施政方針(令和7年2月/令和7年第1回津市議会定例会)

登録日:2025年2月19日


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 令和7年第1回市議会定例会の開催に当たり、令和7年度の市政運営に臨む私の方針を申し述べ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 

 これまで、市民の皆様が市政に願うことや期待することの実現に向けて邁進してまいりました。そういったなか、昨今、市民の皆様が抱く願いや期待のレベルが高まっていることを強く感じています。言うなれば、「ここまでできれば及第点だろう」という市政への期待感から、今やそのレベルよりはるかに高い到達点に向かって、「今の津市ならもっと夢や願いを形にできるのではないか」という期待感へと変わってきているように感じます。それを象徴しているのが、昨年末に完成した大谷踏切の拡幅です。平成10年に2.5mの幅員を広げる方針が決まっていながら長年にわたって実現することがなく、(あい)な踏切を何とか譲り合って渡るのが当たり前、「大谷踏切とはこういうものなのだ」と半ば(てい)(かん)にも似た思いを抱かれていた場所が、ついに大きく姿を変えました。現状が続くのが当たり前、「変わらないものなのだ」と認識されていたものが変わったことで、「大谷踏切が変わったのなら、もしかしたらこれも変わるのではないか」、「今のままの津市がずっと続くのではなく、今より更に暮らしやすい津市に変わっていくのではないか」という期待が市民の皆様の間で大きく膨らんできているのを実感しています。
 50年の長きにわたって変わらぬ姿で私たちの暮らしに馴染んできた津駅についても、新たな姿への期待感の高まりを感じています。夢物語だとされてきた志登茂川河口架橋についても、今や「夢ではなく本当にもう一本、志登茂川に橋が架かる」という雰囲気になってきており、更には鉄道を跨いで東西をつなぐ下部田垂水線による新たな交通流動の創造についても大きな期待が寄せられるようになってきました。大門・丸之内地区は、地域の期待が「昔のような賑わいを取り戻そう」ではなく、「将来に向けて新たな価値を創造するまちづくりをしていこう」にシフトしてきました。

 

 暮らしのスタイルや価値観も変わってきています。
 夫婦共働きの世帯が大半を占めるようになるなか、男性の育児参加が進み、結婚やこどもを持つことなどに対する価値観も多様化しています。働き方も、企業を中心としたものから働く人々を中心としたものに変わりつつあり、暮らし方、生き方が変わってきています。子育ての考え方も変わり、大人目線での「こどもを生み育てやすい社会」からもう一歩進め、こどもが主語になった「こどもが健やかに育つ社会」、津市で暮らすこどもたちが元気いっぱいに健やかに育つための環境が整えられることへの若い方々の願いや期待が高まっています。

 

 安全・安心に対する意識も大きく変わってきています。14年前、未曽有の被害をもたらした東日本大震災。それを機に高まった南海トラフ地震に対する市民の意識は、昨年1月1日に発生した能登半島地震、その後8月に発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」、そして今年の1月に政府の地震調査委員会が南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率を80%程度に引き上げたことによって更に高まり、いよいよ南海トラフ地震の発生が目前に迫っているという市民の皆様の危機感と、それに対する備えを万全にしておかなければという意識が高まっています。

 

 合併から20年目という節目を迎え、合併時に各地域が期待していた施策がおおむね形となった今、「こどもが中心となるまちに本当に変わったらいいな」、「津駅が新しい姿になるのが楽しみだ」、「新しい橋や道路ができて日々の生活が今より格段に便利になってほしい」、「南海トラフ地震が発生しても救助活動が迅速に展開される災害に強いまちになれば、安心して暮らし続けることができる」、そうした新たなステージ、新たな次元へレベルアップする津市への期待が高まってきています。
 利便性が高く安全なまちで、安心して心豊かに生活を送ることができ、将来に向けた希望や夢が叶うと感じ、そしてそういったことに自然と笑顔がこぼれ、その笑顔が広がっていく。そのような津市の将来像を市民の皆様と共に描き、市民の皆様と手を携えて掴み取りに行く。そのために、今必要と考える3つの政策を柱に申し述べます。

 

