あけぼの 平成28年2月16日発行(音声読み上げ)

登録日:2016年3月21日

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津市人権教育広報
あけぼの

 道は一つではない -子どもの未来を守るために-

 何かがうまくいかなかったとき、「私なんて…」と自分に自信をなくしたことはありませんか。
 周りの人と自分を比べて「なぜ、自分はこんなにダメなんだろう」と落ち込んだことはありませんか。
 「つまずくことで、失敗することで、人は成長するんだよ」とよく言われます。しかし、自身でそうはなかなか思えずに、悩みながら自分を諦めてしまう子どもたちもいます。
 そんなとき、周りにいる人が「大丈夫だよ」「一緒に歩こう」と伝えてあげることも、再び歩き出す勇気につながります。
 子どもたちが大人になっていくには、いろいろな道があります。
 最初に選んだ道が行き止まりだったり、どこを歩いているのか分からなくなったりしたときには、立ち止まったり、ときには引き返したりすることも必要かもしれません。
 大切なのは、5年後、10年後、その先につながる未来が幸せであること。
 今回の特集「子どもの自立を支える-未来をあきらめさせないために-」は、疲れて立ち止まっている子どもたちが歩き出したくなったとき、いつでも一緒に歩いてくれる仲間を紹介します。
 子どもの自立をどのように支えるのか、さまざまな視点から考えてみましょう。

市民人権講座を開催しました

 昨年11月10日、サンデルタ香良洲で市民人権講座が開催され、UDまちづくりの会代表の木下美佐子さんによる「みんなが住みよいまちづくり-年を重ねて見えてくるもの-」と題した講演がありました。
 「人間は誰でも年を取っていくものですが、その中でいかに年を取っていくかが大切です」という話の中で、長寿に欠かせないものとして、運動や栄養といったことのほかに、社会参加が挙がりました。高齢者に欠かせないものとして、「今日すべき用事」と「今日行くべき所」が必要なのだそうです。
 高齢者が元気に社会参加できるまちづくりを進めるためには、人が物に合わせるのではなく、物を人に合わせるといった人間中心の考え方、ユニバーサルデザインが必要だということを丁寧に話してくれました。
 このユニバーサルデザインとは、大人や子ども、体の不自由な人、お年寄り、妊娠している人、赤ちゃんを連れた人、外国の人など、全ての人が使いやすくなるように考えてつくることをいいます。
 現代社会ではスピード・量・質が優先されがちです。こうした社会の中で生きづらさを感じている人もいます。そのような人に寄り添い、誰も排除しない、誰も排除されない、誰も排除させないことが、みんなが住みよいまちづくりにつながっていくと語ってくれました。
 そして、高齢者とは誰もが行く道であることから、私たち一人一人が高齢者の人権について、「自分が同じ立場に置かれたらと考えてみること」「関心を持つこと」「できることから始めてみること」が大切だという話で、講演が締めくくられました。
 高齢者に限らず、誰もが住みよい社会にしていくためには、一人一人が尊重されることが、とても大切なことではないでしょうか。

子どもの自立を支える-未来をあきらめさせないために-

 不登校や中途退学を経験した子どもたちの自立や社会参加をさまざまな形で支援している団体や組織の皆さんにお話を伺いました。活動の内容やその様子、子どもや保護者の声など、教えていただいたことを紹介します。

NPO法人 チャレンジスクール三重
こんな活動をしています!

理事長 玉村典久さんから

 現在は中学校を卒業した子どもを対象にレギュラー生47人(毎日通う、ゆるやかな学校スタイル)とフレックス生21人(週2日、個別学習)に分かれて活動しています。さまざまな学習レベルの講座を開設し、通信制高校と連携しながら、高校卒業資格を取得するためのサポートをしています。他にもワープロ検定や漢字検定などの資格を取得したり、遠足などの行事や、スポーツ・芸術活動などの体験活動もおこなったりしています。子どもには安心してやり直せる場や、人との関わりが必要です。「自立する」ということは、「人と一緒に生きていく」ことだと考えています。子どもたちは仲間や教師と触れ合いながら一緒に活動することで学力をつけ、経験を積み重ね、夢に向かって歩んでいきます。そのことが子どもたち一人一人の自立につながっていくと考えています。

生徒の声から

  • それまで通っていた高校へ行けなくなって、思い切って転校しました。おかげで1年遅れることなく卒業することができそうです。
  • 中学校のときは、ほとんど学校に通ってなかったので、高校の勉強についていけるか心配でしたが、分かるところまで戻って教えてもらっています。

NPO法人 フリースクール三重シューレ
こんな活動をしています!

