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折り込み紙3
平成29年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366
津市が人権尊重都市を宣言してから、3月で10年を迎えます。
この宣言では、私たち津市民は、一人ひとりが自らの人権意識を高め、すべての人々の人権を守り、明るく住みよい社会を築くため、ここに人権尊重都市を宣言します、としています。人権は、誰もが等しく持っている権利であり、幸せな生活を営むために欠かすことのできない権利です。一人一人が、お互いの個性を認め合い、自分の人権だけでなく他人の人権についても大切にしていかなければなりません。
津市では、市民の皆さんに人権について考え、理解を深めてもらうため、同和問題、子どもの人権、女性の人権、障がい者の人権、高齢者の人権、外国人の人権、LGBTなど性的マイノリティーといったさまざまな人権課題の解消に向けた講演会や講座、研修会を実施し、広報津ではシリーズ人権を掲載しています。また、国や県などと連携・協力して、差別事象をなくしていくために取り組んでいます。
この人権だよりは、毎年3月に発行しており、家庭や職場、地域などのあらゆる機会で、市民の皆さんが人権について考えるきっかけとなればと思います。
今後も、人権尊重都市の実現に向け、皆さんとともに、人権課題を解消し、人権意識の高いまちを目指して取り組みを進めていきます。
男のくせに泣くんじゃない! 女の子なんだからもっと行儀よくしなさい!これらはきっと誰もが一度は言われたことのある言葉ではないでしょうか。しかし、大切な人のために涙を流せる男の子は弱い子なのでしょうか。きっとその子は相手の気持ちを考え思いやることのできる、とても優しい男の子にちがいありません。では、行儀よくしなければいけないのは女の子だけなのでしょうか。男の子だって行儀が悪ければ人に迷惑を掛けてしまったり、自分自身が恥ずかしい思いをしてしまったりするはずです。こうして考えてみると、男らしさ、女らしさという言葉には、これといった定義もなく、かなりあやふやで不確かなものではないでしょうか。
津市では、昨年9月に男女共同参画に関する市民意識調査を実施しました。その中の、子どもには、どのような生き方をしてほしいと思いますかという設問で、男の子には経済的に自立できるようにという回答が一番多く、女の子には家事など身の回りのことが自分でできるようにという回答が一番多くなりました。これは子どもたちの幸せを願う、切実な親の気持ちなのでしょう。しかし、こうした思いや期待によって、子どもたちに知らず知らずのうちに、世間で言うところの男らしく、女らしく生きることを選択させてしまっているのだとしたら、私たち大人は考えを改めなければならないのではないでしょうか。男性と女性は、体力や運動能力など身体的な点では差があります。しかし、性差だけを理由に、大人が子どもたちの未来や可能性を狭めてしまってはいけないのです。
男らしい生き方、女らしい生き方ではなく、自分らしい生き方、そんな自由な生き方を選択できる社会をみんなで築いていきましょう。
同和問題とは、特定の地域出身であることや、そこに住んでいることを理由に、差別するという重大な人権問題です。現在でも、同和問題に係る差別事象が発生しています。
ところが、そっとしておけばいいのにとか、私には関係ないからといった考え方を持っている人もいて、私たち一人一人の問題になっているとは言い切れません。
いじめも差別も常に、する側の問題として、解決していこうとする姿勢が必要です。私たちは、日々の生活の中で誤った知識や偏見などを刷り込まれることがあります。知らず知らずに、差別意識を持ってしまってはいないでしょうか。
さらに、インターネットやスマートフォンなどが普及した今、書き込みなどで不特定多数に差別が拡散し、それが新たな差別意識を引き起こすことなども問題となっています。
現在、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律に基づき同和問題の解決に向けた取り組みが行政・学校・企業・関係団体など、あらゆる機会を利用して進められています。昨年12月には、部落差別の解消の推進に関する法律も新たに施行されました。
同和問題は、決して一部の人たちだけの問題ではありません。人間が人間として尊重され、誰もが平等で明るく幸せに生活できる社会の実現のため、私たち一人一人が人権感覚を磨き、差別のない社会にしていきましょう。
昨年10月14日、白山市民会館で、市民人権講座が開催され、反差別・人権研究所みえ調査・研究員の三輪真裕美さんによる、今、私たちにできること 性的マイノリティの人権から考えると題した講演がありました。
皆さんは、LGBTなど性的マイノリティー(性的少数者)という言葉を聞いたことはありますか。LGBTとは、同性愛者、両性愛者といった性愛の対象が必ずしも異性ではない人たちや身体の性と心の性が一致しない人たちのことを英語の頭文字で表した総称です。この性的マイノリティーの人たちが、日本国内で約7.6パーセント、13人に1人いるといわれています。
