「広報津」第257号(音声読み上げ)市長コラム 市長の活動日記から

登録日:2016年9月1日

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市長コラム 地籍調査を進めます

津市長 前葉 泰幸

古来、新しい政治が始まる時には必ず、国を治めていくために人と土地とが調査されてきました。

古くは大化の改新後に導入された班田収授の制度までさかのぼりますが、全国規模で行われた初めての調査は太閤検地です。戦国の世を勝ち抜いた武将豊臣秀吉は、度量衡を統一して農地を測量し土地の石高などを定めました。

明治維新政府が実施した地租改正事業では土地の所有が認められ地価が定まりました。測量により作成された図面は、現在法務局に備え付けられている公図のもとになっています。しかし、当時の測量方法や技術の未熟さもあり非常に不正確で、登記などの際に混乱を招く原因となっています。

第二次大戦後、疲弊した日本を再建するには、国土資源を最大限に活用することが不可欠でした。しかし、その前提となる土地の基礎的な情報が未整備のままでは復興はおぼつきません。昭和26年、国土調査法が制定され、地籍調査が行われることになりました。調査主体は市町村です。土地登記簿上の一筆ごとの土地について、所有者・地番・地目・境界を調査し、面積の測量を行います。作成した地籍簿および地籍図は法務局に送られ、精度の高い登記内容に更新されます。

それから60年以上たった現在、津市における地籍調査の進捗率はわずか3パーセント。三重県全体でも平均9パーセントと、全国の51パーセントに対し非常に低くなっています。

地籍調査が完了していない土地では、様々な不都合が生じます。登記簿と実際の面積とが食い違うことによる土地売買のトラブル、隣地との境界争いなどといった身近な問題のみならず、開発事業や公共事業にも時間と労力と費用がかかり、大規模災害時には復興を妨げる要因ともなります。有名な例の一つが六本木ヒルズです。地籍調査が未実施であったため境界調査に4年もの歳月を費やし事業が長期化しました。17年をかけたこの開発は大資本でなければ手に負えないほど大きな障害を抱えた事業だったといえましょう。

一方で、東日本大震災の津波被害により市内全域が壊滅的な被害を受けた宮城県名取市では移転先、移転元ともに地籍調査が実施済みでした。ほぼ全ての境界杭や鋲が喪失して土地の境界が不明となったものの、地籍調査の成果を活用することで調査、測量等を省略し、大幅な経費縮減と速やかな防災集団移転促進事業の着手が可能となりました。

時代とともに地域の土地利用の姿が変わり、従来土地の境界として相互に承認されてきた目印(物証)がなくなったり、境界に関する記憶(人証)が失われてしまったりする前に、正確な土地情報を残しておくことが強く求められている今、津市は、地籍調査のスピードアップを図る方針を決定しました。予算と人員には限りがあるため、特に人口が集中し、万一、南海トラフ地震が発生した場合に甚大な被害が懸念される沿岸部を重点整備区域に定めます。10年間で調査を完了する高い目標を設定し、予算を従来の3倍に増やすと同時に、国に対しても積極的な要望活動を始めています。

法務局は、人口集中区域のうち公図と現況が著しく相違する地図混乱地域を対象として独自に調査を進め、登記所の正式な地図を作製する事業を行っています。地籍調査と基本的には同じ内容ですので、津市の該当地域においてもご協力いただけるように要望しています。国土交通省には、基準点の設置や地形測量など地籍調査の基礎となる前段階の調査の実施をお願いしたところ、都市部官民境界基本調査の対象として採択していただきました。この結果を頂戴し、官民境界を先行して決めていく調査を進めることで地籍調査の加速化を図ります。

調査を進めるには膨大な人手が必要となります。素図作成や現地立会などについては、技術面から土地家屋調査士の皆さんにご協力をいただくこととなりました。

地籍は、地域に必要な社会基盤であり、未来に残すべきインフラの一種です。後世に役立つ投資と信じ、地道にしっかりと取り組んでまいります。

市長の活動日記から

津市消防団夏期訓練(ボートレース津駐車場) 7月24日

団員の要望により、防災、消防救急のデジタル無線の取り扱い訓練を実施しました。消防救急無線のデジタル化に対応し万全を期す初の取り組みです。

第65回津花火大会(阿漕浦海岸) 7月30日

合併10周年を記念した今大会は 初尽くし の豪華プログラム。初披露、初挑戦、そして、初の大台1万発の花火が15万5,000人の観衆を魅了しました。


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