「広報津」平成26年7月1日/第205号(音声読み上げ) 第16回 市長対談-企業誘致による地域経済の活性化-

登録日:2016年2月25日

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第16回 市長対談-企業誘致による地域経済の活性化-

 4月22日、東京都千代田区二番町のベルギー王国大使館大使公邸にリュック・リーバウト駐日ベルギー王国特命全権大使を訪問し、企業誘致による地域経済の活性化について、前葉泰幸[まえばやすゆき]市長がお話をお伺いしました。
 対談は英語で行われましたが日本語訳でお届けします。

市長 本日は大使公邸にお招きいただき、ありがとうございます。

大使 ようこそお越しいただきました。心より歓迎します。初めて前葉市長にお会いしたのは一年半前でしたね。その後も何度か津でお会いし、おもてなしをいただき、とても感謝しています。

市長 こちらの大使公邸は立地も良く、すてきな建物ですね。

大使 ベルギー王国大使館は1925年からこの地にあり、用途ごとに分かれた建物が建っていました。そこに、大使館と大使の住居である公邸、レセプションスペースのほか、スタッフ用の住居やオフィスが一つにまとまった現代的な建物を新築しました。自国のプロモーション活動や日本のお客様をお迎えする施設が整ったのです。

市長 再開発は民間企業と共同で進められたとお聞きしましたが。

大使 日本の建設会社との共同プロジェクトで建設され、モダンで調和のとれた大使館になりました。

市長 さて、大使は2011年の東日本大震災の直後に日本に赴任されたとお聞きしました。それから約3年間、駐日大使を務めておられますが、日本の印象についてお聞かせいただけますか。

大使 大使に着任したのは3月14日で、まさに日本中が哀悼の悲しみに包まれていたころでしたが、全国の自治体から被災地への支援も活発になりつつあった時期でもありました。この状況での着任により、日本の人々特有の強い資質を知ることになりました。
 耐え難い困難に見舞われても、日本の人々はその時々において自ら答えを見つけ、力を合わせて協力する強さを持つことを歴史が証明しています。この出来事は私の心の中に教訓として深く刻まれ、日本を離れた後も抱き続けることでしょう。

市長 ベルギー王国から被災地の復興にも多大なる支援をいただき、御礼申し上げます。

大使 宮城県にある病院の改修工事のための寄付を行いました。このプロジェクトは、日本赤十字社と協力して、各国政府や大使館のほか、日本の経済団体や日本に拠点を置くベルギー企業関係団体などと一緒に、2年以内を目標に病院を改修して治療活動が行えるようにと始めたもので、実際にプロジェクトが始まってから2年後に、病院が再開されました。被災地の復興に、ささやかではありますが協力できたことを誇りに思います。

市長 素晴らしい活動が行われていたのですね。
 さて、震災以来、新たな投資活動も少しずつ始まり、国内経済も回復しつつあります。
 企業の新規投資に関しては、ベルギー資本の企業であるエテックスグループの日本マイクロサーム株式会社に津市への進出を決定いただきました。同社の津市への立地に当たってはベルギー王国大使館にもサポートをいただき、さらには、昨年6月の立地協定調印式の際には大使にもご臨席を賜り、立会人として署名いただきましたことに感謝申し上げます。
 この件は、昨年の2月28日、同社のCEOであるポール・ファン・オーエン氏と、進出の責任者であったスティーヴン・ヘイテンス氏にお会いしたことから始まります。同社はもともと四日市市内に製造拠点をお持ちだったのですが、業績好調による増産のため、製造ラインを拡張する設備投資を検討されていました。そこで三重県内での移転の可能性を探るため、津市へ視察においでになった際に、トップセールスをおこなったことで早い段階から信頼関係を築くことができました。
 日本マイクロサーム株式会社の津市進出については、両国にとっても大変重要なものであると思いますが、大使のご意見をお聞かせください。

大使 日本マイクロサーム株式会社の親会社であるエテックス社は、世界各地に92カ所の製造拠点を有した企業で、日本国内では四日市市に製造部門を持っていましたが、市長のお話のとおり、増産のため新たな工場の建設先を探していました。それも、できれば四日市市からあまり遠くない三重県内の場所ということです。これまで経験を積んだ技術者やスタッフを引き続き、新たな工場で雇用することを考えていたからのようです。
 今回の津市への進出に当たっては異例のことが2点あります。1点目は四日市市の全てのスタッフが津市へ異動したこと、そして2点目は同社の本社機能が東京から津市へ移転したことです。
 本社機能の移転が意味するところは、今後も津市での拡張が見込まれているということとあわせ、津市の新たな工場を単に生産部門だけでなく、経営管理部門、営業宣伝部門の拠点とするということです。さらに、これまでは主に日本国内向けに製品を生産していたのですが、今回の津市進出に当たっては国内向けの生産拠点だけでなく、東アジアやその他アジア諸国への輸出基地としても発展させたいという同社の意図があったのです。今回のケースのように東京に集中する本社機能を地方へ移転するという動きは、ここ最近、日本でも進みつつあります。

