「広報津」第315号(音声読み上げ)表紙、第41回市長対談 みさとの丘学園外国語指導助手(ALT)エミリー ヤンデルさん

登録日:2019年2月1日

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表紙

広報津 平成31年2月1日 第315号

写真 みさとの丘学園の児童と先生の皆さんが大集合。給食前でも元気いっぱいハイポーズ。(12月14日 美里町三郷)

第41回市長対談 レッツ スピーク イングリッシュ

みさとの丘学園外国語指導助手(ALT)エミリー ヤンデルさんと、津市長 前葉泰幸による対談

平成30年11月28日、津市の外国語指導助手(ALT)で昨年4月から義務教育学校のみさとの丘学園に勤務しているエミリーヤンデルさんをお迎えし、津市の英語教育や学習方法などについて前葉泰幸市長がお話を伺いました。対談は英語で行われましたが、日本語訳でお届けします。

みさとの丘学園外国語指導助手(ALT) エミリー ヤンデルさんのプロフィール

平成5年(1993年)11月14日生まれ、25歳。アメリカ・ジョージア州出身。オハイオ州立大学卒業。平成28年7月から津市で外国語指導助手(ALT)として勤務。平成30年3月まで北立誠小・南立誠小・橋北中。平成30年4月からみさとの丘学園。アメリカ在住時から日本語を勉強、平成19年と平成24年に来日経験あり。

早い時期から英語に触れる その後の学習がスムーズに

市長 まず、外国語指導助手(ALT)の仕事についてご説明願えますか。

エミリー 小学校低学年の場合は、授業の前に細々とした準備が必要です。例えばフラッシュカード(教材)を作ったり、ゲームを考えたり。中学校では授業の準備をして、活動内容を考えたり授業のサポートもしたりします。

市長 日本人の英語の先生と一緒に授業するのですよね。

エミリー そうです。

市長 子どもたちの反応はどうですか。

エミリー 子どもたちは英語が好きだと思います。教科書などを使った勉強もしますが、みんな楽しんでいます。

市長 エミリーさんは前期課程の3年生から後期課程の9年生までを教えているのですか。

エミリー 厳密に言うと1年生・2年生でも教えています。内容はとてもシンプルです。単語を学んだりゲームをしたり。3年生・4年生では外国語活動があり楽しいですよ。教科書のようなものがあってリスニングなどの練習もしますが、あくまでも英語の活動です。

市長 英語を楽しむということですね。

エミリー 5年生・6年生になると少しレベルアップして、中学生に当たる後期課程では本格的な勉強になります。

市長 エミリーさんは南立誠小学校と北立誠小学校、橋北中学校に勤務したことがありますよね。小学校・中学校が分かれている学校と義務教育学校とでは何か違いますか。

エミリー 大きな違いが1つあると思います。みさとの丘学園では1年生から6年生までの前期課程、7年生から9年生までの後期課程の子どもたちが同じ校舎で学びます。これがとても効果的です。例えば今年の初め、6年生に次の学年からどんな勉強をするのか見せたいと思ったことがありました。そこである日、9年生の教室に見学に連れて行きました。9年生では先生が全て英語で授業をします。それを見て子どもたちに、あなたたちもこういうことができるようになるよ。でもそのためには今から頑張って勉強しないとね、と話しました。それから6年生の姿勢が変わって、とても良い体験になりました。中学生が手本として身近にいることはすごく良いことだと思います。

市長 6年生から7年生へのつながりがスムーズになるのですね。これまで英語の授業があるのは中学生の3年間に当たる7年生から9年生でした。しかし今は、1年生から英語の勉強ができますよね。

エミリー 大学で言語学について勉強しましたが、12歳から13歳くらいの年齢は言語学習の臨界期とされています。それよりも前に言語を学び始めると、その後に始めるよりも学習がずっと容易になります。ですから、小学校の早い時期から英語の授業が始まるのは良いことだと思います。外国語を学び続けやすくなります。

市長 2020年度から新学習指導要領が全面実施されることになります。津市では2年前倒しで2018年度から5年生・6年生で教科化を踏まえた英語を、3年生・4年生で外国語活動を開始しました。つまり津市の子どもたちは、早い時期から英語の学習を始められます。しかし、言い換えると他の市町村の子どもたちより、早くから英語を勉強しないといけない。英語教育を2年前倒しすることについてどう思いますか。

エミリー 津市は有利なスタートを切ったのではないでしょうか。3年生・4年生の英語を、活動 にしておくのも良いと思います。内容が易しいので子どもたちがプレッシャーを感じることはありません。5年生・6年生では教科になりますが、中学校と比べると内容が易しい。子どもたちが中学校で本格的に英語を勉強するまでの良い期間になりますね。

完璧を求める必要はないコミュニケーション重視

市長 4年生から5年生へのステップアップの過程もありますよね。3年生・4年生の外国語活動と5年生・6年生の英語について違いはありますか。

エミリー 活動では、単語や、アイ ライク なになに、アイ ウォント なになに、のような簡単なフレーズを学びます。ほとんどはゲーム形式で進むので、小さい子どもたちには良い方法です。

市長 なるほど。

エミリー 今年度5年生・6年生で気付いた違いは、去年まではゲームをしていましたが今年は英語の教材を多く使っている点です。より真剣な学習になっていて、家での学習や書く練習もあります。大きな違いがあるわけではなく今もゲームの要素はありますが、学習的な面が強くなりました。

市長 うれしいことに、みさとの丘学園の5年生・6年生のほとんどは英語が好きですよね。でも何人かの子どもたちは、英語が好きではないと思っているかもしれません。少数ではあると思いますが。そのような子どもたちと、どのように向き合えば良いでしょうか。