理事長 石山佳秀さんから

 ここは、ありのままを認め合う居場所であるとともに、一人一人の多様な育ちを大切にしている学びの場です。
 小学生から青年(原則20歳未満)までの幅広い年齢の会員が一緒に過ごしています。少人数を基本に17人が在籍し、連携している通信制高校の卒業資格を取得する学習もしています。来る日や活動内容は全て個人で決めますが、全体の活動などは子どもとスタッフによるミーティングで企画しています。個人で育つことと仲間と一緒に生きることの両方を大切にしています。
 子どもは誰もが成長し自立していく存在です。そのためには、子ども自身が安心して試行錯誤できる環境が必要です。私たちは、子どもを心から信頼し、子どもが決めたことを応援したいと考えています。

子ども会員の声から

  • 三重シューレに出会えてよかったです。ここで出会ったスタッフや仲間と話しているうちに「自分はこれでいいんだ」と思えて、どんどん自分のことを話せるようになりました。今はかなり自分らしくなれていると思います。ここで多くのことを学ぶことができたと思います。

津市教育支援センター(ほほえみ教室・ふれあい教室)
こんな活動をしています!

指導教員 片山修さんから

 市内2カ所の教室で小・中学生を対象に活動をおこなっています。活動内容は基礎学習(各教科の個別自主学習)やスポーツ活動、制作活動(木工・陶芸など)、野外活動(遠足・現場研修など)、調理実習など多岐にわたっています。現在は小学生22人、中学生44人が通室していますが、通室の仕方や時間は一人一人と相談して決めています。
 教室には、頑張り過ぎて少し息切れしてしまったり、一時的に自信をなくしてしまったりした子どもたちが通室しています。さまざまな活動を通じ、教室の仲間や指導員、地域の皆さんと触れ合うことで、子どもが本来持っている力を引き出すことができると考えています。そして、その力を子どもに気付かせるとともに、子どもたちが次の一歩を踏み出すための「心のエネルギー」がたまる場所になるように工夫しています。私たち大人も子どもから学ぶことが多く、大人も子どもも共に成長できる、そんな場所でありたいと思っています。

卒室した子どもの保護者から

  • 小学校時代は息子が大変お世話になりました。おかげさまで、中学校で部活動に入り、勉強にも取り組んでいます。今ではすっかりたくましくなりました。あの頃はもどかしかった「ほほえみ教室」での生活ですが、あの時間があったからこそ、今があるのだと思っています。そのままの息子を受け入れてくださって、ありがとうございました。

 「道は1本じゃなく、他にもたくさんあります。不登校を経験し、この学校で日々を過ごしてきた私になら言えます。他の道からでも自分の行きたい場所を目指せます。」
 これはチャレンジスクール三重の生徒からいただいたメッセージです。子どもの成長に関わる私たち大人は5年先、10年先に子どもたちがどのように生きていくことが大切なのかを考えながら、子どもの力を信じ、自立に向けて、支えていくことが最も大事なことではないでしょうか。

NPO法人 チャレンジスクール三重
 松阪市嬉野町1430
 いちし久居教育会館2階
 電話番号0598-42-8174

NPO法人 フリースクール三重シューレ
 広明町328 津ビル1階
 電話番号213-1115・1116

津市教育支援センター ほほえみ教室
 乙部2110
 電話番号221-6038

津市教育支援センター ふれあい教室
 久居北口町601-4
 電話番号254-0660

シリーズ 学校・園では今14
第2回 津市中学生人権フォーラム

平成27年10月4日 津市勤労者福祉センター(サン・ワーク津)

 10月4日、第2回津市中学生人権フォーラムが開催されました。当日は62人の中学生の参加があり、「昨年度参加して楽しかったから」「もっと人権について、たくさんの人と話したいから」と昨年度に引き続き参加してくれた中学生もいました。
 まず、参加者は10のグループに分かれ、自己紹介をおこなった後、いじめや差別の構造を疑似体験しました。各グループには、人権を大切にする活動に取り組む中勢地区高校生友の会や津市反差別青少年友の会(以下、津友)のメンバーが入り、中学生が話しやすいようにコーディネートしてくれました。
 次に津友の青年が自分の経験を通して、「自分の中の差別心とどう向き合ってきたか」「自分にとっての差別を許さない生き方とは何か」について話し、その中で仲間の存在の大切さや人とのつながりの温かさを中学生に伝えてくれました。その話をもとに、参加者一人一人が自分の経験と結びつけながら、いじめや差別をなくすために大切にしていることや、今考えていることをグループで話し合いました。

-参加者の感想から-

  • 自分が知らないうちにしている差別について、気付くことも大切なことだけど、それ以上に自分がしてしまった差別と向き合うことが大切だと思った。
  • 差別とはどういうものなのか、どうしたらなくせるのか、たくさん考え、意見を出し合えてすごく良かったです。これからどう行動していくかも考えられました。話も聞いてもらえてうれしかったです。
  • いろいろ人権のことが話せてうれしかった。ここで話したことを、家に帰ったら話したいと思った。
  • 自分たちが変えることのできるものに勇気を出して進んでいく心が大切なんだと改めて感じました。

 今回も中学生のさまざまな思いを聞くことができました。他の人の話を聞きながら今までの自分を振り返り、これからどんな活動をしていくか真剣に話し合う姿が見られました。
 昨年度のフォーラム後に、「自分たちの中学校でもこんな話し合いがしたい」と人権サークルを立ち上げた中学生がいました。今回のフォーラムでも、参加した中学生たちは、いじめや差別を自分のこととして捉え、「行動していかなければ」と感じていました。学校、地域でも差別を許さない仲間の輪が広がっていくことを、参加者一人一人が実感できるフォーラムとなりました。


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