学の医師による診療もおこなっていますので、今まで以上に地域の医療は充実していると思います。

市長 お話にありました家庭医療というのは、どういうものですか。

竹村 地域のニーズに応えられるような幅広い医療のことで、これに相当する総合診療専門医を、今年4月に厚生労働省が初めて認めました。

市長 総合診療専門医ということは、全般的な医療ということですか。

竹村 そのような機能も含まれます。性別や年齢、診療科目にとらわれず、さまざまな診療を行います。また、本人は健康だと思っていても、実は病気を持っている場合がありますので、病院内から地域へ出て在宅医療や健康教室を行うなど、幅広いケアにも取り組んでいます。

市長 地域の皆さんにとって、とても心強い存在ですね。また、来院される方々の目線に立ち、病院内でもいろいろと工夫をされているとお聞きしています。

竹村 はい。その一つとして、診察室内に家族の皆さんに利用いただけるソファを置いています。

市長 家族の皆さんが同席できると患者さんもとても安心ですね。この他に何かありますか。

竹村 診察室前の看板には全て家庭医療という表示をしています。

市長 これがあるだけで、非常に身近な医療に感じられます。先ほどお話のあった在宅医療の状況はいかがですか。

竹村 現在、病院の病床数は一定であるのに対し、高齢者の人数は増加しています。こうした状況の中で、私たちは病院内だけでなく、積極的に病院外に出て在宅医療を行うことが非常に重要であると考えています。

市長 在宅のまま医療が受けられると、とても安心感がありますし、この取り組みが今後の調査や研究にも生かされますね。

竹村 単に医療行為だけでなく、健(検)診、受診、入院に対する患者の皆さんの思いや考えを知ることにもなり、それをもとにどのような医療体制を構築していくのかを調査しているところです。また、在宅医療には学生や研修医も同行しますので、教育の場としても生かされています。

市長 若い世代の育成にもつながっているのですね。
 さて、いちし病院では救急の受け入れもおこなっていただいており、平成24年9月の地域医療学講座設置後は救急患者の受け入れ件数が約30パーセント増えています。さらに、直接、診療時間外に病院へ来られる、いわゆるウォークイン患者の数も約26パーセント増えています。これは、白山・美杉地域はもとより久居やいちし地域からも頼りにされているということの証ですね。

竹村 地域医療学講座により地域医療が充実したことの表れだと感じています。また、救急隊員と医師が直接話せるホットラインを設けたことで、疎通性のある救急医療が行われるようになったこともその一因であると思います。

市長 美杉町竹原にある津市国民健康保険竹原診療所でも診療をおこなっていただいていますね。

竹村 住民と医療機関との距離は非常に大きな影響があり、遠くになればなるほど、時間外の診療や救急車の利用が増えます。そうならないように地域全体の医療をより良いものにするため、いちし病院の医師と私たち家庭医療の医師が支援しています。

市長 最後にこれからの家庭医療についてお話しください。

竹村 私たちは、地域住民にとって最も良い地域医療、保健、在宅を含めた福祉を明らかにし、それを学生や研修医に教えていきたいと思っています。また、いろいろな職種の人が一緒になって地域医療を支えていくためのノウハウをパッケージにして、他でも生かしていけるよういちし病院での取り組みを津市から全国に広げていけたらと思っています。

市長 実現されることを期待しています。本日はありがとうございました。

竹村洋典さん

医学博士。昭和57年に早稲田大理工学部から防衛医科大に入学。平成3年にアメリカ・テネシー大で家庭医療レジデントとなり、米国家庭医療学会認定専門医およびフェロー取得。平成22年からみえ大学大学院医学系研究科臨床医学系講座家庭医療学分野/医学部附属病院総合診療科・教授。現在、津地域医療学講座の教授を併任。

市長対談は、津市ホームページ・市長の部屋の市長対談でもご覧いただけます。
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