登録日:2016年2月25日
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11月1日号では、8月9日から10日にかけて台風第11号が来襲したときの津市の対応や、どのように避難の呼び掛けをおこなったのかレポートしましたが、今回は、その避難の呼び掛けはどのような法令や基準に基づいて行われるのか、シロモチくんとゴーちゃんがもう少し詳しくレポートします。
ねえねえ、シロモチくん。この前、台風第11号が来たとき、市民の皆さんにたくさん避難を呼び掛けた話を聞いたけど、それには何か決まりがあるの?
川の水位で決まるんだ。市内にはたくさんの川があるけど、ある程度大きな川には水の増え方を監視する水位観測所が32カ所あって、情報や映像がリアルタイムに提供されているんだよ。
雨が降り続き、川の水位が増える恐れがあるとき、災害対策本部の職員がそれを見ているんだったね。
うん。川の水位を監視する基準は4つあるんだけど、それぞれの川の状況に合わせて別々に決められているんだよ。
それってどういうものか、教えてほしいな。
まず第1段階は「水防団待機水位」といって、水防団員でもある消防団の人たちが土のう積みなどの出動に備えて待機するんだ。この段階ではまだ避難の呼び掛けは行わないよ。
その次はどうなるの?
第2段階は「氾濫注意水位」といって、川の氾濫に警戒しなければいけない基準で、ここまで水位が上がると、いつでも避難できるよう準備してほしいという意味の「避難準備情報」というものを出すんだ。この段階で、避難に時間がかかる人は避難してほしいと呼び掛けるんだよ。
それが最初に出される避難の呼び掛けなんだね。
第3段階は「避難判断水位」といって、この基準まで水位が上がると洪水の恐れがあるので、すぐに安全な場所に避難してほしいという意味の「避難勧告」を出すんだ。
最後の第4段階は「氾濫危険水位」といって、川が氾濫する大変危険な状況になるため、避難を強く呼び掛ける「避難指示」を出すことになるんだ。
川の水位によって避難の呼び掛けが違うんだね。でも、この水位は誰が決めてるの?
市内にはたくさんの川があるけど、川の大きさによって国や県、市が管理していて、それぞれの管理者が基準を決めているんだよ。
そうなんだ。じゃあ、避難準備情報や避難勧告、避難指示を出すのは誰が決めるの?
避難勧告と避難指示は、災害対策基本法という法律で市長が発令すると決められているし、避難準備情報も津市地域防災計画に、災害対策本部長である市長が決めると書いてあるんだ。だから、災害対策本部の職員は市長が適切に指示が出せるよう、それぞれの川の水位が4つの基準を超えていないか、これからの雨雲の動きや雨量、ダムの放流の時期など、いろいろなデータを総合的に分析して報告するんだよ。
避難を呼び掛ける方法も、いろいろあったよね。
各地域に設置された防災行政無線で放送したり、エリアメールを流したり、ホームページや広報車でもお知らせしているよ。これらは、事前に地域防災計画で決められた役割に基づいて一斉に作業にかかるんだ。
基準や役割がきちんと決まっていたから、台風第11号のときも落ち着いて対応できたんだね。
そうなんだ。地域防災計画や災害対応マニュアルできちんと決めてあったから、職員はルールどおりにできたんだよ。それに津市は毎年、国土交通省や三重県の洪水対応訓練や洪水予報伝達訓練に参加しているし、津市独自でも災害図上訓練や職員参集伝達訓練、水防訓練、防災訓練をしたりして、災害が起こったときでも大丈夫なように準備しているんだ。
訓練がいざというとき役に立つんだね。市民の皆さんにも、一人でも多く防災訓練に参加してほしいな。
ぜひ、お願いしたいね。
ところで、津市には小さな川もたくさんあるけど、これらの水位はどうやって確認しているの?
そういった所には水位や雨量を観測するところがないので、総合支所の職員や自治会長さん、消防団員の人たちが見て回って確認しているんだ。
それは大変だね。避難の呼び掛けはどうしてるの?