最近では、スポーツ選手や、タレントなどが同性愛を広く告白したり、性的マイノリティーの人たちの生き方を取り上げたテレビドラマが放映されたりするなど、少しずつですが、その認識は高まってきています。しかし、その一方で、性的マイノリティーに対する多くの人々の認識は、依然として低く、そのことが誤解や偏見を生み、差別につながっています。
これまでの社会の中では、人は生まれた時の身体的特徴により男性か女性に区別され、男性は女性を、女性は男性を恋愛対象とするものだと考えられてきました。しかし、現実的には、身体的性別と自認する性別が異なっていたり、恋愛の対象が同性であったりするなど、必ずしもそうではありません。また、自分の身体の性と心の性に違和感を持ち、学校や職場、日常生活の中で、トイレ・更衣室の使用や決められた制服、髪型、呼称などで息苦しさを感じている人もいます。
三輪さんは講演の中で、身体の性、心の性、愛する対象は100人いれば100通りだとおっしゃっています。例えば、身体の性は男性であっても、心の性が女性である場合、愛する対象の性は男性であったり、ボーイッシュな女性であったりするなど多様で誰一人同じ性の指向はありません。まさに、この多様性を受け入れ、理解していくことが、性的マイノリティーの人権を考える一歩ではないでしょうか。性を含めた多様性や人権を尊重する社会の実現のためには、一人一人がお互いの違いを一つの個性として受け止めて認め合うことが大切です。その上で、私たちが、学校や職場、日常生活の中で、できることは何かを考えることが、性的マイノリティーに対する差別や偏見をなくすために必要なことではないでしょうか。
日本は、平成26年に障害者の権利に関する条約(略称 障害者権利条約)を締結しました。
以前は、障がいとは、病気や外傷などから生じる個人の問題であり、医療を必要とするといった医学モデルの考え方が反映されていました。しかし、障害者権利条約では、障がいとは、主に社会によって作られたもの、社会の問題であるという社会モデルの考え方が反映されています。
学校現場では既に、障がいの有無に関わらず、子どもたちが同じ場所で共に学ぶというインクルーシブ教育が進められています。障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学ぶことで、同じ社会に生きる人間として、互いに正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていく大切さを学ぶことができます。
また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略称 障害者差別解消法)が、昨年4月から施行されました。この法律は、障がいのある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会をつくることを目指しています。
しかし、昨年7月、神奈川県相模原市の障がい者施設津久井やまゆり園で、障がい者19人が殺害され、27人が負傷するという大変痛ましい事件が発生しました。多様性を認めず、生きる意味や人の価値を独善的に判断し、命を平気で奪う身勝手な考えは、断じて許されません。私たちは障がいがあろうがなかろうが、同じかけがえのない人間なのです。そして、人間の命を奪う権利など誰にもないのです。
障がいがある人もない人も、互いを認め合い、支え合って生きていく大切さを、私たち一人一人がしっかり考え、あらゆる人が個人として尊重され、排除されない社会の実現を目指していかなければなりません。
僕な、家族の話になると黙ったり、話を変えようとしてきた。お父さんがおらへんことをどんなふうに思われているんやろって思ったら不安で。でもな気がついたんさ。家族ってお父さんが、お母さんがいて当たり前って思っている人がたくさんいる。そんな周りの見方に僕自身が捉われていたことに。お母さんと二人で暮らしているのが僕の家族。そんな家族のことが僕は好き。これが自分の家族なんやって胸を張って生きていこうと思う。家族っていろんな形があっていい。そんなふうに思える社会をつくっていくんや
私の町のことをよくないように言う言葉を聞いたとき、私の心の中が不安でいっぱいになった。でも、私の住んでる町は、自分の子どものように声をかけてくれるおっちゃんやおばちゃんがいっぱいいる。私はそんな自分の住んでいる町が好き。だから、私は、大好きな町のことを隠すような生き方はしやへん
この子どもたちの声は、社会のありようへの叫びであり、訴えではないでしょうか。かつて勤務した学校で、担任した子どもたちからこんな言葉を聞いた私は、自分の生き方や考え方を揺さぶられ、自分自身が何に捉われていたのかを見つめ直すきっかけになりました。
子どもたちは、一人一人違う環境の中で育ち、さまざまな経験をしながら生きています。ありのままの姿を受け入れ合う開かれた関係の中では、子どもたちは安心して自分を表現することができます。しかし、本当の思いを出せない環境の中では自分とは違う自分を演じなければならず、心を閉ざすしかありません。
そのようなありのままの自分が出せない状況を変えていくために、まずは、私たち一人一人の中にある固定した見方や考え方を絶えず問うことを大切にしていきませんか。
考えよう あいてのきもち あいてのこころ
今地結聖さん 安濃小学校2年生
声かけて 人の心に よりそって
落合倫世さん 一志中学校1年生
非いじめ三原則 しない・させない・ほっとかない
村上文俊さん 朝陽中学校3年生