市長 津市への進出が単に国内向けの生産拠点のための新工場の建設だけでなく、アジア地域への輸出を統括する責任部署を伴って、本社機能自体も移転されることに大変感謝しています。また、同社が製造する断熱材製品やそれに関連した産業ソリューション製品がもたらす省エネルギー技術は、これからの日本のエネルギー政策を進める上で大変重要だと考えます。ベルギーの企業はこうした省エネルギー分野の技術に長け、欧州だけでなく世界各地にも広く浸透していますね。

大使 実はベルギーと日本はエネルギー政策に関してとてもよく似ています。両国とも従来型の化石燃料、すなわち天然ガス、石油資源などに恵まれていないため、エネルギー資源を輸入に頼っています。そういった中、ベルギーでは率先してバイオマス発電をはじめとする再生可能エネルギー政策を推進しています。一方、省エネルギー対策も進めており、その解決策の一つとして同社の断熱材製品があります。これらを活用することは省エネに貢献し、私たちのエネルギー資源への依存を減らすことにもつながっています。

市長 ベルギー国内における再生可能エネルギー政策や省エネルギー対策がしっかりと進められているからこそ、企業の技術レベルがどんどん進歩していくのですね。
 私は市長就任前、ベルギー資本の金融機関「デクシア銀行」に勤務していたことがあり、ベルギーの首都ブリュッセルにも何度か出張する機会がありました。デクシア銀行は、リテール・バンキングとしての伝統を有し、ベルギーの人々からも信頼されるとともに、国際金融市場においても存在感を示しており、そこでの勤務は私にとっては大変貴重な経験でした。
 大使から見て、最近の欧州の経済全般における情勢や世界経済の情勢については、どのように思われますか。

大使 私が確信を持って感じることは、まず、アメリカの景気が回復し、日本も回復基調にあるということです。われわれ欧州にしても昨年度、景気は底を打ったと思います。IMFなどの経済予測ではベルギーを含めた欧州北部地域では約1.5パーセント、ドイツでは約2パーセントの経済成長が見込まれ、欧州南部地域でも昨年よりは上昇すると見込まれています。
 このような明るい経済情勢をより確かなものにするためには、内政を安定させてそれを持続させることが必要です。自由貿易協定(FTA)の交渉といった積極的な施策を取り、新たな市場へ向けた可能性の扉を開かねばなりません。
 今世紀はグローバル経済の時代ですから、世界中の全ての人々が共に動き、単に自国の発展のためだけでなく、時には経済的パートナーの発展に依存する面もあろうかと思います。

市長 そうした世界経済の展開を支えるのが地域経済です。私は地方自治体の首長として、津市への企業誘致をさらに進め、地方雇用の創出を目指します。
大使 市長の考えや姿勢とベルギー国内の自治体の立場はまさに同じです。日本とベルギーの関係はこれまでも大変友好的なものであり、ベルギーには日本からの投資も多く、その第1号は1960年代初頭のホンダに始まります。その後もたくさんの日本企業が後に続き、これまでに300もの投資が行われています。
 われわれのような政府や首長として重要なことは、自国の人々の雇用を創出し、経済を活性化し、暮らしを豊かにすることだと考えています。

市長 今後も相互の連携によって、新たな投資、そして経済交流が生まれることを願っています。

大使 三重県、そして津市が企業誘致に大変熱心で、外資からの投資を受け入れる姿勢がオープンであることに感謝します。欧州のビジネス界にも、このようなメッセージが伝わることでしょう。

市長 津市に進出いただく企業に対し、おもてなしができるよう努力することをお約束します。今日はお話ができてうれしく思います。
大使 こちらこそありがとうございました。前葉市長を大使公邸でおもてなしできたことをうれしく思います。

 

駐日ベルギー王国特命全権大使
Mr. Luc LIEBAUT リュック・リーバウト

1982年にベルギー外務省に入省。モスクワ、アンカラ、プラハに外交官として赴任、本国にて外務大臣首席補佐官代理を務めた後、駐クロアチア ベルギー大使、駐セルビア・モンテネグロ ベルギー大使を歴任。本国にて外務省欧州総局欧州総合政策部長、二国間経済局南東ヨーロッパ部長などを務めた後、2011年3月の震災直後に来日し、駐日ベルギー王国特命全権大使に就任。

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