あけぼの 平成27年7月16日発行(音声読み上げ) あけぼの

登録日:2016年2月25日

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津市人権教育広報 あけぼの

思いが出せる場所へ-障害者差別解消法から考える-

 人を大切にするとは、どのようなことだと思いますか。
 私たち一人一人は、それぞれ感じ方も、考え方も、価値観も違いますよね。たとえば、「津市の人はみんなこう考えるだろう」と言われたら、「いやいや、そんなことはない。津市の人でも、みんな違うよ」と思いませんか?
 ところが、「彼は、外国人だから日本語じゃ通じないだろう」とか、「彼女は、聴覚しょうがいがあるから、手話じゃないと通じないだろう」と言われると、「ああ、そうなんだ」と思ってしまう人は少なくないのではないでしょうか。彼は日本語が堪能かもしれないし、彼女は手話より口話の方が得意かもしれないのに。
 相手に配慮しようとする気持ちは、とても大切なことです。でも、もしかしたら、その配慮は相手が望んでいることと違うかもしれません。「この人は○○だから、きっと、こうして欲しいんだろう」と相手の思いを聞くこともなく、自分の考えや経験で「何か」を「してあげる」。それでは、その人はあなたに大切にされていると感じられないかもしれません。
 まず、どうしてほしいか、「相手の思いを聞くこと」、「自分の思いを相手に伝えること」。それが人を大切にすることにつながるのではないでしょうか。今回の「あけぼの」では、平成28年4月に施行される障害者差別解消法を通して、そのことを考えてみたいと思います。
 

障害者差別解消法ってなに?

 皆さんは、障害者差別解消法という法律を知っていますか。
 正式な法律名は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」と言い、平成25年6月26日に公布され、平成28年4月1日から施行されます。
 この障害者差別解消法は、しょうがいがあってもなくても、誰もが分け隔てられることなく、お互いを尊重し安心して暮らせる共生社会の実現を目的としています。
 障害者差別解消法において禁止される差別は「(1)不当な差別的取り扱い」そして「(2)合理的配慮を行わないこと」です。
 「(1)不当な差別的取り扱い」とは、しょうがいを理由として、正当な理由なくサービスの提供を拒否したり、制限したりするような行為をいいます。例えば、しょうがいを理由として、レストランの入店を断られたり、アパートを貸してくれなかったりすることです。
「(2)合理的配慮を行わないこと」とは、しょうがいによって困った状況が生じた時、その困難な状況を解決するために必要なやり方や工夫を相手に伝えているのに、そのことが伝えられた側にとって過度な負担ではないにもかかわらず、そのことをしようとしないことです。
私たち一人一人がまず、この障害者差別解消法の意味を理解し、行動していくことにより、しょうがいのある人もない人も共に生きる社会をつくることが出来るのではないでしょうか。
 

共生社会の実現をめざして♪ 地域活動支援センター「スタジオピア」訪問記

 津市丸のうちにある「地域活動支援センタースタジオピア」を養正小学校を3月に卒業した4人の子どもたちが訪問しました。スタジオピアは主に精神しょうがい者の活動を支援することを目的にNPO法人ピアサポートみえ(注:)が5年前に開設した施設です。「ピア」とは「仲間」という意味であり、スタジオピアはしょうがい当事者のスタッフによって運営されています。

誰もが共生することのできる社会の実現を目指し、市内でしょうがい当事者の視点からしょうがい者が自立した活動を営むために必要な事業や支援をおこなっている団体。
 

スタジオピアとは?-スタッフのお話から-

 精神しょうがいは、周りから見ただけでは分かりにくいですが、考えがまとまりにくかったり、意欲が出にくかったり、気分が沈んだりするなど、人と接したり、コミュニケーションをとったりする上で、困ることが出てきます。一人一人困っていることは違いますが、そのことで生活に不安を感じている人がたくさんいます。
 スタジオピアはしょうがいのある仲間が来たいときにいつでも来ることができ、安心して過ごせ、悩みを話すことができる居場所であることを大切にしています。皆さんにもそんな居場所がありますか?
 誰にとってもそんな居場所があって、仲間がいると元気でいられますよね。
 

スタジオピア活動紹介

 スポーツや音楽などを中心にいろんな活動を行っています。月に1回スタッフと利用者が話し合い、活動する内容について相談しています。

ソフトバレーボール
バンド演奏
英会話教室
他にもピアノ教室、ソフトボール、陶芸教室など

 心身の健康や生活リズムを考えたときに、食事をしっかり取ることは大事なことです。利用者の皆さんには栄養バランスのとれた食事を取ってほしいと思い、食事の提供には力を入れて取り組んでいます。
 

子どもたちの質問に スタッフや利用者の皆さんが答えてくれました

これまで一番つらかったことは何ですか?

  • 人の目です。何か言われるんじゃないかと怖かった。
  • しょうがいを理解してもらえず、仕事を与えてもらえなかったこと。
  • しょうがいのことがわかった時に、自分を避けたり離れていったりする人がいたこと。

ここ(スタジオピア)に来て、何が変わりましたか?