エミリー 理科や算数など、どんな教科でも苦手な子どもはいます。そういう気持ちに対しては完璧な英語でないといけないというようなプレッシャーを取り除けるよう、もっとコミュニケーションを重視します。完璧でなくてもいいんです。例えば、アイ ライク キャットと言った時に、アイ ライク キャッツと言わなかったからといって指摘してしまうと、その子は出来ない、難しすぎると感じてしまうかもしれない。アイ ライク キャット、と言った子どもに、オー、ミー トゥー、アイ ライク キャッツ、トゥー、と答えたら、もっとポジティブに英語の学習をサポートできると思います。

市長 今の子どもたちは、外国の人と英語で気軽にコミュニケーションできますよね。コミュニケーションはとてもシンプルかつナチュラルで楽しいと教わっているから。英語を猛勉強するという感じではなくコミュニケーションできる。

エミリー そう、もっとカジュアルな感じです。

市長 私は12歳の時に英語の勉強を始めて、最初は書いたり聴いたりしてまず文法を理解しました。18歳の時に大学受験があり大学でも英語を勉強しましたが、スピーキングやリスニングのスキルを高める機会は少なかった。それが我々の年代と今の子どもたちとの大きな違いです。

エミリー 私が小さかった頃と比べても、今はスピーキングが重視されています。今は世界とのつながり方が変わってきて、地球の裏側にいる人と話したり外国のテレビ番組やラジオ番組を聴いたりすることが簡単になりました。ゆっくり良い方向に変わってきていると思います。コミュニケーションが重視されるようになって暗記させることが少なくなってきました。

市長 市民の皆さんの中には、なぜ市長は英語を話せるのだろう、英会話を練習する機会がなかったはずなのにと思う人がいるかもしれません。実は43歳の時に外資系の銀行で働き始めて、その時から英語を話し始めました。

エミリー そうなんですか。

市長 日常生活の中で使うようになったことで英語を話せるようになりました。今の子どもたちはコミュニケーションするための学習ができてうらやましいですね。

エミリー 本当ですね(笑)。よく分かります。

市長 さて、7年生・8年生・9年生ですが、日本の中学生に英語を教えることについてどう感じていますか。

エミリー ニューホライズンという教科書を使っているのですが、私はその教科書が大好きです。でも1つだけ好きでないのは、暗記がストレスになることです。会話の例文を暗記すること、例えば、駅はどこですか。まっすぐ行って、左に曲がると見つかります。ありがとう。どういたしまして。という会話がありますが、実際にはそんなこと起きませんよね。

市長 ないですね(笑)。

エミリー でも、生徒はその会話を暗記しないといけない。8年生で始めたことがあって、会話をもっと個人的なものにしています。教科書の登場人物が欲しい物などではなくて、自分自身が欲しい物、行きたい場所、将来の夢について話してもらいます。そうすると生徒たちが興味を持つようになりました。

市長 中学校の英語では、形式的な文章ではなく日常的に使われる英語が大切なんですね。例えば、ディス イズ ア ペン、という有名な文があります。でもこの文使わないですよね。

エミリー 誰も使いません。見たら分かりますよね(笑)。

市長 私のペンを使いませんか、ならあり得ます。そういうことですよね。

エミリー はい。ディス イズ ア ペン、を暗記する必要はありません。

外国語は実際に話してこそ 機会があることは素晴らしい

市長 では、日本の英語教育の将来について意見を聞かせてください。ネイティブスピーカーは、ノンネイティブスピーカーが外国語を学ぶことの難しさが分かりますよね。エミリーさんは日本語を勉強している。日本の子どもたちは英語を勉強している。外国語を学ぶことの大変さや、どのように乗り越えていくかについてご存知ですよね。

エミリー 個人的にはスピーキングを勉強するのが大変でした。私はアメリカに住んでいて全く話す機会がなかったので。だから日本にALTがいて、子どもたちが外国人と話す機会があることは素晴らしい。最初に日本語を話す練習ができたのは来日してからでしたが、話せませんでした。今後、日本の子どもたちが、もっと外国の人たちとコミュニケーションしたりテレビや映画など外国のメディアを取り入れたりして英語力を磨いていけると良いと思います。

市長 外国人観光客の数も増えています。津市の皆さんにとって英語を使う機会も増えて良いことだと思います。

エミリー みさとの丘学園では最近、6年生が修学旅行で京都と奈良に行きました。子どもたちには、修学旅行先で外国人観光客に英語でインタビューするという課題がありました。

市長 それはいい。

エミリー 子どもたちは、インタビューに答えてくれた人がどこから来たのか記録しました。みんなアメリカやオーストラリア、イギリスという答えが返ってくると思っていました。でも実際は、ペルーやメキシコ、南アフリカ。それで、子どもたちは世界中で英語が話されていることが分かりました。子どもたちには良い経験になったと思います。

市長 最後に、みさとの丘学園の児童・生徒を含め津市の子どもたちに、英語を上達させる方法についてメッセージをお願いします。

エミリー できることは何でも試してください。英語に関するどんなことにも挑戦してください。ゲームが好きな人は英語でゲームをやってみる、テレビが好きなら英語でテレビを見る、本が好きなら日本語版と英語版を買って両方一緒に読んでみる。そういうことが良い練習になります。勉強しているという意識を持たずに学習できる。実践的な英語を身に付けることにつながります。

市長 津市としても、子どもたちが自然に英語を楽しめるようにALTと最大限協力することを約束します。エミリーさん、津市での生活を楽しんでくださいね。市民の皆さんも、エミリーさんとの語らいを楽しんでください。ありがとうございました。

エミリー ありがとうございました。


 

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