「広報津」第361号(音声読み上げ)折り込み紙3、津市人権教育広報 あけぼの 第30号

登録日:2021年2月16日

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折り込み紙3

津市人権教育広報 あけぼの 第30号

令和3年2月16日発行
教委人権教育課 電話番号229-3253 ファクス229-3017

人と人とが、豊かにつながることの大切さを感じながら。コロナ禍で、改めて気付いたこと

新型コロナウイルス感染症が大きく報道で取り上げられるようになってから約1年が経ちました。新しい生活様式や、ステイホーム、テレワーク、さまざまなイベントの中止など、これまで当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなる中、皆さんはどのようなことを感じているでしょうか。

電通によると、昨年3月から9月までの新型コロナウイルス日米定点生活者意識調査で、孤独感を感じるか、という問いに対し、そう思うと答えた人は、5月以降月を追うごとに増加しています。また、九州大学が昨年6月に行った調査では孤独感や孤立感を感じるか、という問いに対して40パーセントの学生が当てはまる、やや当てはまると回答しています。

このことは、新型コロナウイルス感染症を予防する中で、人とのつながりを感じづらくなったことが一つの大きな要因なのではないでしょうか。言い換えると、人と人とのつながりの大切さを改めて感じられた1年でもあったのではないでしょうか。

前回のあけぼのでは、新型コロナウイルス感染症が拡大する社会から見えてきたことや、これからの社会への願いを取り上げました。人とのつながりは、自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれます。人とつながっているという実感は、自分にとって安心できる居場所になります。

今回のあけぼのでは、それぞれの地域や学校で、人と人とが豊かにつながることを大切にしながら活動している、音訳 草笛の会、ニコニコサロン 泉ヶ丘、芸濃中学校の取り組みを紹介します。コロナ禍で活動を休止せざるを得ない状況においても、自分たちの活動の原点を確かめながら、今の自分たちにできることを考え、取り組んでいます。

人とのつながりの中で、今まで見えなかったことに気付くことができるかもしれません。また、同じ目的を持つ、人とのつながりの中からは、これからの社会を生き抜いていく上での展望を見いだすきっかけを得られるかもしれません。

このような社会状況の今だからこそ、地域・職場・家庭において、人とのつながりや温かさを実感するために何ができるのかを、私たち一人一人が改めて考えてみませんか。

人権コラム 一人一人が自らの問題として

世界中に広がった新型コロナウイルス感染症は、日本でも全ての都道府県で感染が報告されています。そしてウイルスの感染拡大と呼応するかのように、この約1年間、さまざまな誹謗中傷や差別的行為が起きました。SNSなどのインターネット上では、罹患した人を特定しようとしたり、感染を罹患した人の責任にし、その人たちを社会から排除しようとしたりする書き込みも見られました。このようなことは、残念ながら私たちの住む津市でも起きています。

感染症に起因する不当な差別や偏見、いじめは決して許されるものではありません。また、間違った正義感による行き過ぎた行為は、罹患して不安な思いを抱えている人をさらに追い込むことになり、人と人との関係を分断してしまうのではないでしょうか。

新型コロナウイルスには、誰もが感染する可能性があります。そしてコロナ禍であらわになった差別は、私たちが暮らす今の社会で起きているのです。だからこそ、その社会を構成する私たち一人一人が自らの問題として捉える必要があるのではないでしょうか。

感染症の拡大とともに発生した、いわゆるコロナ差別を通して、私たちが自分自身を見つめ直し、自らの行動につなげていくことで、差別や偏見のない社会をつくっていきましょう。

人のぬくもりやつながりを感じながら

今、自分や周りの人たちを新型コロナウイルス感染症から守るため、人との距離を保つことが求められています。そのような状況の中で、人のぬくもりや人とのつながりを少しでも互いに感じ合えるような取り組みをしている地域の活動を紹介します。

音訳 草笛の会

多くの人に、人の声を通して文学作品に触れてもらいたいという思いで手作りCDやテープを作成している音訳サークルで、現在12人が活動しています。今回は、西川純代さんと松岡雅子さんにお話を伺いました。

この会を立ち上げたきっかけと、現在の活動について

最近、新聞の文字が読みづらくなったという地域の方の一言がきっかけです。高齢者や、目の不自由な方にも自分の住む町の情報を届けることはできないかと考え、平成7年に広報かわげの音訳を始めました。

現在は創設当初の思いに加えて、例えば家事をしながら、あるいは寝る前のちょっとした時間に人の声を通して本を楽しんでもらえるよう、文学作品の音訳をし、河芸図書館と河芸ほほえみセンターで貸し出しています。少しでも地域の役に立ちたいという思いで25年間活動を続けてきました。

コロナ禍で改めて気付いたこと

感染予防のため、人が集まる活動の多くが中止になったり縮小されたりしましたが、一人で行う音訳やCD作成については続けてきました。

それは、河芸図書館や河芸ほほえみセンターの貸し出し記録を通して、私たちが録音したCDをたとえ一人でも二人でも、待ってくれている人がいると感じているからです。

そして、これまでやってきたことは、感染が拡大する中で見えにくくなっている人と人とのつながりを感じることができる活動でもあると、改めて気付きました。

活動を通して感じていることは

新しい本や面白い本と出会ってほしい、さまざまな文学作品に触れるきっかけになってほしいという願いを込めて、聴いていただく方々を思い浮かべながら音訳する本を選んでいます。技術的にはプロや有名人が音読したものの方が優れているかもしれませんが、私たちが地元のイントネーションで音訳したものは、利用者の方により親しみを感じていただけるのではないかと考えています。