  • 症状がひどかったときは、服を変えたり、お風呂に入ったりすることもできなかったけれど、今はそんなことはなくなりました。
  • 以前は、フラッシュバック(昔あったつらいことがよみがえること)がありましたが、今はなくなりました。
  • 病気になりたての頃は、偏見が怖くて病気を見せないようにしていました。友達にも相談できませんでした。今、自分は病気であることを隠さず生きています。病気と付き合いながら、自分らしく生きています。
  • ここでは、誰もが僕のことを知ってくれています。
  • ここには、思いをわかってくれる仲間がいます。

みんなに伝えたいことは?

  • 多くの人に、もっと真剣にしょうがいのことを理解してもらって、しょうがいが受け入れられる社会になってほしい。

子どもたちの感想

★私の中には偏見がありました。スタジオピアでは、みんながすごく明るい。だから、この場所がどんなところなのか、いろんな事が知りたくなりました。皆さんが自分自身の思いをたくさん話してくれました。世の中の偏見はひどいなと思う一方で私もそう思わせていた…。でも、もっとスタジオピアの皆さんの思いを伝えていきたいと思いました。

★楽しかったです。私は、ここで精神しょうがいという言葉を初めて知りました。精神しょうがいについてもっと知りたいです。

★スタジオピアの人たちに共通していたことは「自分が悪い」という立場に立たされてきたということでした。しょうがいがあることで「いじめられるかもしれない」「何か言われるかもしれない」と思ってしまうと話してくれました。

 私たちの住む地域の中に、このように誰もが集える居場所ができ、その居場所を起点にして、しょうがい者と地域の人たちが出会い、交流することが、しょうがい者に対する偏見や差別をなくすことにつながるのではないでしょうか。
 

シリーズ学校・園では今13

久居中学校区子ども支援ネットワークの取り組み

活動テーマ
「自分が好き」「家族が好き」「人が好き」「地域が好き」と言える人の輪づくり

 社会の中にある偏った意識やさまざまな生活環境の中で「生きにくくさせられている」子どもたちの現実があります。久居中学校区では、これまでも、そのような子どもたちを中心に、全ての子どもたちが安心して過ごせる「生きやすい」地域づくりを目指して、人権活動を展開してきました。

子どもたちが「生きやすい」地域づくり

地域における
人と人のつながり

地域課題を中心に据えて子どもたちの生活を地域ぐるみで見る

子ども支援ネットワーク

  • 「久居元気会」(久居地域の商店の皆さん)
  • 津市人権・同和教育研究協議会久居支部
  • 成美地区社会福祉協議会
  • 久居中学校区内各幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 久居中学校区内のPTA等学校関係団体
  • 市、県の教育委員会
     

平成26年度の取り組み

意見交換会
話し合いの視点
暮らしの中にある人権・暮らしづくりにかかわって
生活の中にある人権問題「誰もが幸せを感じる地域社会とは」

 各学校でPTA会長・保護者会代表と、各校園長・人権・同和教育担当者で事前協議を行い、その話し合いをもとにネットワーク参加者全員で意見交換を行いました。
 意見交換では、「自分自身が子どもの頃、在日コリアンの子に差別をしてしまった体験」や「自分の子どもの『しょうがい』にかかわっての、周りの意識と家族としての思い」、「中学生のときに習った部落問題を通して、自分が変わったこと」などたくさんの思いが語られ、参加者がその思いに意見を返していく形で行われました。
 意見交換会では、大切にしていきたいこととして地域で子どもを育てること、そして地域の人がつながることを通して、子どもたちに地域を好きになってもらいたいということが確認されました。

人権啓発講演会
 これからの活動内容を考えるために、人権啓発講演会を行いました。大阪府寝屋川市で保護司として活動している丸山涼子さんを講師に招き、自身が小学校長時代に地域と共に進めてきた子ども支援ネットワークの活動を、具体的事例や子どもの姿を交えてお話しいただきました。

参加した保護者の感想

★「地域」と「保護者」の立場で、自分の子だけでなく、周りの子どもたちを見守っていきたい。

★学校とかかわって一緒に子どもたちを見ていくために、もっと学校を開いてほしい。

★学びの基盤作りの大切さを痛感した。それを学校だけで何とかしようと思わず、家庭や地域と連携することで、より子どもを輝かせることができる。

 このように、学校・家庭・地域の連携、校区の課題の共有・解決に向け協働していくことの大切さを再認識したという意見が多く寄せられました。

一年の活動を通しての振り返り

 今後の活動について「もっと参加してくれる団体を増やしていきたい」「自分たちでテーマを決めて学習してはどうか」などの意見が出されました。
 

その他の情報

「発信する組織から協働する組織へ」

 身近にある人権課題を、自分自身の問題として受け止め、あらゆる差別を解消するための「実践力」や「行動力」を身につけながら、これからも活動していくことが確認されました。

地域
家庭
学校

ネットワークの広がり

全ての子どもたちが「生きやすい」地域を目指して



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