「広報津」第278号(音声読み上げ)津市人権教育広報 あけぼの 第23号

登録日:2017年7月16日

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折り込み紙4

津市人権教育広報 あけぼの 第23号

平成29年7月16日発行

教委人権教育課 電話番号229-3253 ファクス229-3017

生きがい・つながり 高齢者の人権を考える

人は高齢になれば、体の機能が徐々に衰えてくることは仕方のないこと。でも、そのために、楽しく暮らせなくなるのではないかと不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

全ての人が人として尊ばれ、楽しく、安心して、幸せに暮らす権利は、社会全体で守っていくもの。子どもにも、女性にも、外国人にも、障がいのある人にも、どこに生まれても、いくつになっても、人としての権利は全ての人が持っていて大切に守られるべきもの。そしてそうした社会は、みんなでつくるもの。同時に、私たち自身が勇気を出して、一歩踏み出すことが必要な場面もあるかもしれません。

今回の特集 生きがい・つながり 高齢者の人権を考えるは、市内のさまざまな地域で、仲間とともに居場所をつくり、居場所を広げながら、生き生きと人生を謳歌している人生の先輩の皆さんの活動を紹介します。

生きるという言葉の意味を、さまざまな視点から考えてみたいと思います。

人権コラム 高齢化社会を迎えて

内閣府の高齢社会白書によると、日本の65歳以上の高齢者人口は、平成27年には3,392万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は26.7パーセントになっています。総人口が減少する中で高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、平成47年には国民の3人に1人、平成72年には2.5人に1人が65歳以上の高齢者になると推計されています。

高齢化社会が進む中、高齢者の一人暮らしも増加しており、隣近所との関係も希薄になってきている現代においては、会話する相手がなく社会から孤立してしまう高齢者も多く見られます。

また、高齢化社会が進むと、当然ながら介護を必要とする人も増えることになります。高齢者が高齢者を介護することも珍しくありません。

そして場合によっては、家族に介護のストレスが掛かり、その結果として高齢者の虐待につながるという問題も現状では起こっています。ここでいう虐待とは暴力だけに限りません。暴言や無視なども虐待行為の一つです。

こうした問題を防ぐには、行政側の手立ても必要ですが、介護を行う人を孤立させず、周囲が気付くことも大切なことだと思います。

このように、一人暮らしの高齢者や、介護を必要とする高齢者が増加している中、地域住民同士で支え合っていくことが重要です。

住民同士がさりげなく気遣い、お互いの悩みも話すことができ、遠慮なく助け合いができる。そんな地域社会が望まれます。

いくつになっても、人とつながり活躍したい

豊かな気持ちで、幸せになりたいのは、年齢に関係なく誰もが抱く気持ちです。子育てが終わったり、仕事を辞めたりした後も、生きがいを持って暮らしたいと思いませんか。誰もが安心して暮らせる社会をどう実現していくのか。身近な地域で安心し生活できる社会づくりや居場所づくりについて、高齢者の活動を通して考えてみませんか。

津ことぶき楽団グリーン

市内の高齢者メンバーで音楽活動を続けることぶき楽団グリーン。63歳から79歳までの21人が、中央公民館で市民音楽祭や公民館などの発表会、老人ホームなどへの慰問に向け、毎月、練習を積んでいます。メンバーの中には退職後に楽器を始めた初心者も多くいます。

音楽経験者しか入れない雰囲気ではなく、みんなで楽しくやる。大きな目標の一つは健康です。日を決めてそこに集う、それが大切なんですと、団長の川﨑さん。練習でも笑い声が絶えずとても楽しそうで、演奏で失敗してもごめんごめんと言いながら温かい雰囲気で練習が進んでいきます。

楽団員の一人、森さんにとっては、この活動が仕事などの現役生活を終えた後の人生の大きな生きがいになっているそうで、仲間と一緒に練習し、笑い合うことはどんな薬にも勝ります。今年つれあいをなくし、一人で生活している私にとっては、この活動は、まさに人という漢字のように支えになっていますと言います。

大正琴を担当する皆さんは同じ楽器のメンバーとは車に乗り合わせて来たり、ご飯を食べに行ったりと、この集まりがきっかけでいつも行動を一緒にするようになりましたと話してくれました。

老人ホームへの慰問では、懐メロを中心に演奏し、演奏者、参加者が昔を懐かしんで、一緒に演奏を楽しむ姿があります。楽団の演奏に合わせて、歌を歌ったホームの参加者は、80歳になって初めて生演奏で歌ったと感動した様子でした。

昨年度は、津の市民歌このまちが好きさを楽団が演奏し、津児童少年楽団が歌って共演し、おじいちゃん・おばあちゃんと孫といった世代間の交流も行われました。

顧問の川村さんは1人で家で演奏するときと、仲間と演奏するときでは、音が違うんです。つまり、個々の楽器の音もみんなで演奏するときにしか出せない音があるんですと言います。

楽団は今年で創立41年になります。地区行事やお祭り、ダンスパーティーなどから依頼を受け演奏を行っている今では、公演ごとに来てくれている隠れファンもできたそうです。いろいろな地域の皆さんが集まって、高齢者が生き生きと活動できる居場所の一つとなっています。

ふれあい長寿津

生きがいを見つける人生の学校 ふれあいカレッジ

平均年齢72歳の250人ほどのメンバーで構成されているふれあい長寿津。支え合いと触れ合いの地域づくりをモットーとし、住みよいまちづくりを目的に平成8年に設立されました。

