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折り込み紙3
私たちの暮らしの中の水道 ボリューム5
令和元年9月16日発行
水道局 電話番号237-5811 ファクス237-5819
身近にある水道について知っていただくために、水道事業の現状・課題・経営状況をシリーズでお伝えしています。今回は水道事業会計の仕組みや、皆さんに支払っていただいている水道料金について紹介します。
(男の子のコメント) 前回、これから水道事業の経営が厳しくなって、将来、安定的な水道供給に支障が出るかもしれないって聞いたけど、どうして経営が厳しくなっていくのかな。
(先生のコメント) これからは人口減少などで料金収入は減ってしまうのに、老朽化した施設の更新や耐震化などで必要な事業はさらに増えていくんだ。
(女の子のコメント) 将来のための貯金があったと思うけど、それも無くなるのかな。
(先生のコメント) 貯金の話をするためには、水道事業会計の理解が必要だね。まずは仕組みを見てみよう。
収支には、収益的収支と資本的収支の2種類があります。
その年度の水道水の提供に必要な費用と収入
施設の整備など水道を将来にわたって維持するために必要な費用と収入
水道事業会計は、財布1、財布2、財布3、の3つの財布を使うイメージです。
上で説明した収益的収支を扱う財布です。
皆さんからお支払いいただいている水道料金が財布1に入ってきます。県営水道の受水費、施設の維持管理費(動力費、修繕費)、人件費などはこの財布1から出ていきます。
純利益が出たら財布3に入ります。
支出した減価償却費は財布3に入ります。
不足した場合は財布3から補てんします。
上で説明した資本的収支を扱う財布です。
借入金などが財布2に入ってきます。老朽化した施設を新しくしたり、耐震化を進めたりするための費用は、この財布2から出ていきます。
不足した場合は財布3から補てんします。
収益的収支で出た利益や減価償却費が入っています。財布1や財布2に不足が生じると、この財布3から補てんする、いわゆる貯金のような役割の財布です。財布3のお金は災害などの緊急時にも使えるように、一定の貯金が必要です。
この財布3の、ある程度の余裕が安定経営につながります。
財布1と財布2は、お金が余っても足りなくても年度ごとに清算します。財布3の貯金は、清算せずに翌年度以降に持ち越します。
水道事業は、税金ではなく皆さんからいただいた水道料金を主な財源とする独立採算制で運営しています。使用者の皆さん一人一人が水道事業を支えています。
(男の子のコメント) 僕らの水道料金で経営をしているんだね。貯金はどれくらいあれば大丈夫なのかな。
(先生のコメント) 貯金残高は、災害や大規模な修繕などに備えるため、料金収入の1年分を目安に、津市では約50億円必要だと考えているよ。でも今年度末には50億円を下回ってしまいそうなんだ。
(女の子のコメント) 古い施設を新しくするのも全部この貯金を使うのかな。
(先生のコメント) 老朽化した施設の更新や耐震化を進めるための財源として借入金もあるんだよ。健全な借入金の目安としては、津市と同規模の事業体の平均を見ると料金収入の3倍以内なので、津市もこれを超えないように170億円を目安に経営してきたんだけど、すでに約160億円借り入れているんだ。
(男の子のコメント) 貯金もだんだん減っていくし、借入金もこれ以上増やせないから水道事業は大変だね。
貯金の下限目安は50億円、借入金の上限目安は170億円です。
簡易水道事業統合
貯金額が下限目安の50億円を下回っています。
貯金額が下限目安の50億円を下回っています。
(女の子のコメント) ところで、経営をしていくのに大切な水道料金はそれぞれの市が決めているのかな。
(先生のコメント) 水道料金は各事業体が、安定した経営を行うことができるように決めていて、それぞれ違うんだ。県内の水道料金を見てみよう。
三重県下14市の水道料金
平成31年4月1日現在、税込み、口径13ミリメートル・1カ月に20立方メートル使用の場合
料金の低い順
補足情報
(男の子のコメント) 津市は水道料金が安いんだね。これからも貯金は減っていくのに大丈夫なのかな。
(先生のコメント) このままでは、支出が増えて収入は減っていくから、安全で安心な水道水を届け続けることが難しくなってくるよ。このことをしっかりと認識して、必要な施設の更新や耐震化を進めるためにどれくらいの収入が必要なのかを計算し、適正な水道料金で健全な経営を維持しなければいけないんだよ。
第2次津市水道事業基本計画では、令和3年に水道料金の改定が必要だという試算が出ています。
次号では平成30年度決算を基に、これからの水道事業経営についてより詳しく説明します。
今の水道を維持することはもちろん、50年先、100年先の世代まで安定して水道水を届け続けるのは、今を生きる私たちの責任です。