「広報津」第313号(音声読み上げ)健康寿命を延ばす津市の取り組み、市長コラム、市長の活動日記から

登録日:2019年1月1日

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健康寿命を延ばす津市の取り組み
低栄養・フレイルを予防するために

津市では、高齢者が住み慣れた家で暮らし続けられるよう、高齢者の特性をふまえた低栄養やフレイルの予防に取り組んでいます。低栄養やフレイルを早く発見して生活習慣を見直すことで、健康寿命の延伸を目指しています。
平成27年度から、美杉地域をモデル地区とし、栄養パトロールをスタートしました。この事業を市内に広げることを計画しています。

美杉地域の皆さんのコメント 友達も元気でないと困るから一緒に頑張っています。

知っておきたい
高齢者の虚弱 フレイルってなぁに

フレイルとは、加齢とともに筋力や認知機能などが低下し、生活機能障害や要介護状態の危険性が高くなった状態のことです。
しかし、フレイルの状態に早く気付き、適切な介入・支援をすることで、生活機能の維持向上が可能であるといわれています。

加齢と予備能力(いざというときの体力)の関係

健康なときは、予備能力が十分にある状態です。
加齢とともに予備能力は衰えていき、フレイルの状態を経て、要介護状態となります。
フレイルの段階での適切な介入・支援で、生活機能の維持向上が可能となり、再び健康な状態に戻せる確率が高まります。

美杉地域で実施 栄養パトロール

保健師・管理栄養士・歯科衛生士が、地域で行われているサロンや集まりの場などへ出向き、生活習慣や食生活に関するチェックを行います。その結果、低栄養やフレイルのリスクが高い人に相談・支援を行います。また、集まりの場に来られない人には、自宅へ訪問し、支援を行います。

写真 巡回栄養相談の様子

保健師のコメント 握力を測るのは久しぶりですね。筋力は衰えていないかな。

栄養パトロールの流れ

巡回栄養相談窓口(または訪問)

低栄養・フレイルのリスクはないか簡単なチェックを行います

質問 こんなことありませんか。
  • 最近食欲がない
  • 家の中でつまずく
  • 家の中で過ごすことが多い
確認項目例
  • 生活リズム
  • 生活習慣
  • 栄養
  • お口の健康
  • 身体機能 など

健康か、低栄養・フレイルかを判断して、栄養ケア・マネジメントを行います。

栄養ケア・マネジメント

保健師、管理栄養士、歯科衛生士による食生活に関する相談・支援をします。

保健師による相談の様子
  • 保健師のコメント 最近、卵や豆腐をたくさん食べてもらっているんですね。
  • 相談者のコメント タンパク質と水分を意識して取るようになりました。

以降、巡回栄養相談と栄養ケア・マネジメントを繰り返し行います。

問い合わせ

健康づくり課 電話番号229-3310 ファクス229-3346

市長コラム 健康寿命を延ばす 活力ある長寿社会戦略

津市長 前葉 泰幸

昨年5月、市長室に厚生労働省の医療介護連携政策課からのアポイントが入りました。省庁の幹部がひとつの用件のためにわざわざ地方に出向くなど滅多にないことです。

(厚生労働省幹部のコメント)日本人の平均寿命が世界最高水準に達し、人生100年時代の到来が視野に入ってくるなか、厚生労働省は来年度の重点政策として健康寿命の延伸を掲げている。その具体策を検討する有識者会議を設置するにあたって、津市の取り組みを全国のモデル事業として紹介したい。あなたには会議のメンバーになってもらいたい。(コメント終わり)

健やかでこころ豊かな長寿社会の実現に向けた構想について熱心に説明を加える、その真摯な姿勢から国の本気が伝わってきました。

先進事例として国の目に留まったのは、平成27年度から美杉地域で始めた高齢者向け栄養パトロール事業です。

山間部に位置する美杉町の高齢化率は58パーセント。医療機関まで距離があるため、地区担当の保健師たちは、高齢者が住み慣れた地域で元気に暮らしていくために自分たちにできることは何かを日々考えてきました。平成27年、津市健康づくり課が長寿・健康増進事業のための特別な予算を獲得できることになったとき、真っ先に手を挙げたのは美杉の保健師です。これまで温めていた高齢者への栄養支援に関するプランの実現に向け、直ちに行動を開始しました。

加齢により徐々に食事の量が減ってくる高齢者は知らず知らずのうちに低栄養状態に陥りがちです。特に問題となるのがたんぱく質不足。筋力や心身の活力が低下してフレイルといわれる虚弱な状態になると、介助なしに自宅で生活することは困難になります。そこで、保健師・管理栄養士・歯科衛生士などが地域の集まりの場に出向いて巡回栄養相談を行い、来られない人には自宅を訪問することにしました。定期的に栄養パトロールチェックを行うことで虚弱状態を早期に発見し、重症化を予防できます。

合併前の美杉村保健センターの頃から高齢者や障がい者宅を訪問するなど地道な活動を続けていた保健師たちは、地域で困ったことを相談できる存在として定着しています。今後どのような生活を送りたいのか、希望をじっくりと伺い、長期目標を定めて今実行できる改善策を一緒に考えました。個別の栄養相談を実施するなかで見えてきた高齢者の現状と課題を地域の住民に知ってもらい共に対応を考える場をつくろうと、今度は、医師はもとより自治会、老人会、民生委員、ヘルスボランティア、出張所、社会福祉協議会、地域包括支援センターなど多くの関係者に声を掛け、地域栄養ケア会議を開催しました。また、お互い様の気持ちで住民同士が助け合い支え合う美杉地域のつながりの強みを知る保健師たちは、フレイル予防の研修会を実施して、地域の見守り人材の育成にも取り組みました。

津市の事例は、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議で紹介され、高齢者の健康を保つためにいかなる事業を展開すべきか検討が加えられました。

フレイル問題の難しさは、予防対策の担い手が医療と介護の分野にまたがることにあります。特定健診や栄養・運動指導など健康づくりの保健事業に関しては、74歳までを国民健康保険が、75歳からは後期高齢者医療広域連合が実施します。一方、体操教室やレクリエーションといった介護予防事業は介護保険の領域です。

そのため、介護予防の通いの場で栄養相談などの保健事業を一体的に実施する美杉町のモデル事業を実際に全国で展開するには、医療と介護の垣根を越えた体制づくりが不可欠です。私も高齢者の保健事業を実施する市として、また、三重県後期高齢者医療広域連合を預かる立場からも、各自治体の実情に応じた多様な取り組みが可能となるよう、市町村の自由度が高い形で事業が実施できる仕組みの構築に向けた提言をしてまいりました。

昨年12月、有識者会議は報告書を提出し、その趣旨に沿って、平成31年度予算案に高齢者の低栄養防止・重症化予防推進事業が盛り込まれ、全国の選ばれた市町村で実行に移されることとなりました。もちろん、津市はこの事業の実施自治体に手を挙げ、先進的な取り組みを市内全域に広げることを希望しています。

フレイル対策の立案・実行部隊は地域に根付く保健師です。高齢者の健やかで生き生きとした暮らしを願い活動を続ける職員たちをバックアップし、市民の健康寿命の延伸を図ってまいります。

市長の活動日記から

第71回全日本合唱コンクール全国2位受賞
津高校音楽部が鈴木知事に報告 11月12日

創部69年目を迎えた津高校音楽部が全国大会に初出場。見事、全国2位に輝きました。県内初となる快挙です。音楽部OBの私も同行し、知事に喜びの報告をしました。


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