平成30年7月17日 | 本庁舎8階大会議室A | 部長級職員 34人 |
平成30年7月18日 | 本庁舎8階大会議室A | 部次長級職員 63人 |
平成30年8月6日・20日(2回実施) |
本庁舎8階大会議室A | 課長級職員 153人 |
平成30年8月17日 | 本庁舎8階大会議室A | 新任担当主幹級職員 70人 |
平成30年10月2日 | 本庁舎8階大会議室A | 新任担当副主幹職員 66人 |
平成30年10月16日 | 本庁舎8階大会議室A | 新任主査職員 46人 |
平成30年11月13日 | 本庁舎8階大会議室A | 採用後2年目職員 80人 |
平成30年4月3日
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本庁舎8階大会議室A
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新規採用職員 104人 |
計616人(9回実施)
皆さん、それぞれ仕事の内容や立場が違いますが、市職員としての仕事に対する姿勢や考え方についてお話しします。
市長には3つの立場があります。市役所という地方公共団体は行政を行っていて、そのお客様は市民です。市民の皆さんに対してより良いサービスをよりたくさん提供できるようこの自治体のトップとしてそのパフォーマンスを最大化していくのがまず1つ目の立場です。
次に地方公共団体の組織の長として、職員と組織のパフォーマンスを最大限に引き出していく、1人1人の市役所職員がより良い仕事をより精緻によりスピーディーに進めていくようそのパフォーマンスを最大限に引き出していくのが2つ目の立場です。
3つ目は、有権者から選挙で選ばれる政治家として、2元代表制において、市民から地方公共団体の統括を委ねられている立場です。
基本的には、この3つの立場がありますが、さらに現在、私は市長として本務以外にもいくつかの責任のある立場を任されています。それは、全国市長会の副会長や、全国公立学校施設整備期成会の会長、全国モーターボート競走施行者協議会の監事、三重県漁港漁場協会の会長、三重県道路協会の会長、三重県後期高齢者医療広域連合長などです。これらは、津市長としての仕事に加えてやらなくてはいけないので、たいへんなのですが、いろんな意味で良いことにも繋がります。例えば、国や各制度の動きなどに関する最新の情報が入ってきます。これと皆さんがそれぞれの事業の担当者として得た情報と併せて的確な政策判断に繋げていくことができます。
市長は、3つの立場から、市民により良いサービスをより多く届けなければなりません。では、それを実際にやるのは誰かと言いますと、それは市長の命を受けてあるいはサポートする立場として職員の皆さんが行うのです。
それでは、今、津市政ではどうやって政策や事業を進めているのかというお話をします。3つの進め方があります。まず、1つ目は、私(市長)がリーダーシップをとって私が引っ張って事業を進めていくというやり方でこれをAとします。2つ目は、私(市長)が指示を出して、皆さんの背中をポンと押して事業を進めるやり方でこれをBとします。3つ目は、私(市長)が言わずとも職員が自ら進めていくというやり方でこれをCとします。どれが良いのかということはなく、やり方として3つあるということです。
【Aで進めた事業】
では、具体的に1つ目のAの事例をお話します。財政構造について、総合計画に載せたこのグラフは、総合計画に載せるには珍しいグラフだと思います。まず合併した以降に合併特例事業債の活用によって歳入の地方債がかなり増えています。その結果として、歳出の投資的経費も連動して増えているのがわかります。合併した直後よりもたくさんの投資的事業ができています。しかし合併特例事業債はいずれなくなります。なくなったときにどうなるかがグラフを見ればよくわかります。歳入は地方債が最高で270億円以上ありましたが10年後には42億円にまで減っていきます。一方で、市税や地方交付税はあまり変らない状況です。そこで、歳出はと言いますと、人件費はあまり変わらない、扶助費は少しずつ増えてくる、公債費はどれだけ借金をしたかで決まってきます。そして問題となるのが投資的経費です。合併特例事業債がなくなるとほとんど投資的経費はなくなっていってしまうということです。では、津市はこれから投資的な事業はしないのかというと、道路は整備しないといけないし、公園もきれいにしないといけない、下水道もどんどん整備していかないといけないから、このグラフにあるように約20億円の投資的経費でやっていけるということはありません。