 1つ目は、こども・子育て政策です。
 昨年3月に、10億円のこども基金を創設し、まず、こどもの医療費助成の所得制限撤廃と中学生までの窓口無料化、妊産婦医療費助成の所得制限撤廃と窓口無料化など、医療分野の充実を図ってまいりました。
 この基金は令和6年度から3年間の財源として20億円を積み立てることを目標としてきました。10億円を積み増し活用範囲を広げ、保険医療以外の分野、子育てに直接関わる分野の独自政策を更に展開します。
 こどもが健やかに生活できるよう、現在任意接種となっている季節性インフルエンザなどワクチンで防げる疾患に対する接種費用の助成を行います。また、津市に移住して子育てをされる方々が住宅を取得するための経済的な支援となるよう、新たに空き家の購入費用の助成を行います。
 これらに加えて、国の交付金を活用した事業も進めます。妊娠している方や未就学児がいる御家庭に家事・育児をお手伝いするヘルパーを派遣し、こどものお世話や日用品の買い出し、部屋の清掃や洗濯などを支援する事業を新たに始めます。
 令和8年度に本格実施されるこども誰でも通園制度については、0歳6か月から満3歳未満までの保育所等に通っていないこどもを対象に、保護者の就労条件を問わず利用できるよう、実施施設の設備や受入体制の基準を定め、令和7年度に事業を試行的に実施します。
 公立保育施設においては、各御家庭から御飯を持参いただかなくてもよいよう、自園での炊飯に切り替え、各御家庭の負担軽減を図るとともに、こどもが温かい御飯を食べることができる環境を整備します。
 来月策定する「こども計画」は、令和7年度からの5年間の方向性を示すものです。その着実な推進を図るために「こどもまんなか社会実現会議」を設置します。こども・若者、子育て当事者など子育てに携わる方々が参画し、子育て施策を練り上げ実行に移す、そうした津市独自の体制を構築してまいります。「こども・若者、子育て当事者意見ボックス」なども活用し、福祉分野だけでなく商工や農林水産、都市計画などあらゆる分野において、こども・若者、子育て当事者の願いや思いをダイレクトに受け止め、将来に希望を感じ、夢を持てるこども・子育て政策を展開します。
 また、こども計画策定に係る保護者アンケートにおいて多くの御意見を頂いた公園整備については、久居地域と津城周辺での整備に向け、国の「新しい地方経済・生活環境創生交付金」に申請いたしました。
 小中学校の長寿命化改修や放課後児童クラブの整備も更に進めます。その詳細については、教育長の教育方針に委ねます。

 

 2つ目は、都市づくりです。
 津市のまちが変わっていく、日々の暮らしの快適さが増していく、そういった実感を通して未来に期待を持っていただけるまちづくりを展開します。
 津駅西口は、引き続き地域や交通事業者などの関係団体の御意見を伺いながら、令和8年度に工事着手できるよう、津駅西口駅前広場の再整備に向けた実施設計を行います。津駅東口においては、国・県と連携を密にし「バスタプロジェクト」の早期実現に向けて、賑わいの創出、乗降場の集約の必要性等を検証しながら戦略的に取組を進めます。また、駅周辺のアクセス性や周遊性の向上に資するシェアサイクル導入の実証実験を行います。
 大門・丸之内地区では、エリアプラットフォーム「大門・丸之内 未来のまちづくり」が昨年、中心市街地で働いている方や近隣にお住まいの方をターゲットにした恒常的な賑わいを創出する公園空間の実証実験やシェアサイクルの導入実験を実施しました。今年は、観音公園においてこどもが夢中になって遊べ、見守る大人もゆっくりとくつろげる空間を創出し、その空間が地区内外から来場いただける目的地となるかを検証する実験を行います。津センターパレスビルは、昨年4月のセンターパレスホールの売却に続いて市営フェニックス通り駐車場もこの4月に所有権移転を予定しており、民間の活力によって新たな魅力が創出されつつあります。津市は大門・丸之内地区未来ビジョンの目標である「エリア価値の高いまち」の具現化に向け、土地・建物の活用を促進するための新たな仕組みを早期に構築します。
 道路ネットワークも新たな時代にあるべき姿へと変化しつつあります。
 平成28年から整備を進めてきた津興橋においては上部工架設工事が完了し、いよいよ新しい橋が姿を現します。
 
長年、夢物語として語られてきた志登茂川河口架橋を含む河芸町島崎町線(第3工区)の整備は、既に現実のものとして県によって着実に進められています。令和3年度から令和6年度までの4年間で総額1.3億円を投じ路線測量や地質調査等が実施され、津市は要した事業費の半分を負担してまいりました。橋梁部分については予備設計が完了し、道路の詳細設計が進められ、令和7年度は用地測量が行われます。橋の南詰と旧イオン津前交差点の間の道路については既に詳細設計を終え、令和7年度に事業化され用地取得に着手されます。
 新たに鉄道との立体交差により東西間をつなごうとする下部田垂水線(上浜工区)については、道路概略検討や将来交通量推計が昨年の12月補正予算で初めて予算化されました。これは、いよいよ県がこの事業の第一歩を記したことを意味します。津市は、県と共に地元調整などに取り組み、事業の促進を図ります。
 令和6年度に取り掛かった津駅前線及び広明町河辺町線の拡幅については令和7年度の完了に向けて事業を着実に進め、内多清水ヶ丘線については拡幅する区間のうち安濃町太田地内農地区間の令和7年度中の完成を目指します。いつくしみの杜へのアクセス道路として整備を進めている半田久居線及び雲出野田線については、令和7年度中の供用開始を目指し、道路新設改良工事等を進めます。
 地域公共交通については、定時定路線型のコミュニティバスより柔軟に利用でき、タクシーより割安な新たなデマンド型交通の導入に向けて、地域の御意見を伺いながら多くの方々にとって利便性の高いシステムの構築を目指します。
 新たな工業用地の確保に向けては、既に候補地として選定した5箇所について民間事業者による用地交渉等が進められており、進捗状況を確認しながら地区計画の策定などの手続に係る調整等を行ってまいります。

