「広報津」平成28年1月1日/第241号(音声読み上げ) 市長新春対談
-フランス共和国・オヨナ地域との地域経済交流について-

登録日:2016年2月25日

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市長新春対談 -フランス共和国・オヨナ地域との地域経済交流について-

平成27年10月26日、フランス・オヨナ地域経済ミッション団団長のフィリップ・トゥルニエビリョンさんをお迎えし、オヨナ市と津市の地域経済交流の展開や企業連携について、前葉泰幸[まえばやすゆき]市長がお話を伺いました。
対談は英語で行われましたが、日本語訳でお届けします。

市長 ようこそ津市にお越しくださいました。津市の第一印象はいかがですか。

ビリョン 車窓から山々の景色を眺めながら津市に到着すると、今度は、広大な土地に目を奪われました。ここには自由な都市構想の可能性が広がっています。

市長 津市の土地にまず目を向けていただいたことは、うれしい限りです。そうなのです。工場や農場の用地として、あるいは、福祉施設や病院用地として利活用するなど、津市の広大な土地は将来に向けて無限の可能性を持っています。ビリョン氏はこの津市の土地でどんなことをしてみたいと思いますか?

ビリョン そうですね、フランスの会社に工場でも建ててもらいたいですね。

市長 それはいいですね。津市にはすでに何社か外資系企業が進出していますが、相互投資となる可能性も含まれています。ヨーロッパ系企業を誘致するだけでなく、我々日系企業もフランスに進出したいと考えます。それこそが数年来津市が力を入れている取り組みなのです。そのためにも、まずは相互理解が重要です。ぜひ、オヨナ市についてお聞かせください。

ビリョン オヨナ市は美しい自然に囲まれ、湖が豊富な人口5万人の小さな市です。一方で、1,000以上もの企業がある非常に活力のある市でもあります。特にプラスチック産業が盛んで、日用品から特殊加工品までを出荷しています。

市長 重要な産業をお持ちなのですね。さて、ビリョン氏は今回の経済ミッション団の団長であるとともに、トゥルニエ ビリョン社の最高経営責任者ですが、同社はどのような製品を作られているのですか。

ビリョン トゥルニエビリョン社は長い伝統を代々受け継ぐ家族経営の会社で、1892年から櫛[くし]などのヘアアクセサリーを製造しています。

市長 120年以上も続く老舗企業なのですね。なぜ、オヨナ市ではプラスチック産業が盛んになったのでしょうか。

ビリョン 西暦600年頃、スイス・ジュネーブに美しい王女がいました。フランス国王はその王女を息子の后[きさき]として迎える交渉をするため、使節団を送りました。しかし、その途中で馬車のかごが壊れ、使節団長が怪我[けが]を負ってしまうのですが、オヨナの住民が手当てして乗り物を修理しました。オヨナの冬は長く厳しく、当時の人々は地元の木材から櫛を作り生計を立てていました。フランス国王は使節団を助けてくれたことに感謝の意を表して、オヨナの村で作られた櫛をフランス国御用達の品として納める特権を与えたのです。

市長 とても興味深いお話で感銘を受けました。なぜ、ビリョン氏が御社の長い歴史をたたえられているのかが分かりました。先祖代々で築き上げられてきたものなのですね。

ビリョン その後、私たちの挑戦は櫛を作ることだけにとどまらず、現在は飛行機の部品や家屋の材料、日用品なども作っています。プラスチック産業は人々の生活にとって、欠かせないものへと成長しました。今日は実際にオヨナで作られたプラスチック製品を持ってきましたので、ぜひ手にとってご覧ください。

市長 髪飾りですね。手作りに思えないほど精密で美しいですね。

ビリョン 手作業によって500個以上のストーンが埋め込まれています。この作業には、高い技術が必要なのです。

市長 高度な技術を持つ職人がいらっしゃるのですね。伝統だけではなく、最先端技術の発展にも力を注いでいることがとても分かります。

ビリョン 私たちは、古き良き伝統と現代のレーザー切断や印刷技術とのイノベーションをおこなっています。実は日本でも1979(昭和54)年から販売しているのです。

市長 30年以上も前から日本とつながりがあるのですね。さて、先ほどイノベーションについてお話しされましたが、それこそが今回の対談の重要なポイントです。
これまで長年培ってきた技術、それこそがイノベーションであると思います。津市にも長い歴史だけでなく、先端技術を誇る中小企業が多くありますので、相互の高い技術を生かし、連携すれば、素晴らしいものづくりが可能だと思いませんか?

ビリョン そのとおりですね。1 足す 1イコール2ではなく3にもなり得ます。そのようなチームワークの力を私は信じています。

市長 まさにチームワークですね。今回の経済ミッション団の団長として、津・オヨナ産業連携のための提案はありますか?

ビリョン 市内の企業を視察させていただきましたが、帰国後まず、このミッションで津市の情報や高い技術力のある企業が数多くあることを、オヨナの企業に伝えたいと思います。相互に連携し、一緒に研究プロジェクトを立ち上げるなど、多様な可能性が広がっていると思います。ビジネス的価値観や倫理的価値観を共有し、同じバックグラウンドを持つことは、ビジネスをする上で非常に重要なことであると考えます。

市長 私自身フランスの企業で働いていた経験がありますのでとてもよく分かります。私たちが同じ価値観を持っているとおっしゃっていただきとても光栄です。日本とフランスという2国が協力し合うためには、事前にお互いを知ることが大切ですね。津市からオヨナ市へ、そして今回のようにオヨナ市から津市へと相互に訪問することはお互いを理解し合うための貴重な機会になるかと思います。津市滞在中に企業を視察される予定ですが、何か興味を持たれていることやご覧になりたいものなどはありますか?

ビリョン 今回、準備いただいた企業訪問プログラムは、器具やプラスチック製造業、金属加工業など多岐にわたりますが、それらはフランスが貿易相手として必要としている分野でもありますので、まずは長期的な視野に立ち、私たちがお互いのことをよく理解した上で、各々の企業が関心を持ち、さらにアイデアを改良できると考えています。
津市の代表団がオヨナ市に来てくださったことが私たちの第一歩であり、そして今回の視察が二歩目となりました。未来は私たちのものです。

市長 今回の津市訪問がオヨナと津の企業間のさらなる発展につながっていくことを願っています。こういった産業交流は3年ほど前にローヌ・アルプ地域圏へ津市がミッション団を派遣したことがきっかけでした。オヨナ・津ともにお互いを知る機会はたくさんあると思いますし、相互理解が大切です。一方に依存するのではなく、共に歩む「イコール・パートナーシップ」の視点を持つことが重要であると信じています。

ビリョン パートナーシップとは、平等でお互いにとって利益があることを意味します。つまり「win-win」の関係ということですね。

市長 これからも一緒に「win-win」の関係を築き上げましょう。最後に津市民へのメッセージをお話しください。

ビリョン 私たち訪問団を温かく津市に迎えていただき、あらためてお礼申し上げます。今後も津市を訪問し、両国の企業間連携を強めるとともに、皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

市長 どうぞ日本でのすてきな時間をお過ごしください。本日はありがとうございました。

Mr. Philippe TOURNIER BILLON
オヨナ地域経済ミッション団団長 フィリップ・トゥルニエ ビリョン

TOURNIER BILLON(櫛製造会社)代表取締役。現在、オヨナ市産業振興顧問、オヨナ地域経済委員会委員長、アン県商工会議所委員(国際ビジネス担当)を務める。

市長新春対談は津市ホームページ・市長の部屋の市長対談でもご覧いただけます。
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