平成29年度各階層別研修等における市長講話

登録日:2018年2月28日


 今年度に実施された部長級・部次長級・課長級を対象にした「組織経営セミナー」、また新任担当主幹級・新任担当副主幹・新任主査・採用後2年目職員を対象にした「階層別研修」において、市民の期待や要望に応え、それを実現していくための心構えや考え方について講話を行いました。

とき・ところ・参加者

平成29年7月18日 本庁舎8階大会議室A 部長級職員 33人
平成29年7月19日(2回実施) 本庁舎8階大会議室A 部次長級職員 63人
平成29年7月28日(2回実施) 本庁舎8階大会議室A 課長級職員 149人 
平成29年8月22日 本庁舎8階大会議室A 新任担当主幹級職員 63人
平成29年10月11日 水道局庁舎2階会議室 新任担当副主幹職員 62人
平成29年10月16日 水道局庁舎2階会議室 新任主査職員 49人
平成29年11月22日 本庁舎8階大会議室A 採用後2年目職員 64人
平成29年4月4日

本庁舎8階大会議室A

新規採用職員 125人
注:この時のテーマは「2017年は自立の年」です

   

   計608人(10回実施)

 

市長講話の内容

テーマ 「市民の声からの政策形成」

 写真2  写真1

 

市長の立場として

 市長にはいくつかの立場があります。まず、市役所という組織のトップとして職員の皆さんと仕事を進めるための指示を出し、この組織が向かう方向性を示すという立場、次に、市民の代表として、津市を代表して対外的な行為を行うという立場、また市民の皆さんから選挙で選ばれるという政治家としての立場があります。

 市民の皆さんは、市長を選び、市役所のトップとして市長が仕事をすることによってサービスを受けるということになります。ですから、私が市長としてやらなければならないことは、市民により良いサービスをよりたくさん届けるということです。それが市民の皆さんから期待されていることです。

 実際に市民により良いサービスをよりたくさん届けるのは、最前線にいる職員一人一人ですので、皆さんは市民がこの組織がどのようにワークしてほしいと思っているのか受け止めて、どのように市民の期待に応えるか考え、それを実現していかなくてはなりません。

 そこで、政治家として市長に選ばれた私が市民の期待をしっかり受け止めて、組織のトップとしてこれまでに実現してきたいくつかの例を挙げますので、どのように市民の期待を実現していくのか考える機会にしてください。

 

育休退園の廃止:市役所の論理より子どもの立場で

  最初は育休退園の話です。市立保育園に通う2歳児以下の子どもたちについては、お母さんが育児休業に入ったときには、一律に原則退園というルールでやってきました。上の子も退園してお母さんの手元で育てる方が良いという考え方と保育園に行かせてあげた方が良いのではないかという両方の声がありましたが、我々はルールという名のもとに行政の都合で物事を決めていました。それは待機児童問題があったからです。いったん退園しても良いと考えている子どもまでそのままお預かりすることでどんどん待機児童問題が大きくなっていくのではないかということを予想して、こういうルールにしていたのです。これを解決するには、待機児童を生まないよう定員を増やしておかないといけないということで、我々は先に保育園の定員を増やして、育休退園を廃止しました。このきっかけは、「保育園にいる子どもが母親が育休に入ることで保育園を退園させられるが、お友達がいるので引き続き保育園に行きたがっている、何とかならないか・・・」

という一人の市民の声からでした。

 

放課後児童クラブ:保護者の思いに応えるために

 次に放課後児童クラブの話です。市内の放課後児童クラブには現在2,310人の子どもが通っており、津市の放課後児童クラブはそのほとんどが公設民営で、保護者の皆さんの運営組織と行政がうまくかみ合ってやってきていますが、ここでも待機児童が出てきている状況です。このため、利用する子どもが増えている放課後児童クラブへの対応をしていくなかで、ただ、行政が箱物だけ作っても、実際は、保護者の組織が運営するので、箱が先か組織が先かという本当に難しい問題がでてきます。逆に保護者の皆さんがやる気があって組織を作っても津市が建物を完成させるためには3年くらいはかかります。その間に子どもは卒業してしまう場合もあって、保護者のやる気がなくなってしまうことがあります。そのような中でも、保護者たちの粘り強い努力で、他の施設を借りてスタートして、後に新設までこぎつけた「すぐりんクラブ」や、狭いスペースを改善するため、三重大学教育学部附属小学校の敷地内に児童クラブを移転させて、国立大学法人と自治体と保護者主体の運営組織が協調して設置運営する全国初の試みを行う合意が成立した「観音寺どんぐり会」などがあります。これらの例は、より良いサービスを何とか届けようという思いで、これまで我々が毎年積み重ねてきた児童クラブの歴史があったからこそできたものです。要望はたくさんあって、その一つ一つに向き合うのは非常に大変なことですが、それを今までコツコツとやってきたことがあったからこそ、不可能を可能にすることができたのです。

 

学校施設の整備:現場の状況に合わせて

  次に学校施設の整備の話です。これにはいくつかの課題がありました。平成23年度に校舎等の耐震改修が全て終わり、次に校舎の大規模改修を進めてきていますが、その中でトイレの洋式化が課題となってきました。これは和式トイレを使わない児童に対応するために洋式化を進めるものです。トイレの洋式化は大規模改修のときに合わせてやることになっていましたが、大規模改修は順次計画的に実施しており、1校で3年くらいかかるので、全校とも終了するにはかなりの時間を要してしまいます。その間和式トイレに何も手をつけないわけにいかないと考え、洋式化率10パーセント以下の小中学校からトイレの洋式化を始めました。ところが、洋式トイレの前に列ができて、休み時間の間にその列がなくならないという学校が見つかりました。その学校は洋式化率が28パーセントくらいでしたが、規模が大きい学校なので、洋式化率は高くても1洋式トイレ当たりの子どもの数がすごく多いことがわかりました。その後調べてみると、同様の学校は他にもありました。そこで、20人に1つの洋式トイレを確保するということに考え方を変えて進めていくこととしました。このように、我々はより良いサービスをよりたくさん届けるとはどういうことかを考えて、いろんな判断ができます。その判断には、現場の状況を把握していることが大切で、それがないとより良いサービスをよりたくさんというところから乖離することとなります。

