「広報津」平成26年5月1日/第201号(音声読み上げ) 第14回 市長対談-スイスとの経済交流を通じて-

登録日:2016年2月25日

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第14回 市長対談-スイスとの経済交流を通じて-

 2月10日、ウルス・ブーヘル駐日スイス特命全権大使をお迎えし、スイスと津市の経済交流について、前葉泰幸[まえばやすゆき]市長がお話を伺いました。対談は英語で行われましたが日本語訳でお届けします。

市長 ようこそ、津市へお越しくださいました。津市の第一印象はいかがですか。

大使 普段は東京に住んでいますので、自然の風景をほとんど目にすることがありませんが、津市は豊かな自然に囲まれ、景色も素晴らしく、何よりも印象深いのは、この津の海岸線ですね。

市長 ありがとうございます。さて、今日は津市の経済の活性化についてお話をお伺いしたいと思います。

大使 スイスと日本は150年前に修好通商条約を結んで以来、親密な友好関係が続けられ、経済的にもとても緊密な関係を保っています。日本に進出しているスイスの企業では7万5,000人以上の雇用を創出し、さらには多彩な文化の交流も行われています。

市長 2009年2月、スイスの研究機関であるC.S.E.M.(注:)と、津市をはじめとする県内の自治体、関係機関との合計5者間で、今後の産業協力についての合意が取り交わされました。この合意も、スイスと日本との長きにわたる信頼関係があったからこそ可能になったのですね。
 注:C.S.E.M.(Swiss Center for Electronics and Microtechnology)

大使 お互いの強い信頼があった成果だと思います。スイスにはいくつかの世界規模の大きな企業がありますが、実は中小企業の努力によって築かれていて、政府は中小企業の発展のための環境づくりが大切であると提案し続けていますし、中小企業同士が共に協力しあうことができる指導力を持つことが何よりも大切だと思っています。

市長 特殊な技術を持つスイスと日本、相互の中小企業が連携し、一緒になって市場を拡大していくための橋渡しをすることは地方自治体にとって、とても大切な責務であると考え、2012年11月にスイスのO.P.I.(ジュネーブ州産業振興機構)と津市は、中小企業を支援するための協定に合意しました。

大使 中小企業が世界への販路を確保することは容易なことではありません。それぞれの知恵を一つにすることで、初めてその成果を上げることができると思います。

市長 1万キロメートルも離れた企業同士が協働して、アジア地域に販路を開拓していく事業が進展していることは本当に喜ばしいことですね。

大使 それは、お互いの技術者、職人、そして製品の品質を評価し、相互に絶対的な信頼があるからこそでしょう。

市長 地元の企業が海外の企業と交流を持つために、その地域の地方自治体ができることはどのようなことだとお考えですか。

大使 スイスは、一般に言う県に当たる26のカントン(州)があり、その中にはさらに多数の自治体が存在しています。それらの自治体は地域の企業や経済をとても大切にしていて、地域に根差し、地域が必要とする時代の流れに沿ったものを推進しています。そして、それぞれの長所をアピールしてお互いに競い合っているのです。

市長 競い合うということは大切なことですね。

大使 異なった地域同士が競い合うということは、その地域の政策を実現させるために、とても重要なことです。例えば、スイスでは地域の住民が州の税率を決定することもあるのです。

市長 それは投票によって決定するのですか。

大使 そうです。スイスの地方自治体は、地元の企業に対して常に最良の条件を創り出そうとしていますし、また国際的な交流を確立しようともしています。スイスは日本とたくさんの姉妹(友好)都市提携をおこなっていますが、そこでは観光だけではなく、経済的な交流も行われているのです。

市長 法律の制度は違いますが、日本でも他の自治体と競い合うことは可能です。私は市だけでなくその他の公共機関が、中小企業の活動を円滑に進めるための援助や、新たな目標を提示するために、どのようなことができるのかを模索していきたいと思っています。最後に、地方都市の今後の地域経済活性化の可能性についてアドバイスをお願いします。

大使 ビジネスとは相手があって成り立ちます。地域経済の活性化の成功は一方の地方自治体だけではなく、相手方に依存するものです。お互いの持つ可能性をできる限りの協調性を持って進めていくべきだと思いますし、その協働事業の枠組みが地方自治体によってしっかりと定められていることが重要です。スイスの中小企業は、地域や大学に支援されてお互いに協働しています。それらと日本の中小企業を連携させれば、その事業はお互いの責任のもとに、新たな活力を生み出していくと思います。

市長 本日はどうもありがとうございました。

 

駐日スイス特命全権大使
ウルス・ブーヘル
1962年生まれ。ベルン大学を卒業後、1990年にスイス外務省に入省。2001年外務省・経済省統合室政務調整部(スイス・EU関係)部長、2005年外務省・経済省統合室室長、連邦経済省経済管轄局取締役会メンバーに就任。2010年8月より駐日スイス特命全権大使に就任。

市長対談は津市ホームページ・市長の部屋の市長対談でもご覧いただけます。
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