「広報津」平成26年1月1日/第193号(音声読み上げ) 市長新春対談-田中里沙さん-

登録日:2016年2月25日

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市長新春対談 -広告の世界に魅了されて-

広告専門誌「宣伝会議」編集室長
田中里沙さん

 平成25年11月13日、広告専門誌「宣伝会議」編集室長の田中里沙さんを前葉泰幸[まえばやすゆき]市長が訪ね、三重県の首都圏営業拠点「三重テラス」で首都圏から見た津市の施策や情報発信などについてお話を伺いました。

夢に向かってチャレンジ

市長 田中さんは、津市出身で津高校を卒業後、上京され、現在、株式会社宣伝会議の編集室長という立場で「宣伝会議」や「月刊事業構想」といった専門誌を発行されています。これらの冊子の内容や会社についてご紹介いただけますか。

田中 はい。「宣伝会議」は企業や自治体、大学などに対し、さまざまな事例を交えながら、広告宣伝やコミュニケーションの手法、考え方を紹介する雑誌で、会社の創立当初から発行しており、今年で発刊60年目を迎えます。

市長 単に物を売るための広告だけでなく、いわゆる広告宣伝のノウハウを伝える冊子ということですね。

田中 そうなんです。創刊と同時にコピーライターやマーケターを育成する教育事業もおこなっていまして、その流れの中で、2012年の春には文部科学省の認可を受けた「事業構想大学院大学」を設立しました。その大学出版部で発行している雑誌が「月刊事業構想」になります。
  目の前にある構想を形にするためには、いろいろなアイデアと仲間が必要ですので、この雑誌を通じ、多くの人をつなげたいと考えています。

市長 広告の世界に入られたのは、どのようなきっかけがあったのですか。

田中 当初は大学卒業後、津市に戻ろうという気持ちもあったのですが、東京で広報や宣伝という世界があることを知り、ぜひこの仕事に就きたいという気持ちが芽生えたことがきっかけです。当時は男女雇用機会均等法が施行されたばかりで、社会の中で女性がどのように活躍するかの道筋があまり立っていない状況でした。前例のないものを自分でつくっていく時代でしたので、成功も約束されていませんが、失敗することもないだろうと思っていました。

市長 自分自身の夢を実現するために、やりたいことを見つけてチャレンジするということは、とても勇気のいることですね。

田中 仕事をしていく中で、いろいろな人と出会い、そのネットワークの中で自分を成長させることができました。それが今日につながっていると思います。

新しい地方公共団体の役割

市長 現在、三重県経営戦略会議の委員を務めてみえますが、自治体組織の経営はどのように見えますか。

田中 今までの県や市は、どちらかというと地域の住民を先導していく存在で、決まった仕事を着実におこなっていけば良かったと思います。今は、社会の考え方も変わってきましたし、人々の暮らし方も多様なものとなってきています。そして地域の中でも、さまざまな分野で活躍される方がたくさんいらっしゃいます。そんな中で県や市の存在、役割も変化してきていると思います。単に地域住民を引っ張っていくだけではなく、地域の中で活躍している皆さんを取りまとめ、コーディネートしていくような役割が求められていると思うのです。

市長 私たちが今考えていることなど伝えるべきことは伝えて、そしてそのことに対して市民の皆さんはどのようにお考えですかと、逆に受け止めることが必要ですね。

田中 そうですね。これからの地方公共団体は、自分たちの県や市がおこなっていること、地域で活躍する人々、そして自分たちのまちの魅力などをPRしていく役割がさらに大きくなってくると思います。県や市がメディアの役割をされる時代に入ってきているのではないでしょうか。

市長 地域住民のみんなの力をまとめて、さらにそれをプロモーションしていくということですね。

田中 「月刊事業構想」の中には、1つの大きな柱として地域活性のページがあります。ここでは、地域をいかにつくっていくかという地域経営について、皆さんお話されていますので、やはり主体が全員で共に動いていく、共に未来をつくっていくという時代にきていると思います。

市長 そうですね。市民参加とよく言われますが、みんなで公共的なところにも関わっていくことが普通になってきた時代ですね。

田中 そうだと思います。

市長 また、国の社会資本整備審議会の委員としても活躍されてみえますが、現在、社会資本整備やインフラ整備についてどのような議論がなされているのですか。

田中 幅広い専門分野の方々が集まって、すでにある社会インフラをこれからどうすれば良いか、また暮らしやすさ、住みやすさを感じるための社会資本の在り方とは何かについて議論が進められています。

市長 今ある道路や橋、上下水道といったインフラをどのように維持管理し、そして人口の減少や高齢化が進む中で、これからいかに使いやすいものにしていくかということは、地方にとっても、とても重要なことですね。

