「広報津」第304号(音声読み上げ)歴史散歩 第147回 はせ街道の おおのきじゅくと かさつき地蔵、津市(このまち)で輝く

登録日:2018年8月16日

このページは、音声読み上げソフトウェアに対応するため、語句のなかで一部ひらがなを使用しています。


19ページ目から20ページ目まで

歴史散歩 第147回 はせ街道の おおのきじゅくと かさつき地蔵

市 一志庁舎から県道久居美杉線を西に向かい一志町おおのき地内に入ると、左手に分かれ民家が並ぶ道があります。その道が、青山峠を越えて伊勢国と大和国を結ぶ参詣道として親しまれた はせ街道です。かつて旅籠が建ち並んでいたこの辺りはおおのきじゅくと呼ばれ、現在その面影は薄れているものの、お伊勢参りの隆盛により江戸時代後半から明治時代初め頃まで、街道を行き交う人々でにぎわったそうです。

このおおのきじゅくを白山方面へ進むと、右手に雲出川に架かるおおのき橋が見えてきます。現在のおおのき橋は昭和30年に建設されたもので、明治時代初め頃までは、今より200メートルほど下流の川向かいにある天明3年(1783年)と刻まれた常夜灯の辺りへ架けられていました。この橋は、江戸時代に津藩の許しを得た地元の十数戸で組織された橋組によって維持管理が行われ、橋を渡る人々から橋銭を徴収していました。平成9年には、常夜灯の隣に、おおのき有料橋跡と書かれた記念碑が建てられています。

おおのき橋を渡り、街道をしばらく進むと右手に天台しんせいしゅうの開祖しんせいしょうにんが生まれたと伝えられる場所に建てられた誕生寺が見えます。この辺りから街道と雲出川との距離が近くなっており、穏やかな川辺の景色を眺めながら歩くことができます。本居宣長が書き記した紀行文、すががさの日記にはこの辺りについての記述があり、明和9年(1772年)3月5日の早朝、吉野に向かうため松坂(現在の松阪市)をたち、その日のうちにこの道を通った際に、さて川辺をのぼりゆくあたりのけしき。いとよし。と記されています。

そこからさらに歩くと、山裾の崖が街道へと迫り、街道の難所といわれた場所に至ります。その傍らの大岩には、かさつき地蔵と呼ばれる約180センチメートルの地蔵菩薩が刻まれています。これは しんせいしょうにんが幼少の頃、雲出川に捨てられた際に笠に乗って川をさかのぼり、この淵にたどり着いたという伝説を基に彫られたものだそうです。このかさつき地蔵は、地域住民の信心も厚く、街道の道中安全を祈る地蔵とされ、これまで多くの旅人を見守ってきました。

おおのきじゅくからかさつき地蔵までは約2.5キロメートルの道のりです。雲出川を渡る涼風を感じながら、ゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。

津市(このまち)で輝く

ボリューム28 人形も人間も、失敗作なんてないですよ。
創作人形作家 やすらぎ ゆめ(69歳)

プロフィール

1949年津市生まれ。独学で人形作りを始め、国内外で20回以上の展覧会を開催、2004年ラスベガス美術館賞など多数受賞。昨年7月、東丸之内に昭和人形館 夢うつつをオープン。現在パラミタミュージアム(菰野町)で、やすらぎゆめの創作人形展を開催中。

座右の銘は、強く思いなさい。そうすれば叶います。

夢はニューヨークで個展開催。

昭和を生き抜いた人々の日常を今に伝えたい

昭和初期のノスタルジックな世界を表現したギャラリー、昭和人形館 夢うつつ。店内には、レトロな衣服に身を包んだ人形200点以上が展示されている。商店街を行き交う人々や、ちゃぶ台を囲む大家族の風景は、まさに日本の古き良き時代を思い起こさせる。

人形作家として活動して20年余り。

(やすらぎさんのコメント)表現や作り方は無限。思い通りにできなくても気にしません。人形も人間と一緒で、いろんな顔や形、ストーリーがあっていい。失敗作なんてないんだから。

そう話すやすらぎさんの一番の喜びは、個展やギャラリーで作品を通して人と触れ合うことだという。

(やすらぎさんのコメント)お母ちゃんが着てた着物の柄と一緒や。こんな子、同級生におったなぁ。と、人形がその人だけの大事な思い出とつながってくれることがうれしい。

作品のテーマ・昭和は、やすらぎさんにとって、何もない、から、何もかもある、へと変わった激動の時代。

(やすらぎさんのコメント)多くの人が頑張れば欲しいものが手に入ると信じていて、その生き方は幼かった私から見てもエキサイティングで魅力的でした。若い世代の人にもこの時代を知ってもらいたい。お母さんやおばあちゃんにも青春時代があって、あなたと同じように、泣いたり笑ったりしながら毎日を生き抜いていたんだよ、と伝えたいです。


前のページへ

次のページへ

第304号の目次へ

このページに対するアンケートにお答えください

このページは見つけやすかったですか?
このページの内容はわかりやすかったですか?
このページの内容は参考になりましたか?

このページに関するお問い合わせ先

政策財務部 広報課
電話番号:059-229-3111
ファクス:059-229-3339