さっきみたいな川の水位の基準がないので、現場の状況を見ながらこれまでに起こった水害の状況や、川の増水のスピードなどから判断して、被害が出ると思ったときは電話や無線で災害対策本部に連絡するんだ。それを基にして、避難の呼び掛けを決める場合もあるんだよ。
そういうふうになっているんだ。
大雨による小さな川の洪水や道路の冠水は、地元をよく知る人たちの意見が貴重なんだよ。その地域に長い間住んでいる人が地域のことは一番よく分かっているから、こういった連絡体制がとっても重要なんだ。
地域の皆さんの協力が大切だし、ありがたいことだね。
避難を呼び掛ける基準が決まっているところでも、地域からの情報によって、危険が迫っていると考えられる場合には、川の水位の上昇が基準に達していなくても、「避難勧告」を出して避難を呼び掛けることにしているんだ。それぞれの地域の状況に合わせて対応できるようにしているんだよ。
人の命を守るためには、柔軟な対応が必要なんだね。
そうだね。例えば、これまでは市役所で開かれる災害対策本部の会議には総合支所の支所長も出席していたんだ。だけど総合支所長は地元を守る責任者だから、「地元に残って災害対応をしっかりして被害の発生を防ぐことを最優先にしてほしい」ということで、本庁舎に来るのはやめて、地元の災害情報をしっかりと収集し報告することになったんだよ。
ところでシロモチくん。市民の皆さんは市の呼び掛けでちゃんと避難しているの?
実は避難所への避難率はあまり高くなかったんだ。
どうしてなの?
例えば、主にいちし地域を流れる波瀬川では、避難を呼び掛ける川の水位と、地域の人たちが危険と感じる水位との間に大きな開きがあって、避難する行動に結び付かないことが分かったんだ。それに、波瀬川が氾濫してもすぐには危険とならない地域の人たちにも、同時に避難を呼び掛けていたんだよ。
まだ大丈夫だと思って避難しなかったんだね。
そこで、みえ大学の先生や自治会長さん、消防団のいちし方面団長さん、そして国や三重県、市の関係者が「波瀬川における避難のあり方検討会」を設置して、避難する基準の水位を見直したり、避難を呼び掛ける地域を細かくすることなどを話し合って、より現実的なものになるようにしたんだよ。
その結果はどうだったの?
避難を呼び掛ける地域やそのタイミングがよりきめ細かくなったので、今年の台風第11号が来たときには避難する人がかなり増えたんだよ。
それは良かったね。他の川の見直しもするの?
現在、国が管理する雲ず川の水位の見直しについて、国土交通省と話し合っているんだ。それと、三重県が管理する川についても見直しをお願いしているところなんだよ。
早くできるといいね。ところで、もし夜中に避難の呼び掛けがあったときはどうすればいいの?
市が指定した避難所に避難するのが基本なんだけど、夜中だと外が暗くて周りの様子がよく分からないよね。
うん。もうすでに家の周りに水が来ているかもしれないし、それだと外に出るとかえって危ないよね。
そうだね。だから、避難が遅れたり、避難所に行くことが危険と感じたときは、浸水からの避難だったら自宅の2階に上がるとか、土砂崩れだったら山と反対側の2階の部屋に避難して、自分の命を守ることが大切なんだ。
そうすればいいんだ。
これは垂直避難といって、国が「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」で勧めている避難の方法なんだよ。
市から避難を呼び掛ける情報も大切だけど、危険と感じたときは自分で考えて、命を守る行動を取ることがとても大切だということがよく分かったよ。
それともうひとつ大切なことは、自分が住んでいる場所や地域の災害が起こったときの危険性をよく知っておくことなんだ。
私もしっかり勉強しておくね。
災害対策に終わりはないから、これからも市民の皆さんの安全・安心のために頑張るよ。
氾濫注意水位 水位が2.20メートルを観測し、さらに水位の上昇が見込まれるとき |
避難判断水位 水位が3.40メートルを観測し、さらに水位の上昇が見込まれるとき |
氾濫危険水位 水位が3.49メートルを観測し、さらに水位が4.20メートル以上の上昇が見込まれるとき |
河川氾濫(超流) 水位が4.20メートルを観測し、超流が確認されたとき |
河川氾濫(超流) 超流が確認された後、2時間後においても継続して超流が見られるとき |
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田尻1自治会 | 避難準備情報 | 避難勧告 | 避難指示 | ||
田尻2自治会 | 避難準備情報 | 避難勧告 | 避難指示 | ||
田尻3自治会 | 避難準備情報 | 避難勧告 | 避難指示 | ||
いちし団地自治会 | 避難準備情報 | 避難勧告 | 避難指示 | ||
西川原自治会 | 避難準備情報 | 避難勧告 | 避難指示 |
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