東京から見たふるさと津

市長 最近のふるさと津について、どのようなことに注目をされていますか。

田中 高校卒業後、上京したばかりのころは、広い世界を見たいという気持ちが強かったのですが、歳を重ねるたびに津市の良さやふるさとの素晴らしさを実感するようになり、ふるさと津とのつながりが年々強くなってきたように思います。若い人たちが主体性を持って、さまざまなことに関わり、そのノウハウを持ってふるさと津が今以上に元気なまちになるよう活躍してほしいですね。最近は、東京や神奈川出身の若者が旅行や仕事などで三重に来て、そのまま住んでいるという例も増えています。

市長 若い人にとっても魅力のある地域づくりが必要ですね。どのようなことがポイントだと思われますか。

田中 仕事の場があるということが重要ではないでしょうか。津市にはもともと優良な企業がたくさんありますし、市内の企業誘致もずいぶん進んでいると聞いていますので、興味の持てる仕事があると思います。

市長 近年では、製造業や研究開発など多様な企業の進出が進んでおり、先日も庄田工業団地へベルギーに本社がある企業の進出が決まりました。この会社では東京に営業のごく一部だけを残して、本社ごと津市に移転されるとのことで、情報化が進んだ今、地方に本社を置き、ビジネスを展開していかれることになります。

田中 グローバル企業というのは、そういったところに先見の明がありますので、これからも同じように最先端の動きをする企業が増えていくと思います。

市長 女性が働きやすい環境について考えると、やはり子育て支援の充実が求められていますね。

田中 子育てに関する環境はとても重要ですね。市のサポートやコミュニティなどの場があることで、女性は心強く思い、元気が出ますし勇気が出ます。

市長 子育ての環境が充実することで安心、そして安定して仕事をすることができますし、企業にとっても戦力としてメリットがありますね。

田中 それぞれの状況に応じた子育ての環境があることが理想だと思います。

市長 津市の待機児童は毎年4月1日時点ではゼロなのですが、10月ごろになると100人ぐらい出てきます。この3年間で保育所の定員を355人増やし、解消に努めているところですが、保護者の皆さんのニーズに合った子育ちを支援していく地域にしていきたいと思っています。

田中 とても魅力的なお話ですね。これから津市で子育てをする若い人たちのためにも、支援の輪を少しずつでも広げていただきたいと思います。それと、少し元気がなくなっていた津市の街並みにも、少しずつ良い兆しがあると聞いていますので、この2年から3年が楽しみだと思っています。

市長 昔のにぎわいを取り戻したいというのは私も同じ気持ちです。ただ、昔の街をそのまま取り戻すというわけにはいきません。そこで津センターパレスに中央公民館、まんなか子ども館、まんなか老人福祉センター、そしてしょうがい者相談支援センターの4つの公共施設を集めました。年間9万人にも上る皆さんがこれらの施設を利用されることになり、これにより中心市街地に少しずつ人の流れが戻りつつあります。またこれらの施設を利用された人には、周辺の商店街や店舗でさまざまなサービスを受けることができるチケットをお渡しすることもおこなっていますし、これからますます元気になると思います。

田中 ふるさと津に新たな活気が戻ることは、とても素晴らしいですね。

市長 もう1つは、国道23号の西側に証券会社や銀行の本部ビルなどの建設が進むなど、新たなオフィス街が形成されつつあります。今の時代に合った新しいにぎわいを取り戻したいと思います。

田中 そのような新しいにぎわいが作り出されるというのは、とてもうれしいですし、これからの津市が楽しみになりますね。

市長 今日、対談している三重テラスでは、津市をはじめ県内の物産品がたくさん販売されています。東京の皆さんに三重県のものを知っていただき、そしてこれは良いと思っていただく、これもマーケティングの1つですね。

田中 まさにそうですね。こういった商品に触れることで津市や三重県を知ることになり、これをきっかけに三重を訪れてみようと思う人は必ず増えていると思います。

市長 最後に、ふるさと津に対する想いをお願いします。

田中 今日は新しい津の街をつくっていくというお話をお伺いして、とてもワクワクした気分になりました。東京と津で相互に情報を交換し合い、津がますます光り輝き、多くの方から興味を持たれ、また暮らす人々が楽しくなるような街づくりに私も寄与したいです。

市長 本日は、ありがとうございました。

田中 ありがとうございました。

田中里沙さん

津市出身。県立津高校から学習院大学文学部に進み、広告会社を経て1993年に宣伝会議入社。1995年から広告専門誌「宣伝会議」の編集長を務め、2007年から編集室長。企業の広報宣伝戦略やマーケティングトレンド分析を手がけ、行政や企業の広報宣伝のあり方をアドバイスしている。三重県経営戦略会議委員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央環境審議会委員などを歴任。

お知らせ

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