その活動として、ふれあいカレッジを開設し、学習を通した仲間づくりに取り組んでいます。講座では、市長をはじめ大学の先生、法律や医療の専門家などを講師に、学習会、講演会、実習、フィールドワーク、スポーツ、ものづくりを通した交流を行っています。また、その場の学びだけで終わることなく、その講座で出来た仲間のつながりを大切に、講座受講後ふれあい長寿津のメンバーとなり、清掃活動、小学生との昔遊び交流など幅広い分野にわたり活動に取り組んでいます。

自らもふれあいカレッジ卒業生で事務局員の高松さんは、70歳で仕事を辞めた後、急に居場所がなくなったと感じ、毎日どのように過ごすかが悩みだったそうです。10代で青森から東京に出て就職し、その後三重県桑名市に。3年前に津市に移り住んだ時、地域とのつながりはなかったのですが、半年間の講座を通してできたつながりをさらに深めていくふれあいカレッジの活動に共感し、参加することにしたそうです。

ここで知り合った新たな仲間と、誕生会をしたり、ボランティアをしたりしています。参加しなければいけない活動ではなく、みんなが好きで集まっている。こんな活動を探していたんですと話す高松さん。生涯学習の場が生涯の絆づくりの場になっています。

いくつになっても、誰かのために 昔遊び交流活動

いくつになっても、人とつながり活躍したい。このように考える高齢者は少なくありません。ふれあい長寿津では、生きがいとは、社会参加や社会貢献を通した人との関わりであると考えています。そこで、地元企業より小豆を提供してもらい、お手玉を作り、市内の小学校や幼稚園へ贈っています。さらにそのお手玉を使って、小学校低学年を対象とした昔遊び交流の訪問をしています。

今年80歳になる岡田さんもふれあいカレッジを卒業後、この活動に参加しています。誰かと触れ合うきっかけ作りや、老後に、体力的にも自分にできる奉仕活動をという思いで、活動を続けています。活動に参加して、友達の輪が大きく広がり、何よりも長い間同じ団地に住んでいたにもかかわらず、ほとんど話したことがなかった人と初めて交流することもでき、改めて出会いの大切さを感じたそうです。地元の小学生との交流では、昔遊びや、さつまいもを使った芋きんちゃく作りなどを通して、いろいろなことを教えていく中で、まるでこちらが遊んでもらっているかのように、元気をもらっています。中には年賀状をくれる子どももいますと、岡田さんは話してくれました。

なかなかこの場所に集まることができない人は、自宅でお手玉を作ってこの活動に参加してくれているそうです。

シリーズ 人・ひと

美杉町下之川にある篠ヶ広地域は、君ヶ野ダムから八手俣川を上流に行くとある集落です。戸数は年々減り、現在では、ほぼ全世帯が高齢者で、そのうち約7割が一人暮らしです。

5年前にこの集落に移り住んだ米川正人さんは、月に一度、集会所でサロンおいその集いを開催し、カラオケや頭と体のエクササイズ、映画鑑賞、提供された野菜などを使った調理・会食、参加者の誕生会などを行っています。

質問 サロンを開催することになったきっかけはなんですか

サロンおいその集い 主催者 米川 正人さんの答え

地域の自治会で年一回行われていた寄り合いに、初めて参加した時、地域の皆さんの表情がとても良かった。年一回と言わず、月に一度は近くの人で楽しく集まれたらと考え、妻と、篠ヶ広で生まれ育った玉木さん夫妻とともにこのサロンを立ち上げました。

参加している皆さんの様子はどうですか

参加した高齢者からはよく世話掛けて、すまんなとか子どもたちや若い人たちに迷惑を掛けたらあかんといった言葉が出る。僕はそれは違うと思う。一人一人がそれぞれの人生を生きて今がある。わるいな、すまんなは、世話を掛けるけど楽しみにしている、これからもよろしくという言葉だと受け止め、活動しています。

サロンへの参加は難しい人もいるのではないでしょうか

脚の調子が悪い人など、集いの場所に来ることができない人は、迎えに行って参加してもらっています。トイレの介護などもやりながら、たくさんの人に参加してもらえるようにしています。80歳の参加者が、私はもうあかん、歳やわと弱音を吐くと、そのとなりで91歳の参加者が、何言っとんの、私は91歳やにとつっこんでいました。

篠ヶ広でサロン活動をすることについて、他に何かありますか

普段から知っているようでご近所さんを知らない。集まることで絆が深まっているように思う。孫の誕生会はあっても、高齢者の誕生会はなかなか開いていないでしょ。よく限界集落という言葉を聞くが、ここは限界をはるかに超えている。何とか踏みとどまることを考えたい。サロンをやっている中で困難もあるが、やはり集まる楽しさ、参加者の笑顔に勝るものはない。古くから大切にされてきたことと、新しいことの融合が大切だと思います。もとからこの篠ヶ広に住んでいた玉木さんご夫妻がいなかったら、この活動はできなかったと思います。

参加者の声から

  • 米川さんがいなかったらこの活動はできなかった。米川さんの新しい考えがこの楽しい会の種をまいてくれました。
  • 何を食べても一人ではおいしくない。夜になるとテレビばかり見ているけれど、テレビは一方的に聞くだけで、人と話すことがない。こんな会は、とてもありがたいです。
  • 自分は生まれ育ったこの土地から娘の住むところに引っ越したのだけど、このサロンのおかげで月に一回は慣れたここにきて仲間とおしゃべりができる。

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