 

避難勧告発令基準の見直し:市民の声から現場を知る

  次に防災の話です。市民から「波瀬川の下川原橋は水位2.3メートルで避難勧告が出るけど、2.3メートルで水があふれるわけないし、あふれるとしても我々の所は最初に水がくる所より離れているから、まだ大丈夫じゃないかと思ってしまう。」という話を聞きました。実際に避難率も4パーセント程度だったのです。そこで、国にお願いをして避難勧告の水位を正確にもう一度決め直してもらいました。そうすると3.4メートルが避難勧告の水位となりました。ただし、3.49メートルで避難指示になりますから、3.4メートルになったらてきぱきと避難勧告を出してくださいと言われました。勧告を出す地域も、まず水が早く来る地域から順に出すように小分けにしました。また、これと同じように雲出川でも見直しを行いました。

 次に、白山地域の大村川と佐田川と垣内川で急に増水をしたときにその地区の人たちが、自らの判断で一時避難をしたことがありました。その後に市民に「どうして避難勧告が出ないの」と言われました。避難勧告の水位がきちんと決まっているところじゃないから、現地から避難勧告を出してくださいと言われないとわからないわけです。これを受けて、水位計がついていない中小河川についても色をつけて避難勧告とか避難指示の水位を決めました。それは私の指示で簡単に決めたわけではなく、消防団の方面団長らが「また白山地域で同じようなことが起こったときのために」という考えから、自分たちで現地を見て歩いて、地域の年長者などに話を聞いて回り情報収集をしました。それらの情報を基にどれだけ水位が上がったら危険かを見極めて、避難勧告等の水位の線を引くことにしたものです。

 

空き地・空き家問題:誰に何を求めるのか

 次に空き地・空き家の話です。市では、「これまで空き家の管理は家主の責任です」と呼び掛けて、広報にもそのように掲載していました。ところが、あるときに市民から「この広報はおかしいのではないですか。空き家の管理は家主の責任ですと載せても、この広報は家主に届いていますか。この広報を読むのは空き家の管理で困っている市民ではないですか。」と言われました。空き地・空き家対策の抜本的な解決策として、空家等対策の推進に関する特別措置法ができて、市はこの法律に基づいて助言・指導をしたり、さらには勧告をしたり、場合によっては土地の固定資産税を約6分の1に軽減する住宅用地の特例措置を適用除外にするというように権限を行使できるようになったということを考えると、市民の方から言われたことを踏まえて、まずこれを効果的に進めていくために、「空き地・空き家で悩んでいる人はご相談ください」という広報の仕方に変えることにしました。

 

大谷踏切の拡幅:考え方を柔軟に

 次は、大谷踏切の話です。大谷踏切は交通量が多いにもかかわらず狭いため、平成10年末に拡幅しようということになりました。ところが、その条件として他の踏切の廃止を基本とすることとなっており、その時は他の踏切の廃止が困難と考えて、どこの踏切も廃止せずに大谷踏切を拡幅しようとJR東海と交渉を続けていたところ、結局、長い期間を要することになったのです。このままではいけないと、基本に戻そうということにして、廃止できる踏切を探しているうちに、なんとかそのような踏切が見つかりました。しかし、その踏切は第四種と言う、警報機もない、車も通れない、遮断機もない踏切でしたので、その踏切を廃止したことで、大谷踏切を広げる代わりにならないのではないかと思いましたが、実は鉄道事業者にとって一番危ない踏切は、遮断機もない、警報機もない、いつ人が入ってくるかわからないような踏切であったため、この踏切を廃止することで、大谷踏切の拡幅という長年の念願が進むこととなりました。

 これらの実例は、すべて市民の声や現場の状況から実態を知ってそこから政策を作ったり、改善したりしたものです。市民の皆さんから私に直接お話をいただくこともあります。しかし、私が聞いたことというのは、実際には最前線の現場で皆さんはもっとたくさんの市民の方から聞いていると思います。そこで、それをどうやって断るかじゃなくて、どうやって実現するかという方向で考える職員になってください。

 最後になりますが、より良いサービスをよりたくさんという思いでやっていると必ず結果が出てきます。平成28年度に行った市民意識調査において、「津市に愛着を感じていますか」「今後も津市に住み続けたいですか」という質問に対し、愛着を感じているという割合や住み続けたいという割合は4年前よりいずれも増えていました。それぞれの政策に対する満足度も上がっています。これは我々が最前線で市民の要望に何とか応えようとすることで、必ず市民の皆さんは認めてくれるということです。

 具体的にどのように業務を行っていけば良いのかというと、目の前のことにしっかり真面目に向き合って、現状よりも少しでもいい方向にもっていこうと努力をすること、それだけです。そんなに難しく考えることはありません。ただし、時間がたてば何とかなるだろうという甘い考えは捨てて、市民の幸せのために頑張ってください。

 

研修資料 

 研修資料は、下記リンクをご参照ください。

  研修資料「市民の声からの政策形成」(PDF/3MB)


このページに関するお問い合わせ先
総務部 人事課
電話番号:059-229-3106
ファクス:059-229-3347
メールアドレス:229-3106@city.tsu.lg.jp