「広報津」第457号(音声読み上げ)シリーズ人権 第110回 「なりたい」を応援したい、津市(このまち)で輝く

登録日:2025年2月16日

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シリーズ人権 第110回 「なりたい」を応援したい

「ちょっと意外でした」

土産物店で購入したアクセサリーの金具取り換えを頼んだ私は、美しい細工が施された商品が並ぶ売り場で、工房での作業が終わるのを待っていました。

「このアクセサリーを作ったのは、この人です!」と販売員に声をかけられ、振り向いた私の目の前に立っていたのは、がっしりとした体つきの男性でした。そこで私の口からポロリと出たのが、冒頭の言葉です。この瞬間、男性は笑っていたものの表情が少し曇ったように見えて、私は「やってしまった」という気持ちでいっぱいになりました。

繊細優美なアクセサリーを眺めているうちに、私は作り手が女性だと思い込んでいたのです。そのため、販売員の言葉を「想像と違ったでしょう?」という意味に受け取ってしまったのでした。

思い込みや偏見を無意識に持つことで、男女の役割を固定的に考えてしまう「ジェンダーバイアス」に関しては、職場の研修で学ぶ機会があり、自分は理解しているつもりでした。

また、自分自身が実際に女性への偏見を感じた経験もありました。大学受験の時、友人から「第一志望を諦めきれないので来年もう一度挑戦したいけれど、父親から「女が浪人なんかするな」と反対されている」と相談をされました。人生の節目の選択肢を「女だから」という理由で断たれることに納得できるでしょうか。私は心から彼女を応援したいと思うと同時に、それまで自分ではあまり意識していませんでしたが、女性が挑戦しようとすることが否定的に捉えられ、男性よりも人生における選択肢が狭められてしまっている現実に驚き、そうした女性への偏見に対してとても腹が立ちました。結局、彼女は父親を説得して予備校に通い、翌年第一志望に合格し、卒業後に希望の職業に就きました。なりたい自分を実現していく彼女を尊敬し、女だからできないということはないのだと改めて感じました。

このように、ジェンダーバイアスについて学んだり考えたりする経験が過去にあったにも関わらず、偏見を持っていた自分を情けなく思い、今回のことを同僚に話してみると、「多数派が悪気なく、少数派を「珍しい」と感じてしまうのはよくあることだね。言葉で失敗しないように一呼吸おいてから発言するのも大切だけど、まずは自分の意識を変えられるといいね」という意見が返ってきました。同僚との対話の中で自分の言動を内省することができ、次に同じようなことがあった場合は、ジェンダーバイアスにとらわれることなく、出来上がった作品そのものやその人の能力にまず目を向けられるようになりたいと思いました。

あの時、工房の男性に本当に伝えたかったのは、「あなたの作ったアクセサリーがとても気に入りました」という言葉でした。皆が自信を持ってなりたい自分になれるように応援できる私でありたい、そして、そんな温かな社会をつくる一員でありたいと思った出来事でした。

(40代、女性)

問い合わせ

人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366

津市(このまち)で輝く

ボリューム98 写真と言葉で伝える故郷への無償の愛
写真家・インフルエンサー ふがまるちゃん 35歳

プロフィール

1989年津市生まれ。本名は多田良平。出版するごとに完売する「三重のええとこ写真集」の新刊は今月出版。総菜屋「フードショップヒライ」は、ふがまるちゃんの写真が多数飾られており、訪れるファンも多い。

  • 撮影100パーセント編集100パーセント常に全力で!
  • 週の半分は撮影に出かける

みんなで広めたい
津のええところ

ふがまるちゃんは、津市を中心とした三重の風景写真や動画をSNSなどで発信するインフルエンサーだ。きっかけは、祖父の総菜屋に飾った津の名所・結城神社の梅の写真。それを見て感動した客から続々と撮影のリクエストをもらったことが嬉しく、県内各地の撮影を始めた。

写真はウェブサイト「三重フォトギャラリー」でも公開している。個人からメディア・地元企業まで、多くの人に自由に利用してもらいたいと、写真は無料で利用できるフリー素材にした。写真家が写真素材を無償配布するのは異例のことだ。

(ふがまるちゃんのコメント)「自分の写真をきっかけに、現地に行く人が増え、その場所の魅力を実感してもらうことで、三重を好きになってほしい。写真が全国テレビの放送に使用された時は、三重がこんなええところなんやと日本中にPRできたことがすごく嬉しかったです」(コメント終わり)

SNSでは、その場所へのアクセス情報やおすすめの時間帯なども丁寧に記載している。実際に行ってみてほしいという思いを込めた投稿はじわじわとファンを増やし、約9年で、総フォロワー数は12万7千人を超えた。

思い出深い結城神社の梅は今まさに見頃。今年も最高の写真を撮ろうと、ふがまるちゃんは胸を躍らせている。


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