 

 3つ目は、安全・安心です。
 災害への備えに終わりはありません。南海トラフ地震の脅威が目前に大きく立ちはだかるなか、津市で暮らす全ての方々が安心して未来を思い描くことができるよう、ソフトとハードの両面からより高い次元の安全・安心を目指してまいります。
 昨年発生した能登半島地震では、集落の孤立が多く発生し、速やかな救命・救援活動の展開には早急な道路啓開が必要であることが明らかになりました。その気付きを活かし、自衛隊、警察、消防等の広域応援部隊が救助活動拠点に至る「受援想定ルート」と、救命救助等を行う救急車両が通行する「救急想定ルート」を特定し、発災直後の初動段階で早急に道路啓開に着手することを盛り込んだ「道路啓開計画」を新たに策定しました。また、「災害時受援計画」は、広域応援部隊の受入れ及び発災後72時間までの市の行動並びに広域応援部隊の円滑な活動のための情報共有や活動調整について盛り込むなど大幅に改訂し、他に類を見ない先進的で極めて実用的な計画に生まれ変わりました。今後さらに、消防団や自主防災組織における大規模災害が発生した際の対応力・実践力を強化してまいります。
 平成26年度から11年間にわたり総事業費26億円を投じて進めてきた香良洲高台防災公園は、いよいよ来月完成します。平時は多目的グラウンド等として御利用いただくとともに、津波災害時の一時避難場所の機能を有する防災公園として活用します。地域に住む方々の安全・安心の新たなよりどころとなるよう的確な運用に努め、当該公園を活用した防災訓練を重ねてまいります。
 新たな時代に対応する消防力の強化にも取り組みます。中消防署西分署は、令和7年度の開署に向けて工事を進めます。令和8年度からの鈴鹿市及び亀山市との消防通信指令業務の共同運用に向けては、あらゆるシミュレーションを重ね、3市の隣接地域における応受援体制の強化を進めるなど、新たな体制の確立に万全を期してまいります。
 浸水被害軽減に向けた取組も進めます。半田川田排水区においては、令和7年度の第1雨水幹線の完成と、令和8年度の第2雨水幹線の完成を目指し工事を進め、藤方第二排水区においても令和8年度の第2雨水幹線の完成を目指すなど雨水対策を着実に進めてまいります。上下水道施設は、令和7年度から国において創設される水道基幹施設耐震化事業及び下水道基幹施設耐震化事業を活用し、中央浄化センターに接続する高洲町地内の下水道幹線などの耐震化を進めます。
 河川については、緊急浚渫推進事業債を活用し、河川断面が縮小している芸濃地域の滝川や白山地域の真見川などの堆積土砂の撤去を行い、流下機能を回復させます。これとともに、緊急自然災害防止対策事業債を活用し、芸濃地域の椋本安西線や一志地域の高野団地線などの舗装工事を行うほか、安濃地域の浄土寺川などにおける河川改修工事を行います。

 

 以上、3つの政策に関わり、令和7年度当初予算に計上した事業等について申し述べました。
 これらに加えて、昨今の物価高騰への対応についても手を尽くしてまいります。水道料金の基本料金を2か月分無料化し、全ての家庭や事業所への支援を行うほか、医療機関や障害者支援施設・介護保険施設における光熱費等の高騰分を支援するなど総額5億8千万円の物価高騰対策を進めます。
 市政に関わる各分野の喫緊の課題への取組や市民生活、地域経済を支える施策・事業については、令和7年度当初予算の提案理由説明において御説明申し上げます。

 

 水道事業における維持、修繕業務について申し上げます。
 上下水道事業管理者に対し、水道施設の維持、修繕に係る令和7年度の業務改善策を着実に実行に移すことを求めました。また、執行体制についても、従来の水道工務課の組織を解体し再構築するとともに、人事のあり方として、専門的な分野を担当する一部の職員が長期間異動しないという慣習を排するよう伝えました。
 また、職員の法令遵守につきましては、各課にコンプライアンス責任者を配置するとともに、研修の強化を図ります。

 

 令和8年1月1日に津市は合併20周年を迎え、新たなまちづくりの歴史を刻み始めます。言うなれば、歌舞伎の廻り舞台のように、まちづくりを演じる舞台の床がぐるりと回転し、今演じている場面から新たな場面へと転換します。合併20年目という津市の歴史の大きな節目となる令和7年度は、残りの合併特例事業債を活用してこれまで着実に進めてきた施策を展開しつつ、同時にその裏側では令和8年1月1日に向けて様々なものを仕込む、あるいは仕込んできたものをしっかり熟成させる、そのような年となります。
 「市民の皆様がそれぞれの幸せを実感し、心豊かで笑顔あふれる人生を送ることができる津市」
 その実現に向け、市役所一丸となって、市民の皆様の期待や希望、夢を実現するための津市政を展開し、令和8年1月1日、津市の新たな時代が幕を開けた時、新たなステージ、新たな次元の津市を御覧いただけるよう取り組んでまいります。
 市民の皆様、議員の皆様の温かい御支援、御協力をお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 


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