「広報津」第314号(音声読み上げ)歴史散歩、津市(このまち)で輝く

登録日:2019年1月16日

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歴史散歩 第152回 おざき神社の石碑と棟札

河芸町東千里、旧 伊勢街道の東に おざき神社は位置します。神社の参道を本殿に向かって歩くとすぐ右手に、むやみに生き物を殺すことを戒める意味の、禁殺生(殺生を禁ず)と彫られた石碑があります。石碑は高さ94センチメートルで、側面には おざき神社、享保ひのえうま(1726年)と彫られています。

この頃、徳川幕府は八代将軍吉宗の時代。江戸時代、この辺りは紀州藩領でした。吉宗は将軍になる前、紀州藩五代藩主であり、正徳3年(1713年)に おざき神社の修繕費用を寄進したことが、神社に保管されている棟札によって分かっています。

棟札とは、建物の棟上げや修理などの際に、その由緒や年月、施主・施工者等を記し、棟木や梁などに打ち付けられる木製の札のことです。おざき神社には、正長2年(1429年)のものをはじめ、江戸時代以前の古い棟札が、公開はされていませんが十数枚保管されています。これらから中世以降に社殿などの造営や修理が何度も行われてきたことが分かり、おざき神社が何百年もの間、地域で大切にされてきたことがうかがえます。

神社に保管されている棟札の中には、禁殺生の石碑の建立に関わるものもあります。表面には、享保11年(1726年)9月の秋、紀州藩六代藩主の徳川宗直が寺社奉行に命じてこの石碑を境内に建立したことが書かれています。

伊勢国の江戸時代の地誌 勢国見聞集には、県内の紀州藩領において、紀州藩が禁殺生の石碑を建てた寺社の名称が、おざき神社をはじめ複数記されています。いずれも宗直が藩主の時に石碑の規格を統一して建てられており、詳しいことは分かっていませんが、紀州藩の寺社施策として行われたものと考えられます。

また、棟札の裏面には松坂城代をはじめ、白子代官所の役人として仕えた郡奉行のほか、郡山村(現 鈴鹿市)の大庄屋や大別保村(現 河芸町東千里・西千里)の庄屋などの名前が記され、石碑の建立に多くの人物が関わったことが分かります。

このような石碑や棟札は、それを取り巻く地域の歴史や人々を知る上で貴重な手掛かりとなるものです。歴史を語る おざき神社の石碑の声に耳を傾け、江戸時代の紀州藩と地域のつながりを感じてみてはいかがでしょうか。

津市(このまち)で輝く

ボリューム33 万人受けする作品より悔いのないものを作りたい
作陶家 ふくもり はじめ(57歳)

プロフィール

1961年津市生まれ。祖父、父ともに阿漕焼の作陶家。20歳の頃、絵付け技術に生かすため日本画を学んだ後、阿漕焼の伝統を継承。2015年、株式会社ちとせ(半泥子廣永窯)に入社し、現在陶芸教室の講師を務める。

座右の銘は、祈る思いで作る。
陶芸を通して地域貢献

阿漕焼の伝統を継承 教室の生徒から刺激

津市で生まれた阿漕焼。万古焼の流れをくみ、花や草木などが刻まれた更紗文様が特徴だ。阿漕焼に感銘を受けた ふくもりさんは、その伝統を祖父の時代から受け継ぎ陶芸家として活動。その傍ら、こ 川喜田半泥子が築いた廣永窯で陶芸を教えている。

(ふくもりさんのコメント)作品にはその人らしさや性格が出る。自分では気付かないような個性や長所を引き出してあげたい。だけど、一番大事なことは作り手のどんなものを作りたいかという意思ですね。(コメント終わり)そう話す福森さんにとって生徒とは、励まされる存在。作品から伝わる懸命な姿勢に、一陶芸家として刺激を受けるという。

4年前までは、窯元で一人で作陶を続けていた。生徒と関わる中で世界が広がり、人生観までも変わったという。
(ふくもりさんのコメント)教室を始める前は、いかに自分が良い作品を生みだせるかが重点だった。けれど今は生徒に指導し、その成長を促すことにもやりがいを感じています。(コメント終わり)

陶芸で食べていくため、世の中に受け入れられるものを作っていたときもあったという。
(ふくもりさんのコメント)良い作品は、生計を立てるために作るものではないと思う。陶芸を楽しみながら、ひたむきに没頭する生徒に囲まれる今、これで最後の作品になっても悔いはないという思いで、作品を作っていきたいと思うようになりましたね。(コメント終わり)


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