そこで、これを解決するために、合併特例事業債以外の資金つまり別の地方債や補助金を活用しようということになります。ですが、その前に合併特例事業債には起債発行可能期間があって、これが東日本大震災発生後の実情を鑑みて1回延長されて平成32年度までになっていたのですが、実は発行限度額までは残り約115億円の余地があります。また、公債費・市債の残高は合併以降、どんどん減ってきていて、今後もきちんと返していくことで確実に減っていくということがわかります。基金も減っていきますが、それなりに何とか確保できるということで、一定のこういう実力がある市の財政ですから、合併特例事業債をもう少し活用することにしました。そこで、その期限を延ばしてもらおうと考えて、国にその要望をしました。その結果、議員立法によって、合併特例事業債の5年間の再延長が決定しました。
これは、市長が政治の力でどんどん要望していって、結果として議員立法で5年間合併特例事業債の活用期限が再延長ということになったもので、職員1人1人の力ではできることではありません。いいアイデアがあれば、皆さんが私に提案して、それを私が実現していくというものです。
次に、津北部地域の海岸堤防整備です。国の直轄事業の部分を伸ばすことや国から事業費の3分の2の補助金を受けることにより堤防整備を行うことができることとなりました。これを実現するのは実は非常に困難なことで、まず県が管理する海岸堤防の整備が国の直轄事業となるのは、極めて珍しく平成に入って全国で6件目であり、また、漁港堤防整備の高率補助金が受けられるのも全国で4か所という状況です。これも私が市長として政治の力で関係機関との交渉や調整を進めて実現していきました。
次に、高齢者外出支援事業「シルバーエミカ」もそうです。路線バスを利用した高齢者の外出支援を行うため、民間のバス会社のICカードを我々が65歳以上の方に配付してそこへポイントを付けて管理していこうと考えましたが、ものすごくお金のかかることが判明して困っていました。そんな時、私が別件で総務省を訪れた際に、偶然、マイナンバーカードを活用した地域活性化戦略を目的とした地方自治体向けの新事業の構想があって、シルバーエミカの話をしたところ、これがうまくマッチしました。これも私が市長として動いて実現していきました。
これらのAのやり方で進めた事業は市長以外の職員ではできないことですので、私が一生懸命やることで、成果を出すことができたものです。
【Bで進めた事業】
2つ目のBの事例をお話します。
まず、こども園です。津市立の幼稚園と保育園には伝統も歴史もあって、どうしてもこども園にしなければならないということではなかったのですが、国がこども園という仕組みを作って、こども園開設の方向に舵をきっていく中で、津市はというと、幼稚園に行くお子さんがどんどん減る傾向にあって、保育園には待機児童があるという状況で、何とかしないといけないと考えていたため、津市もこども園開設という方向になったわけです。ですが、実際に業務を行う現場の職員が納得してから実施していくことが大切であり、また、利用者の疑問にも現場が説明して対応していかなければならないので、しっかり準備をする時間として約1年という期間をもちました。結局のところ、実際の開設に係る舞台裏は現場の職員が動いてたくさんのことを決めて進めていって、こども園の開設が実現しました。
次は、ビジネスサポートセンターです。あのつ台では、工業用地を売っているんですが、以前は、河芸庁舎にそのオフィスがありまして、必要に応じてそこから現地に出向いて業務を行っていました。また、あのつ台には産業振興センターがあって、そこに職員2人がいて、その上司は河芸庁舎に、さらにその上司はリージョンプラザにいるといういびつな状態で業務を行っていました。このため、これをワンストップにしようということにしました。我々にとってワンストップということだけではなくて、進出する場を探している企業や、新たに起業しようと考えている人など、お客さんにとって、ワンストップということを狙ってビジネスサポートセンターを開設しました。そうしたら、その後はビジネスサポートセンターにおける事業を職員が考えてどんどん進めていき、結果として、企業誘致の数も創業支援の数も、企業相談の数もすべて増えているという状況になりました。これも私がビジネスサポートセンターを開きましょうということで、背中を押したことからスタートしていったものです。