これからも人のつながりを感じながら、音訳活動を続けていきたいと思っています。私たちが楽しみながら活動している様子は、聴いてくれている方にもきっと伝わると信じています。

ニコニコサロン 泉ヶ丘

お互いの顔を知って、つながり合う拠点、元気づくりの拠点となるようなものをつくりたいという願いの下、福祉サロン、ニコニコサロン 泉ヶ丘が開かれています。今回は、世話役の梅村庄三さんにお話を伺いました。

新型コロナウイルス感染症が広まる中で

新型コロナウイルス感染症が広まり、ニコニコサロン 泉ヶ丘も一時中止せざるを得ませんでしたが、人に会って話をする機会が少なくなったためか、忘れっぽくなったりミスをしたりすることが多くなった、さみしさを感じているなどの声を聞くことがありました。

社会全体でさまざまなことに自粛が求められる中、感染症対策をとりながら安心して外へ出て人と会う機会をつくれないかと思い、健康ウォーキングを始めました。参加する人同士が出会い、笑顔になり、元気になっていく姿を見ると、私たちボランティアも元気になります。また、このウォーキングに参加する人たちから、サロンの再開を待ち望む声も多くあったので、感染症対策を万全にし、昨年9月28日から再開しました。

サロンに参加している皆さんの様子はどうですか

このサロンが自分の安心できる居場所になっているといった声を、参加している多くの人から聞かせてもらいます。また、泉ヶ丘団地に住んでいる人だけではなく、他の地域から参加する人たちも増えてきていて、疎外感を感じることなく、楽しい時間が過ごせると話してくれた人もいました。

このサロンの目的に賛同してくれるボランティアの輪が広まり、高齢者や子どもたちを地域ぐるみで見守っていこうという人たちの広がりを感じています。

サロンを通して感じていることはなんですか

ここに集う人たちやボランティアの笑顔が何よりうれしいです。これからも誰でも来ることができる居場所、元気づくりの場になるようにしていきたいです。時折、地域の小学生もこのサロンへ来てくれるのですが、そんな時はサロンへ来ている人たちはとても喜んでいます。地域に住む大人と子どもたちがつながり合う場所になるようにもしていきたいと思っています。

参加者の声。参加者の川柳より
  • 珈琲の、うまさ百倍、ニコサロで
  • ニコニコは、笑顔溢るる、集いの間
  • ニコサロや、話様々、笑う門

シリーズ 学校・園では今 19
芸濃中学校の取り組み お互いが安心して過ごせる関係を

コロナ禍での生活を振り返って

5月末の休業明け、芸濃中学校では久しぶりに顔を合わせ、仲間とともに過ごすことができるうれしさを確かめ合う1年生の生徒たちの姿がありました。各学級では、家でどのように過ごしていたのか、どんなことを感じ、考えていたのかを出し合っていきました。その中で、登校してみんなと過ごす中で、周りのみんなの明るさに元気をもらったと言う生徒もいました。一方で、人と人との距離を求められる新たな生活に対する不安を口にする生徒もいました。

新型コロナウイルス感染症に関わる人権侵害を通して

新型コロナウイルス感染症に対する感染対策の学習をするとともに、社会の中で起こっている人権侵害について考えました。感染した人や感染を疑われた人への誹謗中傷、県外ナンバー車への攻撃、医療従事者との接触を避けようとする風潮について、自分はどう考えるのかを出し合いました。それは差別であり、許せないという思いを持つ一方で、もし自分がかかったら、どんなふうに思われるのか、もし友だちがかかったら、自分はどう行動できるだろうという迷いも出てきました。

事実を確かめることから

感染症について正しいことを知るために、ウェブ会議システムを活用して、実際に最前線で新型コロナウイルス感染症と向き合っている救急救命士や看護師の話を聞きました。そして、医療現場の大変な状況や、医療従事者の立場から今の社会がどのように見えているのかを知ることができました。このことをきっかけとして、生徒たちは、自分たちが暮らす社会に目を向けるとともに、自分自身を見つめ直しました。

自分たちを見つめ直して

これまで自分たちはどんな関係をつくってきただろうか、どんなふうに思われるか不安で、自分らしくいられない関係になってはいなかったかについて生徒たちは振り返り、話し合いました。

そして、安心して過ごせる社会をつくっていくために、まずは自分たちの学級や学校から、人を不安にさせたり傷付けたりすることをなくしていきたいと、新型コロナウイルス感染症を通してこれまでに考えたり学んだりしてきたこと、大切にしていきたいことなどをまとめ、文化祭で全校生徒に発信しました。

取材者の感想

まずは自分たちがつくっている学級や学校という社会を、一人一人にとって安心できる場に変えていこうという、この生徒たちのメッセージは、お互いが安心して過ごせる社会を共につくっていこうとすることの大切さを私たちに問いかけてくれているのではないでしょうか。


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