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折り込み紙3
令和2年3月16日発行
人権課 電話番号229-3165 ファクス229-3366
世界は、貧困や紛争、気候変動、資源の枯渇など多くの課題に直面しており、このままでは人類は安定して暮らし続けることができなくなってしまうといわれています。そのような危機感から、2015年(平成27年)の国連総会で、2030年までに世界を変えるための国際目標として、持続的可能な開発目標 エスディージーズが採択されました。
エスディージーズは、誰ひとり取り残さないをキーワードに、17の目標(ゴール)と、それらを達成するための具体的な169の達成基準(ターゲット)からなり、経済・社会・環境を巡る広範な課題に、発展途上国も先進国も共通して取り組むこととしています。そしてこれらの17の目標には、貧困をなくそうジェンダー平等を実現しよう人や国の不平等をなくそうといった人権に関する目標が掲げられています。
平成29年8月に津市が実施した人権問題に関する市民意識調査の結果からも、いまだに偏見や差別が存在することが分かっています。このことから、津市では広報紙などでさまざまな人権問題を取り上げ、その解決に向けた取り組みなどを発信しています。
今回の人権だよりでは、性の多様性や外国人の人権、本年度開催された中学生人権作文コンテストなどの記事を掲載しました。これからもさまざまな機会を通して、人権意識の向上と差別をなくすための取り組みを進めていきます。津市を人権や個性が尊重されるまちにしていくために、またエスディージーズの目標達成のために、私たち一人一人ができることから取り組んでいきましょう。
サスティナブル、ディベロップメント、ゴールズの頭文字からとった言葉で、持続的可能な開発目標を表す言葉
なぜ学校に行かせなあかんの。外国につながる子どもの保護者から、このような言葉を聞くことがある。日本に来て、子どもを日本の学校に就学させることにためらう姿がある。そのような保護者を何度も訪ねて話をしていくと、そこにある思いが見えてくる。
それは、文化の違いや、教育に対する親の無理解・無責任から発せられたものではなく、自分の子どもが学校に行ったとき、外国人だからといっていじめられないか、日本語が分からず独りぼっちでさみしい思いをしないかといった不安から出てきた言葉だった。また、保護者自身も、日本の学校を経験していなかったり、仕事や生活の中で不安や、孤独を感じたりしていたこともあった。出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正され、今後、外国につながる人たちが増加するといわれている。そのような外国につながる人たちや子どもたちに安心して、日本の社会の中で、日本の学校の中で生活していってほしいと思う。
私が住む団地にも、外国につながる家族が居住している。自治会の役員を担い活動する姿や、子どもが学校に生き生きと通う姿がある。そこには、地域や学校での人と人とのつながりが豊かにつくられていると感じる。私も社会を構成する一人として、誰もが安心して共に暮らしていける多文化共生社会の実現に向けて、自分ができることは何かを考え、行動していきたいと思う。
ソギまたはソジという言葉を知っていますか。これは、セクシャルオリエンテーション(性的指向)とジェンダーアイデンティ(性自認)の頭文字からとった言葉です。異性を好きになる人、同性を好きになる人、両性(男性も女性も)を好きになる人、体の性と心の性が一致せずに体の性に違和感を持つ人など、性のあり方は多様です。国連などでは、誰もがそれぞれの性的指向(好きになる性)と性自認(心の性)を持っているとして、性の多様性をソギまたはソジと表現しています。
しかし、性的マイノリティ(性的少数者)の人たちは、周囲の人の理解不足などから、差別や偏見を恐れ、誰にも相談できずに悩んでいること、自分の性的指向や性自認を受け止めることができずに悩んでいることなどが、各種の調査で明らかになってきています。
一方、平成29年8月に津市が実施した人権問題に関する市民意識調査によると、LGBTなど性的少数者を理解し、その性の多様性を認めていくべきであるとの設問に対し、そう思うが30.4パーセントと最も高く、続いてどちらかといえばそう思うが29.7パーセントとなり、60.1パーセントの人が肯定的な回答をしています。
近年、性的マイノリティの人たちへの社会的理解は少しずつ広がってきたとはいえ、家族や職場の理解が得られなかったり、日常生活の上でさまざまな困難を抱えたりして、生きづらさを感じる人もいます。
私たち一人一人が、自分だけの価値観にとらわれず、多様な性のあり方を知り、お互いを尊重し、誰もがありのままに自分らしく生きることのできる社会となるよう取り組んでいきましょう。
L レズビアン(女性の同性愛者)、G ゲイ(男性の同性愛者)、B バイセクシャル(両性愛者)、T トランスジェンダー(こころの性とからだの性が一致しない人)の頭文字からとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す言葉
次の構成比率は、小数点第2位以下を四捨五入しています。
人を差別し、人の心を傷つける落書きを見たら津市人権課へ通報・連絡してください。
昨年12月14日に、津リージョンプラザお城ホールで、第39回全国中学生人権作文コンテスト三重県大会の表彰式と朗読会が開催され、多くの市民の皆さんに参加していただきました。この大会は、津地方法務局と三重県人権擁護委員連合会が主催し、次代を担う中学生が日常の家庭生活や学校生活などの中で得た体験に基づく作文を書くことを通して、人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深め、豊かな人権感覚を身に付けることを目的として開催されています。
表彰された作文の一つに、車いすで生活している先生との出会いについての話がありました。その内容は、先生のことを車いすの先生やのに、分かりやすく教えてくれてすごいという、自分の中に障がい者に対する偏った見方があったこと、それを家族との会話を通して見直すことができたというものでした。この作文の朗読を聞いた参加者の一人は、私自身も自分の中にある決めつけた見方を見直すことができた。中学生の真剣な思いを直接聞くことができてよかったと話してくれました。
中学生の皆さんが日常の生活の中で気付いたことや考えたことを通して、私たち大人も共に学ぶ機会をこれからもつくり、人権尊重の輪を少しずつ広げていきたいと思います。
昨年12月7日に、美里文化センターホールで落語家・露の新治さんを招いて津市人権講演会が開催され、250人の参加者が、笑いと人情味あふれる話を熱心に聴講しました。
露の新治さんは、夜間中学の設立運動に携わったことをきっかけに、自分のやりたいことをやるべきだと思い落語の世界に入ったそうです。現在、落語や講演活動を通して、自身が学んできた人権の大切さを発信されています。
講演では血筋などを理由に人を分け隔てする部落差別は不当なものだ。このような間違いによって不幸になる人をつくってはいけない。差別をなくすのは差別をする行為をなくすことだ。私自身、差別をしている自分がいないかを自分自身に問い続けることで、差別しなくても生きていける自分に変わることができた。だから、差別の問題は自分の問題だと話されました。
露の新治さんの楽しく、熱い語り口に、参加者は笑顔で、そして真剣に聞き入っていました。最後は積極的に物事に取り組もうとする心を持つことが大切ですよと呼び掛け、講演を締めくくりました。
参加者の感想アンケートには話の内容を自分自身に置き換えて自分を見つめ直す機会になった。人権意識の高い世の中にしていきたいとの意見がありました。
津市では、市民の皆さんに人権について考えてもらうため、毎年、市内各所でこうした人権講演会を開催しています。私たち一人一人が、人権問題を自分の問題として受け止め、人権感覚を磨きながら、誰もが生き生きと暮らせる社会となるよう取り組みましょう。
さまざまな理由で中学で十分な教育が受けられなかった人たちに学びの場を提供するため、夜間の時間帯に授業が行われる学校