次に、スポーツ施設と学校施設の修繕に関することです。古道公園のテニスコートは、人工芝がはがれて足をひっかけてしまう状態になっていましたが、毎年度一定の予算の中で修繕を行ってきていたので、6面のコートを順次2面ずつ張り替えることとしていました。しかし、各コートの傷み具合は同じなので、全部一度になおした方が良いに決まっています。そこで、特別に予算を増額してすべてのコートの修繕を完了しました。学校も同じようなことで、例えば、ある小学校の運動場の水はけが悪いことについて、30年前から改善の要望がありましたが、他の施設の危険個所等への優先的な修繕の対応が毎年度発生していて、全体の学校施設の修繕予算が年間1億7千万円以上ある中でずっとこれまでその要望の対応まで回ってきませんでした。そこで何とかしようと、平成29年度に1,577万円を平成30年度に1,040万円を学校施設の修繕予算に上乗せして計上したことでたくさんの学校施設の整備に係る懸案事項が解決しました。これらは、地域懇談会などを通じて私に伝わったことから、状況が分かって予算を増額することにしたというものです。
これらのBの事業は、職員の皆さんは問題としては捉えていたけれども、解決策が見い出せなかったというものですが、お金のことだったり、市役所としての決断であったりという部分がありますので、そこを私がポンと背中を押して職員の皆さんが具体的に進めていったものです。
ずっと長い間、市民から要望があってもなかなか進まなかったことが、また、できないですよという理由を一生懸命説明していたことが、たいした予算もかからず、何かのきっかけでパタパタと動き出すということがあります。どうしたらこのようにできるのかということを皆さんもしっかり考えてみてほしいと思います。
【Cで進めた事業】
3つ目のCの事例をお話します。これらは、職員が自ら動いて実現してきているものです。
芸濃文教エリア整備構想の中で芸濃こども園の整備を進めているときに、地域懇談会の場で地元の方々が、小学校の教室のことや放課後児童クラブのこと、またさらに周囲の歩道や道路のことまで、さまざまな整備を具体的に要望していたことを聞いて、職員に対してこの機会に現地の全体の様子を一度見てくるように言いました。そうしたら、同時にいろんなことが解決することができる芸濃地域教育児童施設整備プロジェクトとして関係各課が協力して進めていくことになりました。
カワウの追い出しもそうです。これは、地域懇談会からカワウ被害への対応の要望が2回くらいあって、その解決策を職員が自ら考えて進めていったものです。
次は、地籍調査です。三重県下の地籍調査進捗率は9.42%で全国ワースト2位、津市は3.21%となっており、かなり低い状況です。ですので、組織をつくって、職員を配置して事業を行う体制をつくりました。そうすると、用地・地籍調査推進室が自ら予算を確保しつつ、また、いろんな調査の仕組みを積極的に活用しに行くようになり、事業がどんどん展開していきました。
このように、Cの事業は、それぞれ問題点がわかった後に、職員が自ら進めていったものとなります。
A、B、C、3つの事業の進め方の事例を挙げましたが、今後において、まず、Aは市長という政治家の立場でしか進められないことですので、私が感覚を研ぎ澄ませてさらに進めていきます。次にBは私が組織を引っ張る立場として、気が付いた時は皆さんに指示しますし、背中を押す時は押していきますので、皆さんもしっかりと動いて進めてください。そして、Cの事業は職員の皆さんの力で考えてできることで、今挙げた事例以外にも実際はもっとほかにも行われていますので、みなさんもそれぞれの職場で、いろんなことに気づいて、発見して、改革して、推進して仕事をクリエイトしていってほしいと思います。また、市民からの要望でなかなか対応できないものや業務上解決困難な課題などがある場合に、できない理由を考えて一生懸命説明したり、正当化することに終始するのではなく、相手の困っていることや課題となっていることをよく理解して、あるいは現場の状況をしっかり見て、聞いて、把握して何とかしようと考えることに力を注いでください。そしてそのことを組織の中でたくさん話して相談してください。これがあちこちでたくさん動き始めたらこれはすごい組織になると思います。業務や職位が違っても、職員1人1人がクリエイトすることができていけば、その積み上げはものすごく大きな力になって、それは市民の幸せに必ずつながっていくと思います。
研修資料は、下記リンクをご参照ください。